コミット 57:『ヴァローナとの語らい!?過去と未来、そして「論理」の可能性!』
祝宴が一段落し、多くの騎士たちが酔い潰れて眠りについた深夜。ニーナは、一人で駐屯地の見張り台に登り、静かに夜空を眺めていた。満天の星々が、まるでダイヤモンドを散りばめたように煌めいている。この世界の星空は、本当に綺麗だ、とニーナは改めて思った。
「……眠れんのか、ニーナ」
不意に背後から声をかけられ、ニーナが振り返ると、そこにはヴァローナが立っていた。彼女も、祝宴の喧騒から離れて、一人静かに過ごしたかったのかもしれない。
「ヴァローナさん……ちょっと、夜風に当たりに来ただけ」
二人は、しばらくの間、言葉もなく並んで星空を見上げていた。以前のような緊張感は、もうそこにはなかった。
やがて、ヴァローナがぽつりと言った。「……君のあの『術』というもの……まだ私には、その全てを理解できたわけではない。だが、それが既存の魔法体系とは全く異なる、新しい可能性を秘めていることだけは分かる」
「まあ、簡単に言えば、魔法の『仕組みを組み立てる』みたいなものですからね。魔力を流すことに意識を集中させて結果を待つんじゃなくて、魔力の流れそのものを自分で設計して、望んだ通りの結果を出す、みたいな」
ニーナは、できるだけ分かりやすい言葉を選んで説明した。
「仕組みを組み立てる……」
ヴァローナは、その言葉を繰り返した。
「君は、それをどこで学んだのだ?ダークエルフの秘術か何かか?」
「うーん、まあ、そんなところです。ちょっと特殊な環境で育ったもので」
ニーナは、前世のことまでは話せず、曖昧に誤魔化した。
「そうか……」
ヴァローナは、それ以上は追及しなかった。
「君のその力は、あるいは、この世界が抱える多くの『問題』……君の言う『バグ』とやらを、解決する鍵になるのかもしれんな」
その言葉には、以前の彼女からは考えられないほどの、新しいものへの期待と受容が感じられた。
「だと、いいんですけどね。でも、世界の問題は、思った以上に根が深そうですから。私一人じゃ、どうにもならないことも多いと思います」
「一人ではないだろう」
ヴァローナは、静かに言った。
「君には、我々がいる。そして、君がこれから出会うであろう、新たな仲間たちもな」
「仲間……ですか」
「そうだ。君は、今回の件で、我々に『論理立てて考えること』の力と、そして『変化』を恐れないことの重要性を教えてくれた。だが、それと同時に、君自身も、我々との関わりの中で、何かを得たのではないか?」
ヴァローナの言葉に、ニーナはハッとした。確かに、この騎士団での経験は、ニーナにとって多くのものをもたらしてくれた。他人に認められる喜び、仲間と協力することの大切さ、そして何よりも、自分の力が誰かの役に立つという確かな実感。
「……そう、かもしれませんね。私、今までずっと、一人で何でも解決しなきゃって思い込んでたけど……誰かに頼ったり、誰かと一緒に頑張ったりするのも、悪くないなって、ちょっと思えるようになりました」
ニーナは、素直な気持ちを口にした。それは、彼女自身の「心の壁」が、また一つ取り払われた瞬間だったのかもしれない。
「ふっ……少しは素直になったではないか、ニーナ」
ヴァローナは、珍しく穏やかな笑みを浮かべた。
「君のその『論理』と、我々の『経験』。そして、これから君が築いていくであろう『仲間』との絆。それらが合わさった時、きっと、どんな困難な不具合も修正できるはずだ」
その言葉は、まるで予言のように、ニーナの心に深く刻まれた。
静かな夜空の下、ギャルSEと女騎士団長は、それぞれの過去を乗り越え、そして新たな未来への希望を、言葉少なながらも確かに共有していた。
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