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面倒見のいい幼馴染が、今日も僕を叱る  作者: Takayu
第三章 ふたりの特別な時間
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第三十七話 今度は、私から

「言い出しっぺは美褒だけど、計画するのは僕たち、か。なんか面白いな」


ファミレスのテーブルでノートを広げながら僕がそう言うと、優愛は「ふふっ」と楽しそうに笑った。

僕たちの初めての共同作業は、思った以上に順調に進んだ。


日程は来週末の土曜日。

場所は美褒が提案した、少し郊外にある大きな公園。

僕が「広い場所で遊べるように」とバドミントンやボールを持っていくことを提案し、優愛が「小さい子たちも楽しめるように」とお絵描きセットやシャボン玉を加える。

一人では思いつかなかったアイデアが、二人で話すうちに次々と形になっていく。

その時間が、たまらなく楽しかった。


「……じゃあ、こんな感じかな」

優愛がまとめた計画案を、僕は満足げに眺めた。

「うん、完璧じゃないか?」

僕がそう言うと、彼女は嬉しそうに頷いて、はとこたちのグループチャットに『企画:溢喜&優愛』として連絡を入れてくれた。

すぐに、参加を表明する温かい返信が次々と届く。


ファミレスを出て、すっかり暗くなった帰り道。

僕たちの間には、共通の目標を達成した後の、心地よい一体感が流れていた。


「ねえ、溢喜」

家の近くの角で、優愛がふと立ち止まった。

「ん?」

「今日の……お礼、させてほしいな」

「え、お礼?」

「うん。溢喜が手伝ってくれなかったら、私一人じゃこんなに楽しい計画、立てられなかったから。だから、その……」


優愛は少しだけ言い淀んだ後、僕の目をまっすぐに見つめて言った。

「今度の日曜日、もしよかったら……また、二人で出かけない?」


今度は、優愛からだった。

僕の心臓が、大きく、でも心地よく跳ねる。


「……僕から誘おうと思ってたのに、先を越されたな」

僕が少しだけ意地悪くそう言うと、優愛は「えっ」と驚いたように目を見開いた。

そして、次の瞬間、みるみるうちに頬を赤く染めて、俯いてしまう。

「……ご、ごめん。なんか、私ばっかり、はしゃいで……」

「ううん、違う。すごく、嬉しい」


僕は慌ててそう言った。

「行こう。どこでも。優愛が行きたいところなら、どこへでも付き合うよ」


僕の言葉に、彼女はゆっくりと顔を上げた。

その瞳は少しだけ潤んでいて、街灯の光を反射してキラキラと輝いていた。


「……じゃあ、今度は私が考えるね。溢喜が絶対楽しめる、最高の行き先」

そう言って微笑んだ彼女は、この前のお出かけの時よりも、もっとずっと綺麗に見えた。


家に帰り、ベッドに倒れ込む。

天井を見上げながら、僕は今日の出来事を反芻していた。

「好きだ」と自覚して、どう接していいか分からなくなっていたのが、ほんの数日前のこととは思えない。


隣にいて、同じ目標に向かって笑い合う。

頼られて、そして、頼る。

おじいちゃんたちが言っていた「信頼」って、こういうことなのかもしれない。


ただの幼馴染でもなく、かといって、まだ恋人でもない。

でも、僕と優愛の間には今、他の誰にもない、特別で、かけがえのない関係が確かに生まれ始めていた。

僕はその温かい予感に包まれながら、日曜日への期待で胸を膨らせた。

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