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【完結保証】『ギャルエルフ』になった社畜SEの俺、転生先が『バグだらけの世界』だったので『デバッグ』することになりました!――ギャルSEの異世界デバッグ!  作者: AKINA
フィーチャー2:『騎士団長と謎の魔物!?~論理と経験則の衝突、そして協調~』

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コミット 47:『論理魔導《ロジカルマジック》VS騎士の剣技!異種格闘デモンストレーション!』

温泉での一件以来、ニーナとヴァローナの間には、以前のような険悪な雰囲気は多少和らいだものの、依然として互いの戦術思想や価値観の違いは埋まっていなかった。特に、騎士たちの間では、ニーナの使う力の理解度はまだ低く、「得体の知れない力」「邪道」といった見方をする者も少なくなかった。


「(このままじゃ、いざという時に連携が取れない可能性もあるな……やはり、一度ちゃんと俺の『考え方』を理解してもらう必要があるだろう!)」


ニーナは、ヴァローナに直談判し、騎士たちに自分の使う力の有用性を理解させるための「デモンストレーション」の機会を設けてもらうことにした。ヴァローナは、渋々ながらも、騎士団全体の士気と練度向上に繋がる可能性を考慮し、それを許可した。


訓練場に集まった騎士たちの前で、ニーナはイヤリング型の「エレメンタル・ガードナー」に魔力を込め、深紅のガントレットを両腕に形成し、一人の騎士と模擬戦を行うことになった。相手は、騎士団の中でも特に腕っぷしが強く、猪突猛進な戦い方をする若手のホープ、バルガス。彼は、ニーナの力を最も懐疑的に見ている一人だった。


「小娘の奇妙な手品なんて、俺の剣で打ち砕いてやるよ!」


バルガスは、自信満々に大剣を構える。


「(うわー、典型的な脳筋タイプだな……しかし、こういう相手の方が、俺の力の有効性を示すには好都合かもしれないな!)」


模擬戦が開始されると、バルガスは言葉通り、猛然とニーナに襲いかかってきた。その剣撃は重く、速く、力任せではあるが、一撃一撃に確かな破壊力を秘めている。赤い直線的な光の軌跡を描く彼の剣は、まさに猪の突進のようだ。


しかし、ニーナは冷静だった。


「(パワーだけじゃ、この世界の不具合は修正できないんだよ!)」


ニーナは、バルガスの直線的な攻撃を、最小限の動きでひらりひらりとかわしていく。そして、ガントレットから、青や緑の多彩な光の弾道を描く魔法を放つ。


「『火焔乱舞(バウンド・フレイム)!』」


ニーナが放った小さな炎の弾は、まっすぐバルガスに向かうのではなく、地面や訓練場の壁に反射し、予測不能な角度から彼を襲う。


「なっ!?なんだこの動きは!?」


バルガスは、そのトリッキーな攻撃に翻弄され、大剣を振り回すが、炎の弾は面白いように彼の攻撃をすり抜けていく。


「(ふふん、オブジェクト指向プログラミングっていう考え方の応用だ。炎の弾に『反射』っていう特徴を付与しただけだ!)」


さらにニーナは、水の魔力でバルガスの足元に薄い氷の膜を生成し、彼の体勢を崩そうとする。


「『水縛氷結(フリーズ・フィールド)!』」


「うおっ!?」


バルガスは、突然滑りやすくなった足元にバランスを崩し、たたらを踏む。


「(どうだ、物理法則も組み込んでいるんだからな!)」


騎士たちは、その見たこともない魔法の応用に、驚きの声を上げていた。力と力のぶつかり合いが全てだと思っていた彼らにとって、ニーナの戦い方はあまりにも異質で、そして効果的だった。


ヴァローナは、腕を組み、厳しい表情でその模擬戦を見つめていた。ニーナの使う力が、従来の魔法体系とは全く異なる原理で動いていること、そしてそれが、既存の戦術では対応しきれない可能性を秘めていることを、彼女は肌で感じ取っていた。


模擬戦の最中、バルガスが怒りに任せて放った渾身の一撃が、ニーナの予測を僅かに超える速度で迫った。


「(やばい、予想外の動きだ!このままじゃクリティカルヒットをもらう!)」


ニーナの脳裏に、一瞬、前世でシステムがクラッシュする瞬間の絶望的なエラーログがフラッシュバックする。しかし、次の瞬間、俺の身体は、自分でも意識しないうちに、まるで風に舞う木の葉のようにその一撃を回避していた。魔力の流れを無意識に読み取り、相手の動きを完全に先読みしたかのような、神業的な動きだった。


「(今のは何だ……?俺、こんな動きできたか……?まるで、身体の応答速度がものすごく上がった……?)」


ニーナ自身も、その異常な反応速度に驚きを隠せない。


その一瞬の隙を突き、ニーナはバルガスの懐に飛び込み、ガントレットで軽く彼の胸を突いた。


「……そこまで!」


ヴァローナの制止の声が響き、模擬戦は終了した。


バルガスは、ぜえぜえと肩で息をしながら、信じられないといった表情でニーナを見つめている。


「ば、馬鹿な……俺の剣が、一度も掠りもしないなんて……」


ニーナは、内心の動揺を隠し、いたずらっぽく笑って見せた。「だから言ったでしょ?力だけじゃ、この世界の不具合は修正できないんだって。論理と効率、それが大事なんだよん!」


騎士たちの間からは、もはやニーナを馬鹿にするような声は聞こえなかった。代わりに、畏敬と、そして好奇の入り混じった視線が、彼女に注がれていた。


このデモンストレーションは、騎士たちにニーナの力の片鱗を見せつけ、そしてニーナ自身の未知なる可能性をも垣間見せる結果となったのだった。


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