小ネタ 6 (2022.9~2022.11)
91.ウェイバリーの《偽物》
白猫は普通の《使い魔》なら「猫の形をした水」のはずですが、ギャビーの異常なまでの記憶力が色形の完全再現に至っています。
現代の《使い魔》持ちにおける種類、同時発動可能数/距離/性能のトップはバターフィールド隊長ですが、外見を本物に近付けるという点においてはギャビーが圧倒的に上です。
バター隊長がそれをするなら(する必要は滅多に無いのですが)、《色彩変化》持ちと組み合わせて発動しなければなりません。
ギャビーには「使い魔を支配・使役しよう」という意識が無いため、白猫はかなり自由気ままにしてます。
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92.彼女は踏み出した ◆
短時間なら魔法で姿を消せるチェスターが穴に隠れたのは魔力の節約と、他の事に魔法を使わないといけない場面になったら困るからです。姿を消す事が既に割と高度な魔法なので、他の魔法を同時に使うのは難易度が上がる(発動しない可能性が出る)ため。
サディアスの火槍などもそうですが、水の矢は威力を出すのに対象まで多少距離がいります(初速はどうしても遅いので)。距離稼ぎで天井付近に出した上で、即攻撃せず弓を引き絞るように魔力を蓄える事で、通常より短距離でもそれなりの威力に練り上げました。
シャロンに怪我をさせるわけにはいかないので、チェスターは内心かなり焦ってます。「サディアス君の魔法ならもっとスマートだったろうに、俺かっこわる〜」くらいは思っています。
ギャビーに対しては割と本気で怒ってます。女の子が戦ってるんだぞ。
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94.そして彼は外に出た
チェスターが三人で隠れなかったのは、そこまで広い踊り場では無いので下手をすると相手がこちらにぶつかってバレるからです。
捕まってた二人が見つかるくらいなら、チェスターだけ姿を見せて相手の立ち位置調整をして二人を先に逃がすつもりでした。
ダンは風も使って普通に降りるより急いでます。勝手に探してたら入口見つけたので入りました。
メリルがいないのは入れ違いにならないよう待つ役がいるのもそうですが、侵入が問題になった場合ダンを切ってメリルは公爵家に残れるようにです。ダンは前者の理由だけ伝えてメリルを馬車で待たせました。
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326.後悔先に立たず
怖いか聞いて大丈夫と返された後のアベルの「……」は、言うほど大丈夫じゃなさそうに見えたので、安心させるために手を差し出すか迷いました。
でも気丈に振舞おうとしてるみたいだし、そもそも怖がらせたのは自分(だと思ってる)なのでやめたようです。
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ハピなしでタイトルが「~~の~望 ◆」の回は、もし扉絵をつけるならそのキャラクターが笑っているところだろうなと思います。
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328.そういうデートじゃない日
《魔法じゃない》
アベルが変装する事をウィルやチェスターが知っており、かつ嬉々として協力して(気合い入れてオシャレしてけと圧をかけて)きたので、魔法を使うに至りませんでした。
でもさほど圧に屈しなかったので、見送るウィルとチェスターは渋面でした
《黙っていろ》
何となくそれ以上口で否定する気にならなかったのと(深掘りすると、言い続けるのはまるでムキになってるみたいだし、こんな事でシャロンと言い合いめいた事になりたくないからです)、やや不機嫌ゆえに少し強引に(物理的に)話を終わらせようとしてそうなったようです。
《パンフレット》
シャロンが売り場で数秒じっと見たので、彼女が口を開く前にアベルが買った物です。
絵姿を見ながらアベル視点では
「(ウィルがいて他の男に惹かれるはずがないのは当然として)誰か気になるのか」
「小さい子が頑張っててすごい」
「そうだな(良し)」
という内容の会話でした。
アベルが瞬いたのは「なぜ撫でようかと思ったのか」疑問に感じたからですが、
小型犬の前にAの箱とBの箱を置き、「さてどれだ」と聞いたら後ろに隠しておいたCの箱(正解)に行ったので「良し」と撫でるトレーナーの心情に近いものと解しました。
ちなみにエルヴィス役かグレゴリー役を選んでいたら少々不機嫌になり、ハーヴィー役を選んだらやや不可解そうにされていました。
「プロの方も素敵だけれど、もしウィルが舞台に立って演じてみたらどんな感じかしら」と言ったら「実現は難しいだろうが、見てみたいな」と微笑まれていたと思います。
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329.口走った言葉は
《名を呼ぶなら》
楽しんでる事は良いので、強引な事をして手早く黙らせ、怒ってないから座れとそっと下ろし、でも気を付けさせるためにちゃんと目を見て注意しました。
シャロンは「!?(痛くはないけど何かしら)……??(はい座ります)……なるほど!」という感じです
《今?》
アベルは大抵仕事モードで気を張ってるので会話は覚えてるし即答できます。では今、普段通り気を張っていたかというと…
本人に「妙な事を」口走った覚えはないですが、何かしらを「話した、言った、伝えた」ではなく「口走った」覚えはあるようです。
記憶にある視界と会話の流れを思い出し、それに対する自分の反応(感想、気持ち)がどうだったか考慮し、ほぼそんな内容を言っただろう事を答えました。
楽しそうで良かった、のついでに振り返っておくと、135.持て余した物 ◆で「笑顔でいてほしい人」は否定してないです
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330.些細な仕返し
《オペラグラスは?》
シャロンは貸出でなく自前(高い。よく見える)です。視野が狭まり警護に支障が出るのでアベルは使いません。個室とはいえ観劇用の席はもちろん前面に壁はなく、隣の個室から強引に入り込んだり何か投げ込んだりできてしまいます。
《よく見えるわね》
視線については、歌手の瞳がそれぞれはっきり見えたというよりは、細かな姿勢仕草の変化から大体誰がどっちを注視していたかを判断しています。
歌劇団側は、ここはあからさまに全員が気にしてると見せる場面ではないので、大袈裟な挙動はしない演技になっています。
《客たち》
髭の紳士→接待で個室席を取った商人。商談が上手くいきそうでワインで乾杯しています。
老夫婦→リラに住む下級貴族の隠居夫妻で、共通の趣味であるオペラを楽しみにしています。孫に似てる(孫は全力で否定)アンジェリカ役推し。
男子生徒達→二年・三年と学年を越えて腐れ縁でつるむ幼なじみ衆です。安いチケットで太陽の女神役の女性歌手を見に来た様子。
女性二人組→親友で、オソロの色違いワンピでキメてきました。グレゴリー役推しとハーヴィー役推しで、目と目で熱く語り合っています。
ご婦人方→笑顔ですがお互い苦手に思っており、しかし夫同士は仲良しで「お前達も女同士遊んできたらいいさ」という善意の迷惑でここにいます。
絵姿を買った男→第一幕で全身骨折したと冗談を言った女性歌手の夫です。妻の数少ないグッズは、バレると真っ赤になって怒られるのでコッソリ買ってます。
《眼鏡は曇る》
準備する時のアベルがすっかり忘れていたこの世の真理。視界が不明瞭では安全面でも良くないので、変装中とはいえ外しました。
ちなみにサディアスの眼鏡は普段使いですから、ちゃんと曇り止め処理が施されてます。
《寄れ》
驚くべき事に、ここには「少女は少年の庇護下にあると強調する」以外の意図がありません。兄妹か姉弟か友人か何かはどうでもよいのでした。
あまりにも他の意図がないため、無意識にそれを感じ取っているシャロンも照れる事なく従っています。
《見なくていい》
男子生徒がたまたまもう一度振り返ってシャロンと目が合ったら調子に乗る可能性があり、すると向こうは何とかしてお近付きになろうとするかもしれないし、振り返らなかったとしても彼女に(品の無い顔をしていた卑しい)彼らを見せる必要はまったく無いというところ
シャロンはあんまりな言い草と、その理論で言うと貴方の目が汚れるではないかとすぐに考え至ってつい笑いました。
位置的にこちらを見てなくてもアベルの視界に入っている事はわかっていたので、無言で自分の方を向かせてます。呼んでしまうと、続く言葉の強調になるからです。
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217.振り回すな
ノーラにサングラスを差し出された時、「フェル」としての振る舞いなら屈んだだけの両膝そろった姿勢が正しいのですが、そこまで気を張ってないので素で片膝立ちしてるという地味な話があります
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画力の話
ウェイバリー(ギャビー)
ほぼ写真。抽象画はテンション上がらないから描かない。題材フリーだと案の定女神像を描き出す。
シャロン
物や植物は割と得意だが人や動物は苦手。ちょっと動かれるとどう調整するかわからなくなる。デフォルメしてよければ喜んで描く。題材フリーだと花を描く。
ウィルフレッド
陰影とパースが少しずつ狂うので毎回不思議がってる。題材フリーだと空を描きがち。空はいつ見たって違う空だからいくらでも描ける。
アベル
割と正確に描けるが絵を描くより他の事をしたいので全然描かない。題材フリーだと適当に線一本描いてこれで完成って言い張る。何か文句でも?
サディアス
線画は平気だが色塗ると変になるので絵の具は使いたくない(筆の強弱や色作りが苦手)。題材フリーは単純に困る。どうしろと?
チェスター
色を現実と変えたい。題材フリーは近くにある物を描く。幼少期に父の髪を桃色で描いたら翌朝本当に桃色になって泣きながら謝った。父が母に叱られた。
カレン
線がまっすぐ引けない。「一生懸命さがあってとても素敵な作品です」(某公爵令嬢)。題材フリーだとベンチに座って見える景色を描く。
ジークハルト
かなり正確に描けるが適当やって周りの反応を楽しむため暇潰しで描く方が上手い。題材フリーは「本物の血でも使うか」と言い出して周りが止める
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ロズリーヌには元気よく喋ってほしいので、本当は259.フェフェリ での心の声は「フェrrrrルィスィアrrrrルァファティですわーっ!」くらい巻き舌なのですが、読みにくい事この上ないのでカットしてます。
最近だと338.怪しい男と乱入者 で割り込む時は「ぅうぉ待ちになっとぅえーっ!」くらいです。
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349.ちょっと考えて
チェスターが隣から覗き込んでる時、ウィルフレッドは「俺もああやってシャロン達と話したい」とソワソワしてますが、人目があるのでやりません。
サディアスはそれを察して「やらないでくださいね」という目をしてます(そこにはウィルフレッドは気付いてない)
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リラの市場で並べた魚が氷の上に乗ってたり、冷たい飲み物に氷が入ったりしてますが、氷は孤島リラにおいては港近くに地下洞穴(めちゃくちゃ寒い)へ行ける入口があり、そこで魔法使って型に水を流し込む→蓋して放置→前に放置した氷(完成品)を荷馬車で運んだり切り売りしたりする氷屋さんがいます。
《温度変化》持ちは荷馬車を冷たい風の魔法(冷気)で満たして溶けるのを防いだりできるので、力量によって良い賃金で雇って貰えます。
チェスターみたく《温度変化》で直接氷を作れる人は滅多にいません。ダンが325話で氷入れてもらってましたが、あらゆる意味でレア体験です。




