コミット 184:『ゼフィラの「天使の歌声」!荒ぶる魔力を鎮める、奇跡の調律!』
エデンへの旅路は、依然として困難を極めていた。特に、クロノスの森へと近づくにつれて、周囲の魔力の乱れはますます激しくなり、時には、私たちの精神にまで影響を及ぼすほどの、強烈な不協和音を奏でることもあった。
そんなある日、私たちは、巨大な魔力嵐に行く手を阻まれてしまった。それは、まるで意思を持ったかのように荒れ狂い、周囲の木々をなぎ倒し、大地を揺るがす、恐ろしい嵐だった。
「(くっ……!この魔力嵐、半端ないな……!エレメンタル・ガードナーでも、魔力の流れを完全に把握できない……!このままじゃ、飲み込まれちまうぞ……!)」
私は、必死で魔力嵐のパターンを解析しようとするが、そのあまりにも不規則で、そして暴力的な魔力の奔流に、なすすべもなく翻弄される。ヴァローナも、セレスティも、そしてフィリップも、それぞれの方法で、この危機を乗り越えようと奮闘するが、状況は一向に好転しない。
その時、ふと、ゼフィラが、目を閉じ、深く息を吸い込んだ。そして、彼女の唇から、まるで天から降ってくるかのような、清らかで、そして美しい歌声が流れ始めたのだ。
その歌声は、言葉を持たない、純粋なメロディだけだったが、そこには、不思議な力が込められていた。それは、聞く者の心を癒し、そして、荒ぶる自然の力を鎮めるような、優しく、そして力強い、奇跡の調律とでも言うべきものだった。
ゼフィラの歌声が響き渡るにつれて、あれほどまでに激しく荒れ狂っていた魔力嵐が、まるで嘘のように、少しずつその勢いを弱めていく。暴力的な魔力の奔流は、次第に穏やかな流れへと変わり、そして、不協和音を奏でていた魔力の波長も、ゼフィラの歌声に共鳴するように、調和の取れた美しいハーモニーへと変わっていく。
「(す、すごい……!ゼフィラさんの歌声が、魔力嵐を鎮めてる……!?こんなことって、あり得るのか……!?これが、天使の末裔が持つ、本当の力なのか……?)」
私は、そのあまりにも神秘的で、そして美しい光景に、ただただ息を呑むしかなかった。
やがて、魔力嵐は完全に消え去り、周囲には、ゼフィラの歌声だけが、静かに響き渡っていた。歌い終えたゼフィラは、少し疲れたような表情を見せたが、その顔には、満足げな笑みが浮かんでいる。
「ふぅ……どうやら、上手くいったみたいねぇ。たまには、私も、役に立つこともあるのよぉ?」
ゼフィラは、悪戯っぽく微笑んだ。
この出来事は、私たちに、ゼフィラが持つ力の、新たな側面を見せてくれるものとなった。彼女のその美しい歌声は、単に人々を魅了するだけでなく、世界の魔力そのものに働きかけ、それを調和させるという、まさに「天使」と呼ぶにふさわしい、奇跡の力を持っていたのだ。
そして、それは、世界のシステム全体の不具合によって引き起こされる、様々な異常現象に対して、私たちが持つ新たな「切り札」となる可能性を秘めていることを示唆していた。




