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面倒見のいい幼馴染が、今日も僕を叱る  作者: Takayu
第三章 ふたりの特別な時間
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第二十一話 新しい席、新しい予感

テストも終わり、なんとか赤点も取らずにここまで来れた。

カレンダーを見ると、もう九月になっていた。

「九月か……早いな」

夏の騒がしさが、少しずつ遠ざかっていく。


そんなある日。

暖かな日差しが差し込む中、机に突っ伏して寝ていると、またも優愛に起こされた。

「ちょっと、いつまで寝てるの?」

「……今まで寝てたけど?」

「『今まで』じゃないでしょ!もうすぐ席替えなんだから、ちゃんと起きなさい!」


――また始まった。

いつものパターンだ。

小言を言われ、叱られて、でも結局は優愛に世話を焼かれる。

「はぁ……今の席、良かったんだけどな」

そう心の中でつぶやきながら、僕はまた眠りに落ちていた。


次に目を覚ましたときには、すでに席替えのくじ引きが始まっていた。

「ほら、溢喜。早くくじを引きに来なさい」

担任の先生の声が響く。

「え……あ、はい」

僕がそう返事をしてくじを引くと、紙に書かれていた数字は――30番。


30番、30番……窓際の一番後ろ!

端っこだ!

思わず心の中でガッツポーズした。

きた……!これは最高だ。

ずっと寝ていられる席!


席を移動していくと、なんと周りには知っているメンバーが勢ぞろいしていた。

僕の前は希望。

右斜め前には美褒。

そして右隣は……優愛。


う、嘘だろ……。

優愛が隣とか、毎日気まずすぎるだろ、これ。

思わず心の中で叫んでしまう。


「わ!またいつものメンバーが揃ったね!」

希望が楽しそうに笑う。

「本当だよね、嬉しいな」

美褒もにっこりと笑う。

……嬉しいなって。僕の気持ちは複雑なんだけど。

この席で、何かが始まりそうな気がした。

いや、気のせいかもしれないけど——それでも、少しだけ胸がざわついた。

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