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【完結保証】『ギャルエルフ』になった社畜SEの俺、転生先が『バグだらけの世界』だったので『デバッグ』することになりました!――ギャルSEの異世界デバッグ!  作者: AKINA
フィーチャー2:『騎士団長と謎の魔物!?~論理と経験則の衝突、そして協調~』

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コミット 54:『魔力流安定化オペレーション開始!論理魔導《ロジカルマジック》で魔力の流れを書き換え!』

ニーナの熱弁と騎士たちの後押しによって、ヴァローナはついに決断を下した。「嘆きの谷」における魔力異常の調査、そして可能であればその安定化作業を行うことを。


「作戦名は、『黒渦封滅(こくかふうめつ)作戦』とする!」


ヴァローナは、いつもの厳格な騎士団長の顔に戻り、力強く宣言した。「ニーナ殿には、魔力流の解析と安定化作業の主導をお願いしたい。我々騎士団は、その作業中の護衛、及び物理的な障害の排除を担当する。異論はあるか!」


騎士たちからは、力強い賛同の声が上がった。もう、そこに迷いや不安の色はなかった。


「(黒渦封滅(こくかふうめつ)……か。まあ、名前はともかく、やることは魔力流の異常を止めるってことだな。燃えてきたじゃないか!) 」


ニーナは、内心でSE魂を滾らせた。


数日後、ニーナとヴァローナ率いる騎士団の精鋭部隊は、「嘆きの谷」の入り口に到着した。谷底からは、不気味な風鳴りと共に、濃密な魔力の淀みが黒い靄のように立ち込めているのが遠目にも確認できる。その禍々しい光景は、まるでシステムの奥底で暴走するおかしな動きを可視化したかのようだ。


「(うわー……予想以上にひどいな、これ。魔力の流れが完全にめちゃくちゃだ。放っておいたら、マジでこの地域一帯が元に戻らなくなりかねないぞ) 」


ニーナは、イヤリングに手をやり、いつでもエレメンタル・ガードナーを起動できるよう意識を集中させる。今回の任務は、これまでの小規模な不具合修正とは訳が違う。広範囲に及ぶ魔力流の異常を、根本から「書き換える」必要があるのだ。


「ヴァローナさん、谷の中心部に向かって、魔力の淀みが特に濃いポイントがあるはずです。そこが、今回の作戦の目標になります」


「承知した。全隊、警戒を怠るな!何が出てきても対処できるように、常に周囲を警戒しろ!」


ヴァローナの指示のもと、騎士団は慎重に谷の奥へと進んでいく。谷底に近づくにつれて、魔物の気配も濃くなり、実際に何度か小規模な戦闘も発生した。しかし、以前とは違い、ヴァローナはニーナの的確な魔力感知による情報 (例えば、魔物の出現位置や弱点など)を積極的に取り入れ、過去の経験則だけに囚われない柔軟な指揮で、騎士団を的確に導いていた。その戦いぶりは、まさに過去の失敗を乗り越え、新たな戦術眼を開花させたかのようだった。


そして、ついに一行は、谷の最深部、巨大な裂け目のような場所へとたどり着いた。そこからは、まるで間欠泉のように、荒れ狂う黒い魔力の奔流が、禍々しい光の線を伴いながら噴き出していた。その光景は、まさに世界のシステムに開いた巨大な「穴」であり、そこから致命的な問題が漏れ出しているかのようだった。


「(ここだ……!ここが、魔力流異常の震源地!この黒い奔流を止めない限り、天候不順も、魔物の異常発生も収まらない!)」


「ニーナ殿、どうすればいい!」


ヴァローナが、緊張した面持ちで尋ねる。


「私が、例の私の術で、あの黒い魔力の流れを正常な状態に『書き換え』します!でも、作業中は完全に無防備になるので、その間の護衛をお願いします!おそらく、この魔力の淀みに引き寄せられて、強力な魔物も出てくるはずです!」


「任せろ!我々が、貴殿を必ず守り抜く!」


ヴァローナは力強く頷いた。


ニーナは、エレメンタル・ガードナーをガントレット形態へと変化させ、深呼吸を一つした。そして、全ての意識を、荒れ狂う黒い魔力の奔流と、自らのガントレットに刻まれた魔導回路へと集中させる。


「(魔力流の噴出点に狙いを定めて!術式……『魔力経路制御(マジックフロー・リダイレクション)安定化術式(スタビライゼーション・プロトコル)』、実行開始!)」


ニーナのガントレットが、眩いほどの青い光を放ち始めた。その光は、無数の清浄な光の線となって黒い魔力の奔流へと伸び、それを包み込み、まるで熟練の技術者が複雑な機械を修理していくかのように、荒れ狂う流れを少しずつ、しかし確実に整えようと試みる。ガントレットの表面には、これまで見たこともないほど複雑で緻密な光の紋様――それはまるで、高度な回路図か、あるいは宇宙の星図のようにも見えた――が明滅し、周囲の空間にまでその光のパターンが投影される。


しかし、その瞬間、まるでニーナの介入を拒むかのように、黒い魔力の奔流が一層激しさを増し、そこから異形の魔物たちが次々と姿を現し始めた!


「来たか!各員、迎撃用意!ニーナ殿の作業が終わるまで、一歩も通すな!」


ヴァローナの号令の下、騎士たちが魔物の群れへと突撃していく。ヴァローナ自身も、過去のトラウマを完全に振り払ったかのような、迷いのない剣さばきで魔物を次々と屠っていく。彼女は、ニーナから得た「敵の行動の兆候を読む」という新たな視点と、元々持っていた卓越した剣技を融合させ、以前とは比較にならないほど効率的で強力な戦い方を見せていた。


ニーナは、背後で繰り広げられる激しい戦闘を感じながらも、全ての意識を魔力流の整流化作業に集中し続ける。青い光の線が、黒い奔流を少しずつ浄化し、調和させていく。それは、まさに世界の仕組みを「修復」する、壮大な作業だった。

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