コミット 27:『初めての本格野宿!サバイバルスキル皆無のギャルSE、虫とのエンカウントに絶叫!?』
近隣の村々を巡る情報収集の旅は、必然的に野宿を伴うものだった。ニーナが拠点としている村から日帰りできない距離の村へ向かう際は、道中での野営が必須となる。 その夜、ニーナは初めて本格的な一人での野宿を経験することになった。街道から少し外れた、小高い丘の茂みの中に身を潜める。火を熾そうと、練習中の論理魔導を試みるが、湿った薪はなかなか燃え上がらない。ようやく小さな火種ができた頃には、あたりはすっかり暗くなっていた。 そして、始まったのだ。自然界の洗礼、すなわち「虫とのエンカウント」が。
「ギャーーーーーース!!!」
最初にニーナの悲鳴を引き出したのは、手のひらサイズの蛾だった。羽に気味の悪い目玉模様がついたそいつが、ランタン(これも餞別にもらったものだ)の灯りに誘われて、ニーナの顔面にダイブしてきたのだ。
「(な、なんだ今の!?UMAか!?いや、ただのデカい蛾だ!落ち着け俺!)」
しかし、落ち着けるはずもなかった。蛾を皮切りに、羽音を立てて飛び回る羽虫の大群、足元を這いずる多足類の何か、そして極めつけは、ニーナの寝床に陣取ろうとした、拳ほどもある黒光りする蜘蛛。
「無理無理無理!こんなの変だろ!どういう仕様になってんだよ、この世界の虫は!」
ニーナは半狂乱になりながら、木の枝を振り回し、時には論理魔導で小さな炎を放って虫たちを追い払おうとするが、効果は薄い。むしろ、炎に新たな虫が寄ってくる始末だった。 Fカップの胸も、こんな時には邪魔でしかない。うつ伏せになれば圧迫感が酷く、仰向けになれば無防備な胸元が虫たちの格好の的になる。結局、体育座りのような窮屈な体勢で、うとうととするしかできなかった。
「(誰か助けて……こんなところで人生(異世界編)を終えるなんて、あんまりだ……)」
周囲の物音に怯え、虫の気配に震えながら、ニーナは心底思った。SEとしての知識はあっても、サバイバル能力は皆無。この世界で生きていくには、まだまだ学ぶべきことが多すぎる。そして、何よりも、早くまともな宿でふかふかのベッドにダイブしたい、と切に願った。
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