コミット 23:『デバイス「エレメンタル・ガードナー」プロトタイプ入手!…イヤリング!?これが私の武器かよ!』
村での生活も一ヶ月が過ぎようとしていた頃、ニーナの装備は相変わらず貧弱なままだった。ボロボロの初期ギャル服に、自作の粗末な道具類。これでは、いつ魔物と遭遇してもおかしくないこの世界で、生き残れる自信は皆無だった。
「(せめて、まともな武器の一つでもあればなぁ……論理魔導も、素手とそこらへんの石ころじゃ限界があるし)」
そんなことを考えていた矢先、村に数ヶ月ぶりに訪れたという行商人が、ニーナに声をかけてきた。日に焼けた顔に人の良さそうな笑みを浮かべた、恰幅の良い中年男性だ。
「お嬢ちゃん、見かけない顔だねぇ。旅の人かい?」
「ま、まぁね。ちょっと、この村でお世話になってる感じ?」
「そうかいそうかい。実はな、お嬢ちゃんみたいな若い娘さんでも扱える、とっておきの護身用具があるんだが、見ていかないかい?」
そう言って行商人が取り出したのは、古びた木箱だった。中には、お世辞にも美品とは言えないような武具や装飾品が雑多に詰め込まれている。
「(うーん、完全にガラクタ市って感じだな……掘り出し物なんて期待できそうにないけど)」
期待せずに箱の中を漁っていると、ふと、一対の小さなイヤリングが目に留まった。シンプルな金属製のリングに、小さな赤い宝石がはめ込まれている。宝石の色は、ニーナのルビーレッドの瞳にどこか似ていた。
「これ、何?」
「ああ、それかい?それはエレメンタル・ガードナーという古い魔道具でね。昔はもっと違う形をしていたらしいんだが、今はもうイヤリングとしてしか使えないみたいでね。一応、魔力を流すと少しだけ反応するらしいが……ま、気休め程度だろうねぇ」
行商人は、あまり価値のあるものではないとでも言いたげな口ぶりだった。確かに、見た目は何の変哲もない古びたアクセサリーだ。
「(え、これだけ?せめてナイフとか、もっとこう、武器っぽいものはないわけ?)」 ニーナは露骨に落胆した表情を浮かべた。護身用具と言われて、イヤリングが出てくるとは思わなかった。
しかし、他にめぼしい物も見当たらない。値段も手頃だったので、ニーナは半ばヤケクソでそのイヤリングを買い取ることにした。「(ま、ないよりはマシか……お守り代わりにでもなるっしょ)」
村に戻り、早速イヤリングを耳に着けてみる。特に何も変化はない。次に、試しに魔力を流し込んでみた。すると、イヤリングの表面に刻まれた微細な回路のような模様が、淡く、ほんの一瞬だけ明滅した。そして、赤い宝石が微かに熱を帯びたような気がした。
「(お、本当に反応した。でも、これだけか……やっぱり気休めだな)」
この小さな変化が、後にニーナにとって重要な意味を持つことになるとは、この時の彼女はまだ気づいていなかった。
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
「面白かった!」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひブックマーク登録と、【★★★★★】評価で応援よろしくお願いします!
あなたの応援が、次のコミットに繋がります!




