コミット 216:『激闘の後はご褒美を!みんなでマシュマロ祭り、エンジョイしちゃお!』
エデンから帰還して数日後。平和を取り戻した王都アウレア・シティは、年に一度の「豊穣と感謝のマシュマロ祭り」の季節を迎えていた。街の広場には巨大なマシュマロのオブジェが飾られ、通りには甘い香りが立ち込め、人々は皆、笑顔でこの平和な祭典を楽しんでいる。
「うわー! 何これ、マジでテンション上がるんだけど!」
私は、生まれて初めて見るファンタジー世界のお祭りに、ギャルとしての血が騒ぐのを抑えきれなかった。これまでの激闘の緊張感から解放され、今はただ、この平和な日常を思いっきり楽しみたい。
「よし、みんな! 今日は仕事の話は一切禁止! お祭り、全力でエンジョイするよ!」
私の提案に、仲間たちも、それぞれのやり方で応えてくれた。
祭りのメインイベントは、「巨大マシュマロ早食い競争」。山のように積まれた、赤ん坊の頭ほどもある巨大なマシュマロを、誰が一番早く食べきれるかを競う、なんとも豪快な催しだ。
「ふん、食うことにかけては、騎士の右に出る者はいない!」
なぜか対抗心を燃やしたヴァローナが、颯爽とエントリーする。結果、彼女はその驚異的な胃袋で他の参加者を圧倒し、見事優勝。山のようなマシュマロのトロフィーを手に、満足げな表情を浮かべていた。その姿は、もはや騎士団長ではなく、ただの食いしん坊だった。
次に私たちが向かったのは、「マシュマロ射的」。こちらは、フィリップの独壇場だった。彼が愛用のスナイパーライフルで狙いを定めれば、どんなに小さなマシュマロの的も、百発百中。景品のぬいぐるみを両手いっぱいに抱え、「ふん、これくらいの計算、造作もない」と嘯く彼の姿は、どこか得意げで、子供のようだった。
セレスティは、様々なフレーバーのマシュマロを売る屋台に夢中だった。「この木苺の酸味と、マシュマロの甘さの組み合わせ……素晴らしいです! 古代の文献にあった『甘味の調和論』を彷彿とさせます……!」と、学者らしいコメントをしながら、目をキラキラさせていた。
ゼフィラはと言えば、持ち前の美貌と魅力で、いつの間にか祭りの人気者になっていた。彼女が歩けば自然と人だかりができ、男たちは競うようにして彼女にマシュマロを貢いでいる。
そして、モニカ。生まれたての感情を持つ彼女にとって、このお祭りは、驚きと発見の連続だったようだ。
「ニーナ。この『マシュマロ』という物体、主成分は糖質であり、過剰摂取は身体機能に悪影響を及ぼすはずです。しかし、それを食した人々の脳内からは、極めて強い幸福感を示す魔力波が観測されます。これは、論理的に矛盾しています」
私の隣で、ホログラムの姿で浮かぶモニカが、不思議そうに首を傾げる。
「いーのいーの! 美味しいものは、理屈じゃないんだって! ほら、私が食べてみるから、その時の私の反応を解析してみてよ!」
私が、串に刺した焼きマシュマロをパクリと頬張る。表面はカリッと香ばしく、中はとろりと溶けて、優しい甘さが口いっぱいに広がった。「んー! うまーい!」
「……! ニーナの脳内から、極めて強い幸福感を示す魔力波を観測。同時に、対象物『マシュマロ』が熱によって糖質がカラメル化し、芳香成分が発生する変化を検知しました。なるほど……この二つの事象の相関関係が、『美味しい』という感情の正体なのですね」
モニカはそう言うと、ふわりと、本当に嬉しそうに微笑んだ。その笑顔は、どんなマシュマロよりも甘く、私の心を温かく満たしてくれた。
夜には、色とりどりのマシュマロの形をした花火が、夜空を美しく彩った。私たちは、広場の芝生に寝転がり、その幻想的な光景を、いつまでも見上げていた。
激しい戦いの後だからこそ、この何でもない、平和な一日が、何よりも尊く感じられる。
「(……悪くないな、こういうのも)」
私は、隣で幸せそうに花火を見上げる仲間たちと、その光に照らされてキラキラと輝くモニカの姿を見ながら、心の底から、そう思うのだった。
――フィーチャー7、コンプリート。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
もし本作を気に入っていただけましたら、下の『☆☆☆☆☆からの評価』や、『ブックマーク』で応援していただけると、次回作執筆の大きな励みになります。
できれば、今後の執筆作品の質向上のため、「感想」や「レビュー」もお願いいたします。
反響次第で続編、『教会の暗部編』を執筆しようと思います。
***
お知らせです。
次回作、『スターリード・コンダクター《星詠みの最強指揮官》 ~元社畜の俺、転生先で得た解析スキルで美少女ハーレムを率いて、宇宙最強の指揮官になる~』の投稿を開始しています。今度は剣と魔法、そして宇宙が舞台のSFファンタジーです。
リンク: https://ncode.syosetu.com/n9737kx




