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面倒見のいい幼馴染が、今日も僕を叱る  作者: Takayu
第八章 冬の寒さと、恋の温かさ
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第百四十四話 僕らの、冬休み計画

「――でさ、せっかくまだ冬休みなんだし、どっか行かねえ? 四人で」


希望の、あまりにも唐突で、でも、どこか切実な提案。

その言葉に、僕と優愛は、テーブルの下で繋いでいた手を、そっと離した。


「いいじゃん、行く行く!」

一番に、そう言って目を輝かせたのは、美褒だった。

「どこ行く? 何する? スキーとか、どうかな?」


「スキーか……」

その単語に、僕は、少しだけ、顔が引きつる。

運動が、壊滅的に苦手な僕にとっては、あまりにも、ハードルが高い。

僕の、そんな表情を察したのか、優愛が、心配そうに僕の顔を覗き込んだ。


「……溢喜、スキー、やったことないでしょ?」

「……まあ、な」

「そっか。……私も」

僕らは、どちらからともなく、顔を見合わせた。


「大丈夫だって!」

希望が、僕の肩を、バン、と力強く叩いた。

「俺と瀧川先輩が、手取り足取り、教えてやるからよ!」

「え、瀧川先輩も、誘うのか?」


「おう! どうせなら、大人数の方が、楽しいだろ!」

希望の、その、あまりにも単純で、でも、どこか核心をついた一言。

その瞬間、僕と優愛の頭の中に、全く同じ、一つのアイデアが、閃いた。


「「……いっそのこと」」


僕らの声が、綺麗に重なった。

僕らは、顔を見合わせて、ニヤリと、悪戯っぽく、笑い合う。


「……いっそのこと、はとこ会にしちゃう、っていうのは、どうだ?」

僕がそう言うと、希望と美褒は、一瞬きょとんとした後、「「それ、最高じゃん!」」と、声を揃えて、手を叩いた。


「いいね、それ! みんなでスキー旅行! 絶対に、盛り上がるって!」

「幸葵ちゃんとか、流満ちゃんとか、絶対、喜ぶよ!」


僕らの、たった数分の作戦会議は、あっという間に、一大イベントの企画会議へと、その姿を変えていた。

僕は、ファミレスの店員さんから、新しいメニュー表をもらうと、テーブルの中央に、それを広げた。

「じゃあ、また、作戦会議しますか。委員長」

「……うん! そうだね、副委員長!」


僕の言葉に、優愛も、ぱあっと顔を輝かせた。

涼風祭の時と同じ、僕らの、最高の共同作業。

その再現に、希望と美褒も、「おお!」と、身を乗り出してくる。


「――じゃあ、日程は、年が明けてからにしようか」

優愛が、僕が持ってきたペンを手に取り、慣れた手つきで、会議の進行を始めていく。

その横顔は、涼風祭の時と同じ、頼もしい「委員長」の顔だ。


僕らの、忘れられない旅は、まだ終わったばかり。

でも、僕らの日常には、もう、次の、新しい楽しみが、芽生え始めていた。

この、どうしようもなく賑やかで、温かい仲間たちと、そして、かけがえのない家族たちと過ごす、冬休み。

それはきっと、今までで一番、忘れられない冬になる。

そんな確信に満ちた、幸せな予感が、僕の胸を、いっぱいにしていた。

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