表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面倒見のいい幼馴染が、今日も僕を叱る  作者: Takayu
第二章 修行の始まり
10/181

第十話 優誓おじいちゃん発・はとこサミット 弐

玄関をくぐると、涼しい空気と木の香りが一気に押し寄せてきた。

広いホールには、大きな階段と、いくつもの部屋に続く廊下が見える。

まるで本当にお城みたいだ。


「お、溢喜、美褒、来たな!」

奥から優誓おじいちゃんの声が響く。

白いシャツに派手なスカーフ、そしてこの状況を完全に楽しんでいる顔。


「こっちだ、こっち。会議室に案内するぞ」


優誓おじいちゃんに連れられて、廊下を歩く。

廊下の壁には絵画がたくさん飾られていた。どれも高そうだ。


会議室の前に着いた。重厚な木製のドアが閉まっている。


「さあ、入るぞ」


ドアを開けると、そこには大きな楕円形のテーブルがあった。

その周りに、女子ばかり――いや、女子しか座っていなかった。

あれは、本当だったんだ!


ざっと見ただけで、年齢も雰囲気もバラバラだ。

真っ先に目が合ったのは、長い黒髪をひとつにまとめた、落ち着いた雰囲気の子。

その隣でペンを回しているのは、茶髪で笑顔がやたら人懐っこい子。

一番奥でスマホをいじっているのは、たぶん僕と同い年くらい。

——あ、目が合った。すぐ逸らされたけど。


数えてみると十人以上いる。

こりゃダメだ。オワタ。


テーブルの一角が空いていて、美褒と並んで座る。

近くの子たちの視線が、明らかに"物珍しいものを見る目"なのが、ちょっと刺さる。

まあ、男子僕ひとりだし、仕方ないけど。


「まだ一人来ていないが、始めようか」

僕の隣を一席あけて、優誓おじいちゃんは座る。

誰だその一人。

頼むから、僕が知ってる人が隣に来てほしい。


「まずは自己紹介からだ。名前と、どの家系かを言ってくれ」

優誓おじいちゃんが手を叩くと、順番に名前と簡単な自己紹介が始まった。


順番が進むにつれて、空気が少しずつ和らいでいく。

でも、みんなが笑っている時、優誓おじいちゃんだけは目を細め、何かを計っているような表情をしていた。


最後に、僕の番が来る。

「あー…溢喜です。えっと、真実おじいちゃんの家系です」

「得意なこと、女子との会話なんだろ!」

優誓おじいちゃんが余計なひと言をぶち込んだ瞬間、場がざわつく。

美褒が小声で「やっぱ言うと思った~」と笑った。

あー、もー、恥ずかしい。

何してんだよ、ホントに……。


そういえば、優誓おじいちゃんの家系の子、いなかったな。

そう思っていたのも束の間、会議室のドアがノックされた。


「みんな、やっと来たぞ!」

もしかして、さっき言ってた子か?!


ドアが開いて、優誓おじいちゃんが立ち上がった。

「紹介しよう!俺の愛しの孫、娘といってもいい……優愛だ!」


その声と同時に、会議室の空気が少し変わった気がした。

ゆっくりと入ってきたのは、紛れもなく——僕の初恋の相手、優愛だった。


ゆ、ゆあ?!

心臓が一拍、跳ねる。

息が少し浅くなる。


優愛が、どうしてここに……?!

いや、待てよ。優誓おじいちゃんの孫って言ったよな。

ということは、優愛も光道家の血筋?

幼馴染が、まさか僕のはとこだったなんて...。

なんで今まで一度もそんな話が出なかったんだ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ