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面倒見のいい幼馴染が、今日も僕を叱る  作者: Takayu
第三章 ふたりの特別な時間
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第二十話 話せなくなるなんて、絶対イヤだから

「で?テスト勉強を手伝ってほしいと?」

学校終わり、カフェに向かっている途中、そう冷たく言うのは、幼馴染の優愛だった。


事の発端は、今日の帰り際。

クラスメイトの何気ない一言が耳に残っていた。

「え?まだ遊んでるの?もうテストまで一週間切ってるんだよ」

テスト勉強……。

安心してほしい。僕も、まったくやっていない。

言い訳になるかもしれないが、先週はいろいろあったんだ。

別荘に泊まったり、海に行ったり、具合が悪くなったり、看病したりで……。


それで今、こうして優愛にお願いしている。

「このままだと僕、赤点どころか、補修地獄だよ……」

少し泣きそうな声で言うと、優愛はため息をついた。

「本当にそう思ってる人は、今頃テスト勉強してると思うけど」

冷静すぎる返答に、何を言っても無駄な気がしてきた。


でもそのとき、優愛が少しいたずらっぽく笑った。

「じゃあさ。今日のコーヒー代おごってくれたら、いいこと教えてあげる」

「ホント?!教えて教えて!」

ちなみに、毎回僕が払ってるんだけどね。

割り勘なんてしたことがない。

優愛はいつも「私が払う」と言うけれど、結局僕が払っている。

まあ、男としてそのくらいは当然かな。

でも、自分から「おごって」って言うなんて珍しいな……。


カフェに入り、コーヒーを注文して席に戻ると、優愛が真顔で言った。

「もし赤点取ったら、次のテストまで私と話すのはナシ。その条件でどう?」

「え……ああ、別にそのくらい……」

言いかけて、ハッとする。

「良くないよ!それは絶対に困る!」

優愛はくすっと笑う。

「じゃあ、頑張るしかないね」

僕はコーヒーを一口飲みながら、優愛の横顔をちらりと見る。

なんかこの感じ、どこかで見覚えあるような……。

そうだ、優誓おじいちゃんだ。

彼の言い方にそっくりだ!


「……わかった。今日から本気出す」

「ほんとかな〜?口だけじゃないといいけど」

「ほんとだよ。だって、優愛と話せなくなるなんて、絶対イヤだから……いや、赤点回避のためだ。うん、そういうことにしておこう」

優愛は少しだけ目を見開いて、それから静かに笑った。

「……じゃあ、まずは英語からね。単語テスト、出るよ」

その声に、僕は背筋を伸ばす。

優愛と、いつも通り話すために頑張るんじゃない。

赤点回避のためだ……たぶん。いや、きっと。


カフェの窓から差し込む夕方の光が、彼女の髪を柔らかく照らしていた。

その横顔を見ながら、僕は心の中で誓った。

次のテスト、絶対に乗り越えてみせる。

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