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「あのー、田村君帰っちゃいましたよ」
「そうですね」
放課後誰もいなくなった教室で俺達は二人席についていた。
誰もいない教室に悪魔と天使だけがいる。
そしてそのことを誰も知らない。
「まあ、そろそろ行きましょうか?」
「いいんですか?」
「いいですよ。じゃあ仲良く一緒に行きましょう」
「はい」
彼女が立ち上がり歩き出したので俺はその背について行く。
小さい背中だ。
後ろ姿だけでも圧巻なのに、振り返ったら圧倒的だもんな。
そりゃ誰も勝てないって。
どうすんの?
まあいざとなったら飛んで逃げよう。
田村君を連れて逃げよう。
まあ不安しかないがひょっとしたら陽気なお茶会で甘いものがいっぱい食べられるのかもしれない。
「ここですね、はい、忍これをどうぞ」
空き教室に作業用ゴム手袋。
ここから導き出される答えは?
「何すか、これ」
「手が汚れると嫌なので」
彼女はピンク色のシュシュで長い黒髪をポニーテールにする。
ピンク色のシュシュにポニーテールと作業用の水色の手袋、そして空き教室。
手が汚れると嫌。
わからん。
ヨガですか?
まあ身体の柔らかさなら自信ありますよぉ。
「やっぱり怖いことすんですかぁ?」
「しませんよ。運動です。開けますよ」
って開けんのはっやーい。