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『ギャルエルフ』になった社畜SEの俺、転生先が『バグだらけの世界』だったので『デバッグ』することになりました! 〜ギャルSEの異世界デバッグ!〜  作者: AKINA
フィーチャー6:『クロノスの森、バグの巣窟!~時空を超える試練、五人の絆がバグを断つ!?~』
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コミット 191:『クロノスの森、バグの巣窟へようこそ!』

魔石加工都市ジオフォートでの数ヶ月に及ぶ準備期間は、私たちのパーティに劇的な進化をもたらした。フィリップという最高の技術者を仲間に加え、彼の工房で生み出された革新的な魔道具の数々。セレスティの古代知識と私の論理魔導ロジカルマジックを融合させた新魔法。ゼフィラの「エンカレッジ」能力の開花。そして、ヴァローナの過去のトラウマを乗り越えた、より柔軟で強固なリーダーシップ。五つの異なる光は、今や確かな絆で結ばれ、一つの大きな輝きを放とうとしていた。


そして、ついにその日は来た。伝説の聖域「エデン」への最後の関門、クロノスの森の入り口に、私たちは立っていた。


目の前に広がる光景に、私は思わず息を呑む。そこは、古の伝承に謳われるような、生命力に満ち溢れた神聖な森ではなかった。まるで世界から拒絶されたかのように、木々は苦悶に満ちた姿で幹をねじ曲げ、葉は生気を失って黒く変色している。地面からは、淀んだ魔力の瘴気が陽炎のように立ち上り、空気は重く、肌にまとわりつくように湿っていた。


「……尋常ではないな。これほどの魔力の歪みは、騎士団の管轄地域で経験した『嘆きの谷』の比ではないぞ」 ヴァローナが、剣の柄に手をかけながら低い声で呟く。


「古代文献にあった記述とも、あまりにかけ離れています……。聖域どころか、まるで呪われた土地のようです……」 セレスティもまた、不安げに周囲を見回している。


「なんだか、すごく気持ち悪いわね、ここ。魂の深いところがザワザワする感じ……」 ゼフィラは、不快そうに眉をひそめた。


「……計測不能なレベルの魔力ノイズだ。私の測定器が、これほど無秩序な数値を叩き出したのは初めてだぞ……」 フィリップは、彼が携帯する精密魔力測定器の針が狂ったように振り切れているのを目の当たりにし、顔をこわばらせていた。


「(完全に、システムの根幹に関わるレベルのバグが発生してる……。ここが、世界の歪みの震源地の一つなのは間違いないな)」


私はヴァローナに目配せし、彼女が力強く号令をかける。 「よし、行くぞ。ここから先は、何が起きてもおかしくない。絶対に一人で行動するな。常に互いの位置を確認し合い、何か異常を感じたらすぐに報告しろ。いいな!」


覚悟を決め、私たちはついにバグの巣窟――クロノスの森へと、第一歩を踏み出した。その瞬間だった。


ぐにゃり、と。世界が歪んだ。


「――ッ!?」


一瞬、視界がゼリーのように揺らめき、平衡感覚が狂う。足元の地面が、まるで柔らかな粘土になったかのように、ぐにゃりと沈み込む錯覚。それは、ほんの一瞬の出来事だったが、私たちの神経を極限まで張り詰めさせるには十分だった。


「今のは……!?」 「空間そのものが歪んだのか……!?」


フィリップとヴァローナが驚愕の声を上げる。


「(空間転移系のトラップ……いや、違う! もっと、こう……根本的な、世界の座標軸そのものが不安定になってる感じだ……!)」


SEとしての直感が、この現象の異常性を告げていた。これは、特定の誰かが仕掛けた魔法などではない。この森を構成する世界の法則そのものが、深刻なエラーを起こしているのだ。


『警告。空間座標に深刻なグリッチを検知。このままではニーナの精神が汚染されます。論理魔導による一時的な安定化領域の構築を推奨』


耳元で響くモニカの冷静な声が、パニックに陥りかけた私の思考を現実に引き戻す。


「安定化領域……! そうか、この歪んだ空間の中に、無理やり正常な空間を作り出すってワケね!」


私はモニカの提案を受け、即座に論理魔導で周囲の魔力場に干渉し、空間の歪みが緩和された小さな安全地帯(魔力安定化結界)を構築しようと試みた。しかし、森全体を覆う強烈な魔力ノイズが、私の魔力制御に激しく干渉してくる。


「くっ……! ノイズが酷すぎて、ロジックが安定しない……!」


額に脂汗が滲む。このままでは、結界を構築する前に私の精神が汚染されてしまう。


『ノイズパターン解析完了。ニーナの魔力流に対し、逆位相の干渉波を生成して相殺します。3、2、1……実行』


モニカが自身の演算能力をフル活用し、私の魔力制御を完璧に補助する。彼女が生成した見えない干渉波が森の魔力ノイズを打ち消し、私の周囲に一瞬の「凪」を生み出した。


そのコンマ数秒の隙を、私は逃さない。


「――『安定化結界セーフモード・フィールド、展開』ッ!!」


私たちの周囲に、淡い青白い光のドームが形成される。その内側では、空間の歪みは嘘のように収まり、穏やかな空気が戻ってきた。


「はぁ……はぁ……。あんたがいなきゃ、マジで詰んでた……。サンキュ、最高の相棒」


私は、息を切らしながら感謝の言葉を呟いた。


『任務の遂行が私のプライマリー・ミッションです』


モニカは、いつも通り淡々と、しかし、どこか誇らしげにそう応えた。

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