コミット 179:『セレスティ専用「古代文献記録装置」!?知識の海を、キーワード検索!』
フィリップ工房で進められている、魔導演算ユニットの応用開発。その最初のターゲットとして、私が提案したのは、セレスティの研究を支援するための、専用の「古代文献記録装置」だった。
セレスティは、その膨大な知識量にも関わらず、多くの書物の中から必要な情報を探し出すのに時間がかかったり、あるいは、複数の情報を関連付けて考える際に苦労したりすることがあった。もし、魔導演算ユニットの力を借りて、彼女の持つ知識を効率的に整理・活用できるようになれば、彼女の研究は格段にはかどるはずだ。
「フィリップさん、セレスティのために、こんなの作れませんかね?彼女が持ってる古代の文献とか、魔物の記録とかを、全部このユニットに覚えさせて、特定の言葉とかで一発検索できるようにするんです!そうすれば、研究効率、爆上がり間違いなしですよ!」
私のその提案に、フィリップは、興味深そうに頷いた。
「ふむ……大量の文字情報を記録し、それを特定の言葉で検索する、か。確かに、このユニットの記憶容量と計算能力をもってすれば、不可能ではないだろう。だが、問題は、どのようにして、その膨大な量の情報を、ユニットが理解できる形で『取り込む』かだ。手作業で写し取るとなると、途方もない時間がかかるぞ……」
そこで、私は、さらに驚くべきアイデアを提案する。
「それなら、こうしましょう!セレスティが文献を音読して、その音声情報を、ユニットが自動的に文字情報として記録するんです!記録された文字情報の中から、特定の言葉を探し出せるようにすれば、検索もできるはずです!」
「(俺は前世の音声認識と、全文検索エンジンの技術を、この世界の魔法で再現するってわけか!まあ、今のユニットの性能なら、あるいは……!)」
フィリップは、私のそのあまりにも大胆な発想に、一瞬言葉を失ったが、すぐにその革新性に気づき、技術者としての探究心を燃え上がらせた。
「声で読み上げた内容を、文字として記録する……そして、特定の言葉で内容を探し出せるようにする……。確かに、それが実現できれば、前代未聞の記録装置が完成するだろう。よし、やってみよう。まずは、声の魔力の揺らぎを解析し、それを特定の文字の形に対応させるための、基礎研究から始める必要があるな……」
フィリップと私は、再び、未知なる領域への挑戦を開始した。セレスティもまた、自分のために、こんなにも高度な魔道具が開発されようとしていることに、興奮と、そして少しの不安を覚えながらも、二人の作業を熱心に見守り、そして、自分の持つ知識を惜しみなく提供した。
数週間に及ぶ、困難な開発作業の末、ついに、セレスティ専用の「古代文献記録装置」のプロトタイプが完成した。それは、美しい水晶玉のような形をしたユニットで、セレスティがその水晶玉に向かって魔力を流しながら文献を読み上げると、その内容が、リアルタイムで光の文字として表示され、そして内部の記憶領域へと記録されていく。さらに、記録された文献の中から、重要な単語やフレーズを声に出して指定すると、関連する箇所が瞬時に表示されるという、まさに夢のような仕組みだった。
「す、すごいです……!ニーナさん、フィリップ様……!これがあれば、私の研究が、もっともっと進みます……!本当に、ありがとうございます……!」
セレスティは、感動のあまり、涙を浮かべながら、二人にお礼を言った。その瞳には、これまで以上に強い自信と、そして知識を探求することへの喜びが輝いている。
この「古代文献記録装置」の完成は、セレスティの研究を大きく助けるものとなるだろう。そして、それは、魔導演算ユニットが、単なる戦闘支援ツールとしてだけでなく、知識の探求や、学術研究の分野においても、大きな可能性を秘めていることを示す、画期的な出来事でもあった。




