表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結保証】『ギャルエルフ』になった社畜SEの俺、転生先が『バグだらけの世界』だったので『デバッグ』することになりました!――ギャルSEの異世界デバッグ!  作者: AKINA
フィーチャー3:『猫耳学者と未知の魔導構造!~コミュ障学者が王都を救う!?~』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

76/176

コミット 76:『「知識のアウトプット」サポート開始!小さな成功体験が、心のバグをデバッグする!?』

ニーナとセレスティの共同研究は、少しずつだが日に日に進展していた。セレスティが持つ古代魔法の膨大な知識は、まるで未整理の巨大なデータベースのようだったが、ニーナが論理魔導(ロジカルマジック)のフレームワークを用いることで、その知識を少しずつ「構造化」し、現代でも応用可能な形へと「翻訳」していく作業が進められていた。


しかし、最大の課題は、依然としてセレスティ自身の「知識の『アウトプット』下手」という問題だった。どれほど素晴らしい知識を持っていても、それを実際に魔法として具現化できなければ、宝の持ち腐れになってしまう。


「(セレスティさんの頭の中には、とんでもない量の『設計図』がある。でも、それを実際に『変換』して『実行』する部分が、極端に苦手なんだよな……自分の力を信じられないでいる……)」


ニーナは、セレスティが抱えるであろう過去の辛い経験を慮りつつ、慎重に、そして根気強く、彼女の「アウトプット」作業をサポートすることにした。


「セレスティさん、あの『純粋な雷撃』の魔法、もう一度試してみません?前回、理論上はかなりいい線までいってたじゃないですか」


「で、でも……私なんかが、本当に、あんな高度な魔法を……もし、失敗したら……」


セレスティは、不安そうに俯いてしまう。


「大丈夫だって!今回は、私が魔力制御のサポートしますから!セレスティさんは、頭の中にある『設計図』通りに、魔力の流れをイメージするだけでいいんです。細かい調整は、私がやりますんで!」


ニーナは、セレスティを励ましながら、彼女が持つ知識を具体的な魔法として発動できるよう、手助けを始めた。それは、まさにSEがプログラマーの書いたコードをデバッグし、実際に動作するように修正していく作業に似ていた。


セレスティは、おずおずと、古代文献に記された「雷撃魔法」の魔導回路を思い浮かべる。ニーナは、エレメンタル・ガードナーを通して、セレスティの魔力の流れを繊細に感じ取りながら、彼女のイメージする魔導回路を、自分の論理魔導(ロジカルマジック)で補正し、最適化していく。


「そう、その魔力の流れを、もう少しだけ強く……!そして、次の魔石への接続は、こっちのルートの方が安定します!出力タイミングは、今です!」


ニーナの的確な指示とサポートを受けながら、セレスティは、震える手で、小さな魔石の欠片を特定の配列に並べ、そこに自分の魔力を流し込もうと試みた。これは、セレスティにとって、ニーナの論理魔導(ロジカルマジック)の考え方を取り入れ、自ら魔法を「構築」する初めての試みでもあった。


すると、次の瞬間。


パチパチッ……!


セレスティの手元で、小さな、しかし確かな稲妻が迸ったのだ。それは、ほんの数センチ程度の、可愛らしいほどの小さな稲妻だったが、紛れもなく、古代魔法の理論に基づき、そしてセレスティ自身の意志で制御された「純粋な雷撃」だった。


「あ……!あ……っ!」


セレスティは、目の前で発生した小さな稲妻を見て、言葉を失い、ただただ目を見開いていた。そして、その猫耳がピクンと大きく震え、瞳からは、大粒の涙がポロポロとこぼれ落ち始めた。


「で、できた……!私の……私の知識が……本当に、魔法に……!私が、魔法を……!」


それは、彼女にとって、初めての「成功体験」だった。自分の知識が、誰にも理解されない無価値なものではなく、実際に世界に影響を与える「力」になり得るのだという、確かな実感。その小さな達成感が、セレスティの心に深く刻まれたトラウマの影に、ほんの僅かな光を差し込ませた瞬間だった。


ニーナは、そんなセレスティの姿を、温かい目で見守っていた。


「(やったな、セレスティさん。これが、『知識を実装する』ってことなんだよ。小さな一歩だけど、これは間違いなく、あんたにとって大きな前進だ。そして、あんたも論理魔導(ロジカルマジック)の第一歩を踏み出せたってことだ)」


この小さな稲妻は、セレスティの「心の不具合」を修正するための、そして彼女の才能を世界に開放するための、輝かしい第一歩となるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ