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コミット 123:『ゼフィラの夜這い(未遂)!「ニーナちゃん、あっためて♡」……って、意識が混濁する!?』

ゼフィラとの奇妙な共同生活(?)が続くある夜のこと。一行は、アルカンシェル周辺の探索のため、街のそばの森のはずれにある、小さな洞窟で野営をしていた。ヴァローナとセレスティは既に眠りについており、ニーナは見張りをしながら、焚き火の番をしていた。


静寂に包まれた洞窟内に、不意に、衣擦れの音と共に、甘い香りが漂ってきた。ニーナが警戒して振り返ると、そこには、いつの間にか寝床を抜け出してきたゼフィラが、妖艶な笑みを浮かべて立っていた。しかも、その格好は、普段よりもさらに肌の露出度が高い、シルクのネグリジェのようなものだった。


「あら、ニーナちゃん、まだ起きてたの?奇遇ね、私もなんだか眠れなくって……」


ゼフィラは、そう言うと、まるで猫のようにしなやかな足取りでニーナに近づき、その隣に腰を下ろした。そして、何の躊躇もなく、ニーナの肩に寄りかかり、その豊満な胸を押し付けてきたのだ。


「ひゃっ!?ぜ、ゼフィラさん!?な、何してるんですか、いきなり!?」


ニーナは、顔を真っ赤にして狼狽する。


「うふふっ、ちょっと寒くって……ニーナちゃん、あっためてくれないかしら♡」


ゼフィラは、ニーナの耳元で囁き、その首筋に、吐息がかかるほどの距離まで顔を近づけてくる。


「(こ、この展開は、完全にアウトだろ!いくらなんでも、これは倫理的にまずい!完全に、CERO Z案件じゃないかー!)」


ニーナは、必死でゼフィラを引き剥がそうとするが、ゼフィラは、まるで吸い付くように離れない。それどころか、彼女の身体から発せられる、微弱だが甘美な魔力の波動が、ニーナの意識をクラクラさせていく。それは、ニーナが時折無意識に発動させてしまう「ギャル魔術チャームスペル」とは異なる、もっと直接的で、抗いがたい「意識への干渉」の片鱗を感じさせた。その魔力は、まるで温かい霧のようにニーナを包み込み、思考を鈍らせ、抵抗する気力を奪っていく。


「(やばい……この人の魔力、何かおかしい……!ただの魅了じゃない……もっと、こう……魂の深いところに直接作用してくるような……これが、天使の力の一部なのか……?意識が……混濁して……)」


「ねぇ、ニーナちゃん……あなたは、どうしてそんなに必死に、本当の自分を隠そうとするの……?もっと、素直になっちゃえばいいのに……私みたいに……ね?」


ゼフィラの囁きは、まるで悪魔の誘惑のように、ニーナの心の奥底に響いてくる。彼女が抱える「他人の評価」という不具合や、TS転生者としての葛藤を、見透かしているかのような言葉だった。


ニーナは、必死で抵抗しながらも、ゼフィラのその言葉に、心のどこかで揺さぶられている自分に気づいていた。このまま、彼女の甘い誘惑に身を任せてしまえば、あるいは、今の苦しみから解放されるのかもしれない……そんな、危険な考えが頭をよぎる。


「だ、ダメだ……!私は……私は、そんな……!」


ニーナが、最後の理性を振り絞って、ゼフィラを突き放そうとした、その瞬間。


「……あら、残念。もう少しで、ニーナちゃんの可愛い寝顔が見られると思ったのにぃ」


ゼフィラは、ふっと力を抜き、悪戯っぽく微笑んで、あっさりとニーナから身を離した。そして、何事もなかったかのように、自分の寝床へと戻っていったのだ。


残されたニーナは、荒い息をつきながら、自分の胸の鼓動が激しくなっているのを感じていた。


「(あ、危なかった……マジで、一線を超えるところだった……あの人、本当に何なんだ……ただの気まぐれなのか、それとも、何か目的があって、私を試してるのか……?)」


ゼフィラのこの夜這い(未遂)事件は、ニーナにとって、彼女の身体的な変化と、前世の男性としてのアイデンティティとの間で揺れ動く心という、二つの個人的な「不具合」と向き合わされる、強烈な体験となった。そして、ゼフィラが持つ未知の力と、その行動の真意について、さらに深い謎を抱かせることになったのだった。


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