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約束通り俺達は日曜日映画を見に行った。
彼女が俺の見たいものでいいと言ったので俺はこの間美術部の友人達と見た派手な爆発シーンがふんだんに出てくるハリウッド超大作を見ることにした。
面白いものは何回見てもいい。
見終わったので昼ご飯を食べることにした。
「何食います?」
「忍の食べたいものでいいですよ」
「あんた食べたい物ないんすか?」
「ないですね」
「じゃあロッテリアでいいですか。あそこ映画の半券見せると10%引きにしてくれるんで」
「すっかり地上慣れしていますね。いいですよそれで」
俺達は絶品チーズバーガーを食べて、ショッピングモール内をあてもなくうろつき、買いもしないシールやぬいぐるみを見て、本屋では小声で文庫本の表紙とタイトルでどんな小説かを想像しあい、クレープを食って外に出た。
「やっぱり外は寒いっすねぇ」
「冬ですからね」
「テンション上がりました?」
「まあそれなりに」
「うーん、あの、ちょっと歩いていいですか?」
「いいですよ」
俺達は並んで歩いた。
歩いて歩いて、丁度いい人気のない場所を見つけたので言うことにした。
「空飛びませんか?」