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【完結保証】『ギャルエルフ』になった社畜SEの俺、転生先が『バグだらけの世界』だったので『デバッグ』することになりました!――ギャルSEの異世界デバッグ!  作者: AKINA
フィーチャー2:『騎士団長と謎の魔物!?~論理と経験則の衝突、そして協調~』

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コミット 62:『霧の中のデバッグ作業!実体化の瞬間を狙え!』

霧隠れの森の奥深く、ニーナは実体を持たないかのように揺らめく幽霊魔物と対峙していた。通常の物理攻撃も、単純な属性魔法も、その半透明の身体をすり抜けてしまう。まさに、SEにとって最も厄介な、再現性の低いバグに遭遇したような気分だった。


「(こいつの存在の仕組み、どうなってんだ……?完全に実体がないわけでもなさそうだし、かといって物理的な実体としても不完全……まるで、作られたばかりの物体みたいだ)」


ニーナは、魔物の不規則な動きを避けながら、その「実体化」の瞬間を見極めようと集中力を高める。彼女の分析通りなら、この魔物は周囲の魔力と同期することで、ほんの一瞬だけ、この世界に確固たる存在として「実体を持つ」はずだ。その瞬間こそが、唯一の攻撃チャンスとなる。


しかし、そのタイミングは極めて短く、魔物の動きも予測不能。濃い霧が視界を遮り、さらに難易度を上げている。


「(くそっ、まるで霧の中で、点滅するLEDのわずかな光を掴もうとしてるみたいだ……!集中力が持たない……!)」


何度か、攻撃を試みようとするが、タイミングが僅かにズレてしまい、自分の術は空しく魔物の体をすり抜けていく。その度に、魔物は嘲笑うかのように、不気味な音を発しながらニーナの周りを漂う。


「(こいつ、もしかして俺をからかって遊んでる……?だとしたら、ちょっとムカつくな!)」


焦りと苛立ちが、ニーナの集中力を蝕んでいく。前世でも、解決の糸口が見えないバグに何日も悩まされ、精神的に追い詰められた経験は何度もある。その時の嫌な感覚が、じわじわと蘇ってくるようだった。


「(ダメだ、冷静になれ、俺。SEは、どんな時でも論理的に、そして粘り強く問題を解決しなきゃならないんだから!)」


ニーナは一度深呼吸をし、思考をクリアにしようと努めた。そして、エレメンタル・ガードナーのガントレットに意識を集中する。このデバイスは、単に魔力を増幅するだけでなく、ニーナの思考と魔力の流れを精密に同期させ、より高度な術の実行を可能にする。


「(ガントレットの魔力感知の精度を最大に……そして、魔物の魔力の変化をその場で追跡……実体化の予兆となる特定の波長だけを絞り込んで……よし、これで少しはタイミングが掴みやすくなるはずだ!)」


ニーナは、SE的な発想で、ガントレットの機能を即席で「微調整」していく。それは、まだ完全な制御とは言えないまでも、エレメンタル・ガードナーの新たな可能性を引き出す試みだった。


そして、数分間の神経をすり減らすような攻防の後、ついにその瞬間が訪れた。


「(来たっ!今だ!)」


魔物の姿が一瞬だけ濃くなり、その体の中心部に、まるで核のような微弱な光が灯るのが見えた。それは、コンマ数秒にも満たない、刹那のタイミング。


「――くらえっ!『炎槍(フレイム・ランス)』!!」


ニーナは、その一瞬を逃さず、凝縮した炎の魔力で作り出した鋭い槍を、ガントレットから正確無比に放った。それは、魔物が実体化した瞬間に、その核と思われる部分を物理的に貫通し、燃焼させることを目的とした、一点集中の炎の術だ。


炎の槍は、見事に魔物の核を捉えた。


「キィィィィィイイイイイイッッ!!!」


魔物は、これまで聞いたこともないような甲高い悲鳴を上げ、その半透明の体が激しく明滅を始めた。そして、まるで燃え尽きるかのように、その姿が急速に薄れていき、数秒後には、完全に霧の中へと消え去ってしまった。


「……はぁ、はぁ……やった……のか……?」


ニーナは、その場に膝をつき、荒い息を整えた。全身の集中力を使い果たし、立っているのもやっとだった。しかし、目の前から魔物の気配が完全に消え去ったことで、ようやく安堵のため息をつくことができた。


「(まさか、本当にタイミングだけで倒せるとはな……でも、今の『炎槍(フレイム・ランス)』、エレメンタル・ガードナーのサポートがなかったら、絶対無理だった……このガントレット、思った以上に奥が深いぞ……!)」


この霧の中でのデバッグ作業は、ニーナにとって、自分の術の新たな応用と、エレメンタル・ガードナーの可能性を再認識させる、貴重な経験となったのだった。

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