コミット 176:『五人目の仲間、フィリップ!新たなる旅立ちへの、それぞれの想い!』
フィリップ・アウロスが、私たちのデバッグパーティに正式に加わることを表明した夜。それは、私たちにとって、大きな喜びであると同時に、新たな決意を胸に刻む夜でもあった。工房でのささやかな祝宴は、いつしかフィリップの歓迎会へと変わり、私たちは、夜が更けるのも忘れて語り合った。
「(俺はまさか、あの偏屈でコミュ障気味だったフィリップさんが、自分から仲間になりたいって言い出すなんてな……。人生、何が起こるか分からんもんだ。でも、これで、私たちのパーティも、さらにパワーアップすることは間違いない。エデンへの道も、少しは楽になる……といいんだけどな!)」
私は、フィリップのその勇気ある決断を、心から嬉しく思っていた。彼のその卓越した技術力は、今後の私たちの旅において、間違いなく大きな助けとなるだろう。そして何よりも、彼が過去の呪縛から解き放たれ、新しい未来へと踏み出そうとしていることが、私自身の励みにもなった。
ヴァローナは、フィリップの申し出に、最初は驚きを隠せない様子だったが、すぐに彼の真摯な想いを理解し、力強くその手を取った。
「フィリップ殿のその覚悟、確かに受け取った。これからは、我々も、貴殿を仲間として、全力で支えよう。共に、この世界の歪みを正すために、力を尽くそうではないか」
その言葉には、騎士としての誇りと、そして新たな仲間への信頼が込められていた。
セレスティは、尊敬するフィリップが仲間になったことが、嬉しくてたまらないといった様子で、瞳をキラキラと輝かせている。
「フィリップ様……!これから、フィリップ様の素晴らしい技術を、間近で見られるのですね……!そして、私も、フィリップ様のお役に立てるように、もっともっと頑張ります……!」
彼女のその純粋な喜びは、見ているこちらまで、温かい気持ちにさせてくれる。
そしてゼフィラは、いつものように妖艶な笑みを浮かべながらも、その瞳の奥には、フィリップへの確かな信頼と、そして期待の色を宿らせていた。
「うふふっ、フィリップちゃんも、ようやく素直になったのねぇ。これからは、この美しき天使ゼフィラ様が、あなたのその不器用なところも、ちゃーんとサポートしてあげるから、安心なさいな♡」
フィリップは、そんな私たちの言葉を、少し照れくさそうに、しかし、どこか誇らしげな表情で聞いていた。彼の顔には、もはや以前のような、孤独や猜疑心の色はなく、代わりに、新たな仲間たちと共に歩む未来への、確かな希望の光が灯っている。
「よーし、フィリップさんも仲間になったことだし、いよいよ次はエデンに向けて出発だね!」
すると、セレスティが真剣な表情で口を挟んだ。
「お待ちください、ニーナさん。古代文献によれば、エデンへと至る『クロノスの森』は、世界の魔力が乱れている今、極めて危険な場所と化している可能性があります。かつてないほどの強力な魔物や、予測不能な異常現象が多発しているとの記述も……」
ヴァローナも、腕を組んで頷く。
「セレスティ殿の言う通りだ。私が騎士団から得た情報でも、クロノスの森は現在、調査隊さえ近寄れない『禁忌の地』と化していると聞く。万全の準備なくして挑むのは、自殺行為に等しいだろう」
その言葉を受け、フィリップが静かに口を開いた。
「……ふむ。ならば、話は早い。この工房で、クロノスの森を突破するための、我々専用の装備を開発するべきだ。私の技術と、ニーナ君の発想、そして皆の戦闘データがあれば、これまでにない革新的な魔道具が生まれるだろう。それには、少なくとも数ヶ月は必要になるがな」
フィリップの提案に、私は力強く頷いた。
「そっか……そんなにヤバい場所になってるんだ……。わかった!じゃあ、フィリップさんの言う通り、ここでじっくり腰を据えて、最強の装備を開発しよう!急がば回れ、だよね!」
こうして、私たちのデバッグパーティは、ギャルSEの私、元騎士団長のヴァローナ、天才猫耳学者のセレスティ、奔放な天使の末裔ゼフィラ、そして、偏屈だが超一流の魔道具職人フィリップという、個性豊かな五人のメンバーで、再編成されることになった。
それぞれの想いを胸に、私たちは、間もなく始まるであろう、伝説の聖域『エデン』へと至るための、「クロノスの森」攻略に向けて、新たな一歩を踏み出すのだった。




