コミット 59:『新たな旅路!ヴァローナからの「餞別」と、芽生えた自信!』
騎士団の駐屯地を後にして数日、ニーナは次の目的地である大きな中継都市「クロスロード」を目指して街道を歩いていた。ヴァローナたちとの別れは少し寂しかったが、それ以上に、新たな冒険への期待感が胸を高鳴らせていた。
「(さてと、まずはクロスロードで情報収集だな。世界の不具合に関する手がかりとか、もっと効率的な移動手段とか、いろいろと調べたいことがあるし)」
今回の旅では、以前のような心細さはあまり感じなかった。それは、騎士団での経験を通じて、自分の力に対する少しの自信が芽生えたからかもしれない。そして何より、ヴァローナという信頼できる「仲間」ができたことが、ニーナの心の支えになっているのは間違いなかった。
ふと、ニーナは背負っている荷物の中から、出発の際にヴァローナから「餞別だ」と言って渡された小さな革袋を取り出した。中には、ずっしりとした重さの金貨と、そして一枚の羊皮紙が入っていた。
羊皮紙を開くと、そこにはヴァローナの力強い筆跡で、いくつかの都市や村の名前、そしてそこにいる信頼できる人物の名前(元騎士団員や、彼女が懇意にしている商人など)が記されていた。
「(うわ、これ、完全に『紹介状リスト』じゃないか!ヴァローナさん、意外と面倒見良いとこあるんだな……ツンデレなだけじゃなかったか)」
ニーナは、その不器用な優しさに、思わず笑みがこぼれた。そして、金貨の量にも少し驚いた。これだけあれば、当座の旅の資金には困らないだろう。
「(これで、装備も少しはマシなものが買えるかな……?いつまでも、この手作り感満載のギャル服ってわけにもいかないし。あ、でも、イヤリング……エレメンタル・ガードナーだけは、もう手放せないけど!)」
エレメンタル・ガードナーは、今やニーナにとって、単なるアクセサリーではなく、強力な武器であり、そして自分の術を最大限に活用するための不可欠なデバイスとなっていた。その力はまだ未知数だが、ニーナは、このガントレットと共に、どんな困難な不具合も修正できると信じていた。
「(そういえば、ヴァローナさん、別れ際にこんなことも言ってたな……)」
『君のその力は、正しく使えば多くの人々を救うだろう。だが、使い方を誤れば、大きな災いを招く可能性も秘めている。常に己を律し、その力を何のために使うのか、見失わないようにしろ』
「(……肝に銘じておきますよ、ヴァローナさん。この力は、世界の不具合を修正して、みんながもっと快適に暮らせるようにするために使うって、決めてるんだから!)」
ニーナは、新たな決意を胸に、力強く一歩を踏み出した。彼女の自己肯定感は、ヴァローナからの正当な評価と、騎士団での成功体験によって、着実に回復しつつあった。もはや、他人の評価に怯え、自分を偽る必要はない。自分は自分らしく、SEとしての知識と、ギャルとしての(?)バイタリティで、この世界のシステムに立ち向かっていけばいいのだ。
空はどこまでも青く澄み渡り、まるでニーナの新たな旅立ちを祝福しているかのようだった。
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