コミット 64:『歪んだ洞窟を探索!これって「人為的介入」の痕跡!?』
薄暗く歪な洞窟の中を、ニーナはエレメンタル・ガードナーから放つ炎の灯りを頼りに進んでいた。滑り落ちてしまった入り口はもう見えず、完全に未知の領域へと足を踏み入れてしまったことを実感する。洞窟内の魔力の乱れはますますひどくなり、時折、壁や天井がぐにゃりと歪んで見えるほどの空間の不安定さを感じさせた。
「(この洞窟、本当に気味が悪いな……まるで、システムのメモリ空間が断片化して、正常なデータアクセスができなくなってるみたいだ。こんな状態じゃ、何が起きてもおかしくないぞ)」
ニーナは、SEとしての警戒心を最大限に高め、周囲の魔力の流れを注意深く分析しながら進む。幽霊魔物も、依然として散発的に出現するが、一度戦い方を掴んでしまえば、それほど脅威ではなかった。問題は、この洞窟そのものが抱える、根本的な「不安定さ」だ。
しばらく進むと、道が大きく二手に分かれている場所に出た。どちらの道も、奥からはさらに濃密な、そして不吉な魔力の気配が漂ってきている。
「(どっちが正解なんだ……?あるいは、どっちも不正解で、袋小路に繋がってる可能性も……こういう時、デバッガーならログを追うんだけどな……残念ながら、この世界のシステムにそんな便利な機能はなさそうだ)」
ニーナは、少し考えた末、より魔力の乱れが激しいと感じられる方の道を選んだ。危険は大きいかもしれないが、そこにこそ、この洞窟の異常の原因がある可能性が高いと判断したからだ。
その道は、ますます狭く、そして歪になっていった。時には、這いつくばらなければ通れないような場所や、足場が不安定で滑り落ちそうになる場所もあった。そして、道の途中には、明らかに人工的に加工されたような痕跡が散見されるようになった。壁には、意味不明な幾何学模様が刻まれていたり、床には、何かの装置の一部だったかのような金属片が転がっていたりする。
「(この洞窟、やっぱりただの自然洞窟じゃないな……誰かが、何らかの目的で、ここに何かを『設置』した痕跡がある。そして、その『何か』が、今、おかしくなってるんじゃないか……?)」
ニーナの推測は、やがて確信へと変わっていく。洞窟の最深部に近づくにつれて、特定の魔力パターンが、まるで警報音のように周期的に繰り返されているのを感じ取ったのだ。それは、自然界には存在しえない、極めて人工的で、そして制御を失ったかのような、危険な魔力の鼓動だった。
「(何か、大きな魔力の源がこの奥にあるのは間違いない……そして、その魔力の流れが、どうにも不自然すぎる。まるで、誰かが無理やり流れを捻じ曲げようとして、失敗したみたいな……)」
ついに、ニーナは洞窟の最深部と思われる、ひときわ広大な空間へとたどり着いた。その空間の中心には、禍々しい紫黒色の光を放つ、奇妙な形状の壺……いや、あれはただの壺じゃない。表面には、まるで回路基板のように複雑な溝が走り、その溝に沿って魔力が激しく明滅している。まるで、人工的に魔力を集め、変換するように加工された特殊な「魔石集積体」とでも呼ぶべき代物だった。そして、その壺からは制御を失った魔力が、まるで濁流のように溢れ出している。周囲には、その魔力によって形成されたと思われる、ガラス質の硬い物質が、まるで殻のように魔石集積体を覆っていた。
「(こいつだ……!こいつが、この洞窟の異常の元凶……!この『魔石集積体』が魔力を乱している……!その影響で、洞窟全体が不安定な魔力で満たされて、世界の歪みを生み出しているんだ!人為的に設置されたものが不具合を起こしてるってことは、誰かが意図的に、あるいは過失で、この世界のシステムに干渉しようとした結果なのか……?)」
ニーナは、エレメンタル・ガードナーを構え、暴走する魔石集積体と対峙する。これを何とかしなければ、この洞窟の異常も、霧隠れの森の歪みも、そしておそらくは騎士団領の天候不順さえも、解決しないだろう。
しかし、魔石集積体から放出される魔力はあまりにも強大で、迂闊に近づけば、ニーナ自身もその暴走に巻き込まれかねない。
「(どうする……?物理的に破壊するのは危険すぎる。かといって、このまま放置もできない……やはり、俺の術で、この魔石の暴走を止めるしかないのか……?)」
ギャルSEの、命がけの「システムリカバリー」が、今、始まろうとしていた。
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