コミット 146:『霧の晴れ間に見えた「世界の脈動」!調和の循環の一端!?』
「時喰らいの霧」の中で、それぞれの過去のトラウマと向き合い、そして仲間たちの支えによってそれを乗り越えたニーナたち。彼女たちの絆は、この試練を通じて、さらに強固なものとなっていた。
そして、霧がわずかに晴れ、視界が開けた瞬間、ニーナは、信じられない光景を目の当たりにする。
それは、遥か遠くの空に、まるでオーロラのように揺らめく、巨大な光の流れだった。その光は、いくつもの色を複雑に織りなしながら、地平線の彼方から彼方へと、まるで天を駆ける巨大な龍のように、雄大にうねっている。それは、単なる自然現象ではなく、この世界の根源的なエネルギーが可視化されたかのような、圧倒的な存在感を放っていた。
「(な、なんだ、あれは……!?あんなもの、今まで見たことがない……!あれも、世界のシステムの一部なのか……?)」
ニーナは、エレメンタル・ガードナーの魔力感知機能を最大にし、その光の流れから発せられる魔力を分析しようと試みる。しかし、その魔力はあまりにも巨大で、そして複雑すぎて、彼女のデバイスでは、その全容を捉えることができない。ただ、そこには、計り知れないほどの清浄なエネルギーと、そして、この世界を生かしている「何か」の力強い脈動のようなものが感じられた。
セレスティもまた、その壮大な光景に息を呑んでいた。
「あ、あれは……!古代の文献に記された、『星々の息吹』、あるいは『世界の龍脈』と呼ばれる現象に酷似しています……!それは、この世界全体の魔力を繋ぎ、循環させる、根源的な力の流れが、ほんの一瞬だけ、その姿を現したのかもしれません……!」
「魔力の循環……」
ヴァローナが、厳粛な面持ちで呟く。
「だが、あの光、どこか不安定に揺らいでいるように見えるぞ。まるで、流れが滞っているかのように……」
ゼフィラも、その光の流れから、何か不吉なものを感じ取っていた。
「……ええ、ヴァローナちゃんの言う通りね。あの美しい光の裏に、何か、黒い淀みのようなものが、まとわりついているような気がするわ……。あれが、もしかしたら、この世界を蝕む大いなる世界の不具合の、本当の姿なのかもしれない……」
「時喰らいの霧」が晴れ、一時的に現れたこの「世界の脈動」とも呼ぶべき光景は、ニーナたちに、世界のシステムの壮大さと、そしてそこに潜む不具合の深刻さを、改めて認識させるものとなった。それは、まるで、ほんの一瞬だけ、世界の「設計図」の根幹部分を垣間見たかのような、強烈な体験だった。核心部分はまだ謎に包まれたままだが、彼女たちが目指す「世界のデバッグ」が、いかに困難で、そして重要なものであるかを、改めて心に刻み込むのだった。