コミット 139:『天使の膝枕は極上の癒し!?お疲れニーナ、まさかのバブみ体験!』
グリフォンとの激しい戦闘を終え、ニーナたちは、心身ともに疲労困憊していた。特に、論理魔導で全体の指揮を執り、精密な魔力制御を長時間続けたニーナは、珍しくぐったりとしていた。
「(はぁ……疲れた……やっぱり、四人分の連携を考慮しながら、リアルタイムで戦術を最適化していくのは、脳みそへの負荷が半端ないな……SE時代のデスマーチよりはマシだけど……)」
ニーナは、森の木陰に座り込み、大きくため息をついた。その様子を見ていたゼフィラが、ふわりとニーナの隣にやってきた。
「あらあら、ニーナちゃん、お疲れみたいねぇ。無理もないわ、今日のあなたは、本当によく頑張ってたもの」
ゼフィラは、そう言うと、何の気兼ねもなく、ニーナの頭を自分の膝の上に優しく乗せた。いわゆる、膝枕というやつだ。
「ちょっ!?ぜ、ゼフィラさん!?な、何するんですか、いきなり!」
ニーナは、顔を真っ赤にして抗議しようとするが、ゼフィラの膝の柔らかさと、彼女から漂う甘い香りに、なんだか抵抗する気力が削がれていく。
「うふふっ、頑張った子には、ご褒美が必要でしょ?ほら、遠慮しないで、私の膝の上で、ゆっくりおやすみなさいな。天使の膝枕は、きっと極上の癒しを約束してくれるわよぉ♡」
ゼフィラは、悪戯っぽく微笑みながら、優しくニーナの髪を撫で始めた。その手つきは、驚くほど優しく、そして母性に満ちているように感じられた。
ニーナは、最初は戸惑っていたものの、ゼフィラのその温かい温もりと、心地よいリズムで髪を撫でられる感覚に、次第に意識が遠のいていく。日頃の緊張と疲労が、まるで雪のように溶けていくような、不思議な安心感に包まれていた。
「(あぁ……なんか、すごく気持ちいい……ゼフィラさんの膝、柔らかくて、あったかくて…それに、この匂い…なんか、すごく落ち着く……ダメだ……眠く……なってきた……)」
ニーナは、いつの間にか、ゼフィラの膝の上で、すやすやと安らかな寝息を立て始めていた。その寝顔は、普段の強気なギャルとしての表情や、冷静沈着なSEとしての顔とは全く異なる、どこか幼く、そして無防備なものだった。そこには、前世の社畜SE斉藤肇の面影は、微塵も感じられない。
ゼフィラは、そんなニーナの寝顔を、慈しむような眼差しで見つめ、優しく微笑んだ。
「(本当に、不思議な子……こんなに無防備な顔して眠っちゃうなんて。でも、だからこそ、放っておけないのかもしれないわね……)」
ゼフィラは、そっとニーナの髪を撫でながら、彼女の身体から、微弱だが非常に純粋で、そして温かい魔力が、自然に放出されていることに気づいた。それは、まるで生まれたばかりの赤ん坊が放つような、清らかで、生命力に満ち溢れた魔力だった。
「(この魔力……本当に、綺麗……。もしかしたら、この子が、本当に世界を救う鍵になるのかもしれないわね…うふふっ、面白くなってきたわぁ)」
ゼフィラは、ニーナのその特異な魔力の質に、新たな興味を抱きながら、彼女が起きるまで、静かにその寝顔を見守り続けるのだった。
この天使の膝枕は、ニーナにとって、予期せぬ「バブみ体験」となると同時に、ゼフィラの新たな一面を発見し、そして彼女との間に、また一つ、温かい絆が結ばれる、貴重な時間となった。