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面倒見のいい幼馴染が、今日も僕を叱る  作者: Takayu
第二章 修行の始まり
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第十七話 看病する幼馴染

部屋の扉が開く音がした。

「ご飯できたわよ」

優愛がそう言う。

僕はなんとか体を起こして、ご飯を食べようとする。

「ほら、無理しないで」

そう言う優愛に、僕は弱々しく答える。

「でも……無理してでも、ご飯食べないと……」


優愛は少しニヤッと笑って言った。

「じゃあ、私が食べさせてあげる」

「え、今なんて……?!?」

思わず心臓が跳ねる。

食べさせてあげるって言ったよな……。

いや、反論しようとしたけれど、言葉は出ない。


「いいの。ほら、美味しそうでしょ?」

僕の話を逸らして優愛が言う。

完全に主導権を握られている気がした。

そうか……男と女では力の差があると言うけれど、具合が悪いときは女の方が強いのかもしれない。

今は力でも口でも、抵抗できないのだから。


優愛はおかゆをスプーンに乗せ、僕の口元に運ぶ。

「ふー、ふー。はい、あーん」

その顔、その言葉、その仕草、すべてが可愛い……。

「あ…あーん」

恥ずかしいが、僕は何とか口を開けて食べる。塩の味だ。やっぱり梅干しじゃなくて塩にしてくれたのか。ちょっとしょっぱいけれど、食べられる。


僕は食べ続けながら、ふと考える。

これって、他の人から見たらどう映るんだろう。

母と子供?姉と弟?それとも彼氏と彼女?いやいや、さすがにそこまで考えるのはやめよう……。


でも、目の前で優愛が微笑みながら食べさせてくれる姿を見ていると、不思議と胸の奥が温かくなる。

こんなに優しい幼馴染がそばにいてくれるなんて、僕は本当に幸せだ。


「はい、あーん」

優愛が言う声に僕は小さく笑い、口を開ける。

スプーンに乗ったご飯が口に入るたびに、熱と倦怠感が少しずつ和らいでいく。

「ふふ、ちゃんと食べられたじゃない」

優愛の笑顔に、僕は自然と力が抜ける。


食べ終わると、優愛は少し考えるように言った。

「他に何かしてほしいことある?」

僕はしばらく迷った後、弱々しく答える。

「強いて言うなら……このまま一緒にいてほしいかな」

「え?」

優愛は少し驚いたようだった。

「……だって、一人でいるのが寂しいから」

思わず本音が出てしまった。こんなこと言っちゃっていいのか、ちょっと恥ずかしいけど、もう口が止まらなかった。

優愛はニッコリ笑って、僕のそばに座った。

「いいわよ、少しだけなら」


その時僕らは、何かしたわけでも、話したわけでもない。

ただ同じ空間で同じ時間を過ごす。寂しい時にそばにいてくれる。

そんな友達、そんな幼馴染、そしてそんな好きな人がいて、僕は本当に幸せだと思った。

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