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【完結保証】『ギャルエルフ』になった社畜SEの俺、転生先が『バグだらけの世界』だったので『デバッグ』することになりました!――ギャルSEの異世界デバッグ!  作者: AKINA
フィーチャー1:『異世界転生、ギャル爆誕!~SEの常識は異世界の非常識!?~』

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コミット 11: 『村の生活インフラ改善計画(仮)始動!まずは水汲みからデバッグ開始!』

村での情報収集に見切りをつけ、新たな目的地を探し始めた私だったが、すぐに出立というわけにもいかなかった。このギャルボディは見た目に反して意外とタフだが、それでも異世界での一人旅は不安が多い。もう少しだけ、この村で体力を回復し、論理魔導(ロジカルマジック)の精度を上げておきたい。


そんなある日、私は村の生活の中で、ある「非効率」に目をつけた。それは、水汲みだ。


この村には水道などという便利なものはなく、生活用水は村の外れにある川から毎日汲んでこなければならない。その作業は主に村の女性や子供たちの仕事で、重い水桶を抱えて何度も往復するのは、かなりの重労働に見えた。


「(あの水汲み作業……なんとかならないもんか? 毎日あれじゃ、腰を痛めるぞ)」


前世では、水道の蛇口をひねれば当たり前のように水が出てきた。その便利さを改めて痛感する。そして同時に、SE魂がうずき始めた。


「(そうだ、論理魔導(ロジカルマジック)で、簡単な揚水装置みたいなものを作れないだろうか?)」


私の論理魔導(ロジカルマジック)は、まだ魔力の矢を飛ばすのがやっとのレベルだ。だが、何も攻撃魔法だけが魔法ではないはず。もっと生活に役立つ使い方があるのではないか?


早速、私は手頃な大きさの魔石(今度は爆発しても被害の少ない、ただの石ころに近いものを選んだ)と、村にあった古い桶を一つ借りてきて、実験を開始した。


イメージしたのは、ごく単純なシステムだ。魔石に魔力を貯蔵し、その魔力を使って桶の水を少量ずつ、しかし連続的に汲み上げる。いわば、魔力式の簡易ポンプ。


「(魔力を一定の流量で、持続的に出力する……。これなら、今の俺でも制御できるかもしれない)」


私は桶の底に魔石を固定し、そこに意識を集中して魔力を流し込む。今度は、一気に放出するのではなく、細く、長く、安定した流れを意識して。


「(よし、魔力充填は完了。あとは、この魔力を水流に変換して、上に押し上げる……!)」


何度か試行錯誤を繰り返すと、やがて桶の底の魔石から、安定した青白い光の線が伸び、それが水面に触れると、チョロチョロとではあるが、水が桶の縁から溢れ出し始めた。


「おおっ! 動いた!」


思わず声を上げる。それは本当にささやかな水流だったが、確かに魔力によって水が汲み上げられている。私の論理魔導(ロジカルマジック)が、初めて実用的な形で機能した瞬間だった。


村長や他の村人たちは、私が桶と石ころを相手に何やら怪しげな作業をしているのを遠巻きに見ていたが、やがて桶から水が自動で(彼らにはそう見える)溢れ出すのを見て、目を丸くしていた。


「な、なんだありゃあ!?」「ニーナちゃん、何をしたんだ!?」


「えっと……ちょっとした、魔法の応用、みたいな?」


私がはにかみながら答えると、村人たちは口々に「魔法の無駄遣いだ」「そんなことより畑仕事を手伝え」と呆れたような顔をする者もいたが、中にはその便利さに気づき始めた者もいた。特に、毎日水汲みをしていた女性たちは、興味津々といった様子で揚水装置(と呼ぶにはあまりに粗末だが)を眺めている。


「(ふっ、どんなシステムも、最初は理解されないものさ。だが、その価値が分かれば、いずれ……)」


私は内心でほくそ笑む。この小さな成功は、私の自信に繋がった。


その時、ふと奇妙な感覚に気づいた。揚水装置に魔力を込める際、思った以上に魔力を使ったはずなのに、身体の倦怠感がほとんどないのだ。むしろ、魔力を使ったそばから、体内に新しい魔力が湧き上がってくるような、そんな感覚。


「(あれ……? 俺の魔力回復速度、もしかして異常に早い……?)」


以前、論理魔導(ロジカルマジック)の実験で魔力酔いを起こした時は、数時間は動けなかったはずだ。だが、今はどうだ。あれだけの魔力を使ったというのに、息切れ一つしていない。


「(……気のせい、か? それとも、このダークエルフの身体の特性……?)」


Fカップの胸といい、この異常な魔力回復速度といい、この身体にはまだまだ未知の「仕様」が隠されているのかもしれない。今は深く追求している余裕はないが、頭の片隅にメモしておく必要がありそうだ。


私の作った簡易揚水装置は、その後、村の女性たちによって大いに活用されることになった。もちろん、魔石への魔力充填は定期的に私が行わなければならないため、完全に自動化されたわけではない。だが、それでも彼女たちの労力は大幅に軽減されたようで、感謝の言葉と共に、新鮮な野菜や果物などのお礼をもらうことも増えた。


「(ふふん、感謝されるってのは、やっぱり悪くないもんだな)」


自分の知識と技術が、誰かの役に立つ。それは、SEとして最高の喜びの一つだ。この異世界でも、その喜びを感じることができるとは思わなかった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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