コミット 142:『グリーンウィロウ村の祝宴!異郷の味と、旅の語らい!』
枯れゆく森の再生に成功し、グリーンウィロウ村に再び希望の光をもたらしたニーナたち。村人たちは、心からの感謝と共に、ささやかながらも温かい祝宴を開いてくれた。
村の広場には、大きな焚き火が焚かれ、その周りを村人たちが囲んでいる。持ち寄られたのは、森の恵みがまだ乏しいため、保存食や、畑で採れた素朴な野菜を使った料理が中心だったが、そこには村人たちの精一杯の感謝の気持ちが込められていた。
「旅のお方々、本当に、何とお礼を申し上げてよいか……このご恩は、決して忘れませぬ」
村の長老が、深々と頭を下げる。ニーナたちは、少し照れくさそうに、しかし、村人たちのその純粋な感謝の気持ちを、素直に受け取った。
宴の中心となっていたのは、大鍋で煮込まれた、この地方独特の「森の幸シチュー」だった。それは、干し肉や、木の実、そして数種類の香草を長時間煮込んだもので、見た目は少し地味だったが、口に含むと、滋味深く、そしてどこか懐かしいような優しい味わいが広がった。
「(んっ!このシチュー、見た目より全然イケるじゃん!なんか、身体の芯から温まる感じ……!これが、この村の味なんだな……)」ニーナは、夢中でシチューを頬張る。
ヴァローナも、普段はあまり表情を変えないが、そのシチューを静かに味わいながら、時折、満足そうなため息を漏らしている。セレスティは、珍しい木の実の食感に興味津々で、その正体を長老に熱心に尋ねている。ゼフィラは、「あら、なかなか素朴で、心が落ち着くお味だこと。都会の洗練された料理もいいけれど、こういうのも悪くないわねぇ」と、意外にもその味を気に入った様子だ。
焚き火を囲みながら、村人たちは、ニーナたちに、これまでの旅の話や、彼女たちの故郷の話などを尋ねる。ニーナは、ギャル語を交えながらも、自分たちが世界の不具合を修正するために旅をしていることを、できるだけ分かりやすく説明する。ヴァローナは、騎士団時代の武勇伝(少し脚色されているかもしれないが)を語り、村の若者たちを感心させる。セレスティは、古代文明の遺跡で見つけた驚くべき発見について、熱っぽく語る。ゼフィラは、各地で出会った面白い人々や、美しい景色について、その魅惑的な声で語り、村人たちを魅了する。
それは、特別な歌や踊りがあるわけではない、ごく質素な宴だった。しかし、そこには、困難を乗り越えた達成感と、人と人との温かい繋がり、そして、ささやかな日常を取り戻せたことへの感謝の気持ちが、満ち溢れていた。
「(こういう時間も、悪くないな。世界のバグを修正するっていう、壮大な目標も大事だけど、こうやって、目の前の人たちの笑顔を守るために、自分の力を使うっていうのも、すごく意味のあることなんだって、改めて思うよ。それにしても、このシチュー、マジでうまいな……レシピ、教えてもらおうかな……)」
ニーナは、焚き火の暖かさと、村人たちの優しい笑顔に包まれながら、この旅の意義を、改めて噛みしめるのだった。このグリーンウィロウ村での一夜は、彼女たちの心に、温かく、そして忘れられない思い出として刻まれることになるだろう。