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面倒見のいい幼馴染が、今日も僕を叱る  作者: Takayu
第七章 恋人たちの航海
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第百二十九話 星空の下の、誓いのキス

僕らは、示し合わせたわけでもないのに、同じ「星空」というモチーフを選んでいた。

その、奇跡みたいな事実に、僕らはもう、たまらなくなって、どちらからともなく、顔を近づけた。


唇が、触れ合う、ほんの数センチ手前。

一度、経験したはずなのに。いや、一度、経験したからこそ、僕の心臓は、今にも張り裂けそうなくらい、激しく脈打っていた。


僕は、意を決して、その最後の数センチを、埋めた。


クリスマスイブの、星空の下で交わすキスは、今までで一番、長くて、甘かった。


どれくらいの時間が、経っただろうか。

名残惜しそうに、ゆっくりと唇を離すと、目の前には、顔を真っ赤にして、潤んだ瞳で、僕をじっと見つめている、優愛がいた。


「……部屋、戻ろっか」

「……うん」


僕らは、そっと、手を繋いだ。

そして、どちらも、何も言わずに、自分たちの部屋へと、戻っていく。

ラウンジから流れてくる、楽しそうなクリスマスソング。

すれ違う、幸せそうなカップルたち。

その全てが、僕らの、特別な夜を、祝福してくれているようだった。


部屋に戻り、ドアを閉めた瞬間。

優愛が、僕の胸に、こてん、と、額を預けてきた。


「……どうした?」

「……ううん」

彼女は、顔を上げないまま、くぐもった声で、言った。

「……なんか、夢みたいで。……終わってほしくないなって」


その、あまりにも健気で、あまりにも愛おしい言葉に、僕は、もう、どうしようもなくなって、彼女の華奢な体を、強く、強く、抱きしめた。


「終わらないよ」


僕は、彼女の耳元で、囁いた。


「この旅が終わっても、僕らの時間は、ずっと、続いていく。これからも、ずっと、だ」


僕の言葉に、彼女は、顔を上げて、僕の顔を、じっと、見つめてきた。

その瞳から、ぽろり、と、一粒の涙が、こぼれ落ちる。

でも、それは、悲しい涙じゃなかった。


「……うん」


最高の笑顔で、そう言って、頷いてくれる、彼女。

僕は、そっと、その涙を、指で拭う。

そして、どちらからともなく、もう一度、僕らの唇は、自然と、重なり合っていた。

僕らの、忘れられないクリスマスイブの夜は、こうして、優しく、そして、どこまでも甘く、更けていった。

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