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面倒見のいい幼馴染が、今日も僕を叱る  作者: Takayu
第二章 修行の始まり
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第十九話 教室に戻ってきた優しさ

朝の光が教室に差し込み、窓際の席に座る僕は、ぼんやりと外の景色を眺めていた。

足音が近づいてきて、ふと顔を上げると——優愛が立っていた。

「おはよう、溢喜」

昨日までのだるそうな様子はなく、いつもの優しくて、でもしっかり者の笑顔がそこにある。

「おはよう、優愛。元気そうだね」

僕は思わず少し安心したように答える。

「うん、もう大丈夫。昨日は心配かけちゃって、ごめんね」

軽やかな声に、教室の空気が少し明るくなる気がした。


優愛が僕の前から離れると、隣に座る希望がにやりと笑う。

「良かったな、元気そうな優愛様が戻ってきて。」

いつもなら希望の言葉に突っかかる僕も、今回は思わず同意してしまった。

昨日までの心配は、もう遠い出来事のように思える。


しかし、安心できたのも束の間だった。

「そうだ溢喜!宿題の答え、見せてくれない?写したいんだけど…」

「え、ダメ。そのくらい自分で……って、宿題?そんなのあったっけ?」

「マジかよ!先週先生言ってたじゃん!今日提出だぞ!」

しまった。完全に忘れていた。

僕らは慌てて教室の隅で美褒と談笑している優愛のところへ向かう。

優愛ならきっとやっているはずだ。


僕らが近づくと、希望が二人の話を遮って言う。

「頼む!宿題を写させてくれ!」

「僕からもお願いだ!」

優愛は一瞬目を細め、少し叱るように言った。

「ダメ!まずは自分でやりなさい」

やっぱり無理だったか……と諦めかけたそのとき、隣にいた美褒が口を開く。

「ふふ、しょうがないな~。じゃあ、私の見せてあげる。ちょっとだけね?」

「マジで?!ありがと~」

希望が嬉しそうに声をあげる。

「……仕方ないわね、ちょっとだけなら教えてあげる」

呆れたように、それでも優しい声で優愛も言った。


僕たちはその言葉にほっとしながら、机の上にノートを広げた。

「ここはこう書くといいよ。で、こっちはこう……」

優愛の説明は丁寧で、とてもわかりやすかった。

少し教えてもらうだけで、頭の中がすっと整理されていく。

「流石です、優愛様……」

感激した希望の声が聞こえる。

「助かったよ、本当に」

僕もそうお礼を伝えると、優愛はにっこり微笑む。

「いいの、いいの。困ったときはお互い様でしょ?でも、次はちゃんと自分で考えてやること」


いつものように叱られた。

でも、昨日のことを思い返して、やっぱりいつものように叱られるのが一番いいと僕は思った。

教室の窓から差し込む光が、いつもより少しだけ柔らかく感じられた。

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