コミット 148:『道中の食卓!異文化交流と、ゼフィラの意外な一面!?』
魔石加工都市ジオフォートへの道のりも、残すところあとわずか。長旅の疲れも溜まってきていたニーナたちは、街道沿いにある、少し大きな宿場町で数日間の休息を取ることにした。この宿場町は、様々な地方からの旅人が行き交うため、多種多様な文化や食事が楽しめる場所として知られていた。
「(よーし、今日はパーッと美味しいものでも食べちゃいますか!たまには、贅沢しないとね!)」
ニーナの提案で、一行は、その宿場町で一番評判の良いという、異国情緒あふれるレストランへと足を運んだ。店内は、見たこともないような装飾が施され、様々な言語が飛び交い、活気に満ちている。
メニューには、馴染みのない料理名が並び、ニーナたちは、興味津々で色々な料理を注文してみることにした。
運ばれてきた料理は、スパイスの効いた刺激的な肉料理や、色鮮やかな野菜を使った酸味のある和え物、そして、フワフワとした不思議な食感のパンなど、どれもこれも、これまで味わったことのないものばかりだった。
「(うおっ!この肉、めっちゃスパイシーだけど、クセになる美味さ!こっちの野菜も、酸っぱくてサッパリしてて、いい感じじゃん!異世界の料理って、奥が深いなー!)」
ニーナは、目を輝かせながら、次々と料理を平らげていく。
ヴァローナは、最初は警戒していたものの、一口食べると、その意外な美味しさに目を見張り、黙々と食事を進めている。セレスティは、料理に使われている珍しい食材や香辛料について、店員に熱心に質問し、その知識欲は食卓でも健在だ。
そして、意外だったのが、ゼフィラの反応だった。彼女は、普段はどちらかというと、見た目の美しい、洗練された料理を好むタイプだと思っていたが、この異国の、どこか野趣あふれる料理を、心から楽しんでいるように見えたのだ。
「あら、このスパイス、なかなか刺激的で、食欲をそそるわねぇ。こちらのパンも、素朴だけど、噛めば噛むほど味が出て、美味しいわ。ふふっ、たまには、こういうのも悪くないわね。新しい発見があるって、素敵なことじゃない?」
ゼフィラは、そう言って、普段は見せないような、無邪気な笑顔を浮かべていた。その姿は、いつもの妖艶な雰囲気とは異なり、どこか少女のような愛らしさがあった。
「(ゼフィラさん、なんだかんだ言って、新しいもの好きなのかもしれないな。それに、こうやって、みんなでワイワイ言いながらご飯食べるの、実は結構好きだったりして?あの人、寂しがり屋なところもあるしな……)」
ニーナは、そんなゼフィラの意外な一面を見て、また一つ、彼女のことを理解できたような気がして、嬉しくなった。
食事の途中、隣のテーブルに座っていた、行商人風の一団が、陽気な音楽を奏で始めた。それは、どこか哀愁を帯びた、しかし聞く者の心を陽気にさせるような、不思議なメロディだった。
ニーナたちは、その音楽に耳を傾けながら、異国の料理と、仲間たちとの楽しい会話を、心ゆくまで堪能するのだった。
この宿場町での食事は、ニーナたちにとって、旅の疲れを癒し、そして、異文化に触れることの楽しさを再認識する、貴重な時間となった。そして、それはまた、仲間たちの新たな一面を発見し、互いの絆をより一層深める、かけがえのない思い出となるのだった。