コミット 150:『感情のデバッグ、完了フェーズ!ついに到着…「記憶」を司る場所!』
ついに魔石加工都市ジオフォートの城門をくぐったニーナたち。活気に満ちた街並み、行き交う職人たちの熱気、そして至る所から聞こえてくる魔石を加工する音。その全てが、ニーナにとって新鮮で、そして刺激的だった。
彼女たちの最大の目的は、酒場で噂に聞いた、魔力を記憶するという特殊な石板を開発しているという、一風変わった魔道具職人を見つけ出すことだ。その職人の名前も、工房の正確な場所もまだ分からない。しかし、ニーナの胸には、その「記憶デバイス」への強い期待と、そして、それが自身の論理魔導を飛躍的に進化させてくれるだろうという確信があった。
特にゼフィラは、アルカンシェルでの一件や、その後の旅路での仲間たちとの関わりを通じて、大きな心の変化を遂げていた。過去のトラウマを克服し、他人を信じること、そして愛されることを受け入れる勇気を取り戻した彼女は、もはや以前のような、どこか虚ろで刹那的な影を宿した存在ではなくなった。彼女の「感情の不具合」は、仲間たちとの絆という最高の「パッチ」によって、確実に「デバッグ」され、新たな自分へと生まれ変わろうとしていたのだ。
「ニーナちゃん、ヴァローナちゃん、セレスティちゃん……本当に、ありがとう。あなたたちと出会えなければ、私は、きっと今も、暗闇の中で一人ぼっちだったわ」
ゼフィラは、心からの笑顔で、仲間たちに感謝の言葉を述べた。その笑顔は、真の自信と、そして慈愛に満ちた、美しいものだった。
ニーナもまた、ゼフィラや仲間たちとの関わりの中で、「他人の評価」という長年の心の枷から解放され、真の自分らしさを見つけ出していた。SEとしての知識と技術、そしてギャルとしての(?)コミュニケーション能力と行動力。それらを融合させ、世界のシステム全体の不具合という巨大な敵に立ち向かう決意を、より一層固めていた。
ヴァローナも、ニーナたちの柔軟な発想や、未知の状況に対応する力に触れることで、自身の「思考の硬直化」という不具合と向き合い、より懐の深いリーダーへと成長しつつあった。セレスティもまた、仲間たちの支えと、自身の知識が実際に役立つという経験を通じて、「知識の実装不全」という不具合を克服し、大きな自信と、そして他者と関わることの喜びを見出していた。
こうして、それぞれの「心のデバッグ」を完了フェーズへと進め、パーティとしての結束をより強固なものとしたニーナたち。ジオフォートでのフィリップとの出会いは、彼女たちの旅に、新たな展開をもたらすことになるだろう。
「記憶デバイス」の開発、そしてその先に待つAIデバイスの誕生。それは、ニーナの論理魔導を飛躍的に進化させ、世界のシステム全体の不具合という巨大な謎を解き明かすための、強力な武器となるはずだ。
夕焼けに染まるジオフォートの街並みを見下ろしながら、ニーナは、胸の高鳴りを抑えきれなかった。
「よし、行くか!最高の仲間たちと、そして、まだ見ぬ最高のデバイスと出会うために!」
ニーナの耳元で揺れるイヤリング型デバイス「エレメンタル・ガードナー」が、まるで彼女たちの新たな決意に呼応するように、淡い期待の光を放っているように見えた。
彼女たちのデバッグの旅は、まだ終わらない。世界のシステム全体の不具合という巨大な謎を解き明かし、そして、この世界に真の調和を取り戻すために、彼女たちは、これからも進み続けるのだ。
――フィーチャー4、コンプリート。




