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『ギャルエルフ』になった社畜SEの俺、転生先が『バグだらけの世界』だったので『デバッグ』することになりました!――ギャルSEの異世界デバッグ!  作者: AKINA
フィーチャー1:『異世界転生、ギャル爆誕!~SEの常識は異世界の非常識!?~』

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コミット 29:『ゴブリン遭遇!論理魔導《ロジカルマジック》、命令構文が長すぎ問題!?』

隣村で井戸の魔力調整を終え、拠点としている村へ戻る道すがら。鬱蒼とした森の中の道は、昼間でも薄暗く、心細さを感じさせる。ニーナは気を引き締めながら、先を急いでいた。 その時だった。


「キギィィィ!!」


茂みの中から、獣のような甲高い叫び声と共に、黒色の小さな影が複数飛び出してきた。ゴブリンだ。その数は五、六匹。知性のかけらも感じられない濁った目でニーナを捉え、涎を垂らしながら、ただただ破壊衝動のままに襲いかかってきたのだ。魔力の塊が暴走しているかのような、純粋な敵意。


「(うわっ、マジかよ!エンカウント率高すぎだろ、このエリア!)」


ニーナは咄嗟に距離を取り、耳元のイヤリング型デバイスに意識を集中する。デバイスに込められた赤い魔石が、戦闘を予期して微かに熱を帯びる。


「(よし、論理魔導(ロジカルマジック)の実戦投入だ!まずは、相手の動きを……って、そんな暇ないか!)」


ゴブリンたちは、考えるというより本能のままに、無秩序に突進してくる。


「(単純な個体攻撃じゃダメだ。数が多い!範囲攻撃か、あるいは動きを止める何か……!)」


ニーナの脳裏に、青い光の線で構成された魔法のコマンドが高速で組み立てられていく。


「(対象:前方範囲。動作:『炎の壁・簡易版』。設定:持続時間・短、威力・中、魔力消費・中。よし、発動!)」


イヤリングに魔力が供給され、ニーナの手のひらから小さな炎が扇状に広がり、ゴブリンたちの足元を薙ぐ。数匹が怯んで動きを止めるが、すぐにまた襲いかかってくる。


「(くそっ、命令の書き方が長すぎるんだよ!もっとシンプルで分かりやすい魔法の指示じゃないと、実戦じゃ使えない!)」


前世のプログラムなら、ショートカットキーとかマクロとか使って、もっと効率よく魔法を組めたはずなのに。でも、今は全部俺の頭の中で考えなきゃいけない。思考の速度が、ゴブリンの単純な突進に追いつかない。 一体のゴブリンが、ニーナの思考の隙を突いて、棍棒を振りかざしながら突進してきた。


「(やばいっ!防御魔法……!)」


咄嗟に、魔力の壁をイメージし、薄い炎の障壁を展開しようとする。しかし、焦りのためか魔力制御が安定せず、障壁は頼りなく揺らめくだけで、ゴブリンの一撃であっけなく砕け散った。衝撃で腕が痺れる。


「(いっ……!やっぱり、まだ未熟すぎる!)」


それでも、怯むわけにはいかない。ニーナは後退りながら、必死に次のロジックを組み立てる。集中しろ、斉藤肇!お前はSEだろ!目の前の脅威バグを排除しろ!


「(対象:一点集中。動作:『魔力撃・収束』。設定:威力・最大!)」


半ばヤケクソで、ありったけの魔力をイヤリングに注ぎ込み、手のひらに凝縮させる。赤い魔石が激しく明滅し、熱を放つ。そして、ゴブリンの眉間に狙いを定め、凝縮した魔力の塊を撃ち出した! ドォン!という鈍い音と共に、魔力撃がゴブリンの一体を吹き飛ばす。残りのゴブリンたちが一瞬怯んだ隙に、ニーナは踵を返し、全速力でその場から逃げ出した。


森を抜け、拠点としている村の明かりが見えた時、ニーナはへなへなと地面に座り込んだ。


「(ぜぇ……ぜぇ……!今回は、運が良かっただけだ……!あの命令の書き方は致命的すぎる。もっと短縮されたマクロや、直感的なトリガーを設定できないか?防御魔法も、もっと瞬時に、確実に発動できるように、魔力制御の精度を上げないと……!)」


実践での論理魔導(ロジカルマジック)の難しさ、そして自分の未熟さを痛感した戦いは、同時に具体的な改善点を山ほど洗い出してくれた。


「(そうだ、落ち込んでる暇はない。今回の戦闘の記録を徹底的に調べて、次の改良に繋げるんだ!)」


SEとしての不屈の闘志が、再びニーナの瞳に宿った。もっと強くならなければ、この世界では生き残れない。だが、そのための道筋は、今、確かに見えたのだ。

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