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職業は、暗殺者専属の運転手です  作者: 円寺える


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第44話

 今日の面接は三人。

 サツキは自身も面接の経験があることから、三人の面接官を相手に面接をする気持ちが理解できる。

 クリスを真ん中にサツキとマルクが両端に座った。

 マルクは既に飽き始め、欠伸を零している。

 来る前は面白そうと言っていたが、実際に来てみたら面白くなかったのだろう。

 つまらないなら帰ってもいいのに、とサツキは思うが帰らないということは興味があるのか。それとも車で帰りたいから、サツキが終わるのを待っているのか。恐らく後者だ。


 クリスに渡された履歴書の写しを眺め、年齢や顔写真、経歴を確認する。

 女が二人と男が一人。サツキのように若い者が二人と、三十代前半の女が一人。

 多く年をとっている人間の方が技術面では期待できそうだが、若者は吸収が早く慣れるのに時間はかからない。と、考えるが心臓に毛が生えたような精神の持ち主でないと、どれだけ技術が良く、どれだけ慣れるのが早くてもすぐに殺されてしまう。


「クリスさん、精神的に強い人間の見分け方なんて分からないので、面接は直感でいいですか」

「もちろん。参考程度にしたいと思っているだけなので、その直感の理由も併せて教えてね。採用不採用はこちらで決めるから、人間を見て思ったことを言ってくれ」

「承知しました」


 履歴書を見る限り思うことはない。実際に会って話してみないと分からないものだ。


「俺、こいつ嫌だ」


 マルクはぺらっと履歴書を摘まみ、クリスの方にふわりと投げる。

 どれどれ、とクリスが履歴書を眺め、サツキにも見えるように掲げる。


 可愛らしい顔立ちをした、サツキと同い年の女性。

 茶髪を後ろでまとめ、前髪の先をくるっと巻いている。


「この女嫌いだから不採用だな」

「マルクさん、好き嫌いはいけませんよ。会ってみないと分からないじゃないですか」

「あ?お前は人を見る目がねえな。すぐ死ぬぞ」

「こんな小さな写真だけでは分かりません」


 正直に言うと、マルクは舌打ちをした。


 マルクが嫌いと言った女の履歴書をしっかり読み込み、何がそんなに嫌いなのかと考えたが、顔が好みではない以外の結論が出せない。

 この女が面接に来た際はしっかり観察してみよう。

 サツキはマルクの発言を頭の真ん中に置き、注視することを決めた。


 面接の時間になると、一人目がやってきた。今回唯一の男が顔を出し、三人を視界に入れると緊張した面持ちでパイプ椅子に座った。


「転職理由は?」


 自己紹介から始めるのではなく、早速転職理由から聞くクリスに驚くも、自分のときもそうだったなと数年前を思い出す。

 履歴書に名前や顔写真がある上に、裏はきっちりとってあるのだろうから自己紹介は不要だ。


「公務員の事務職なのですが、給料が低い上に残業が多く、効率化すれば残業がなくなるのにそういった取り組みもしないので転職しようと思いました」


 緊張した面持ちから一変し、笑顔を貼り付けて語る男。

 営業スマイルは慣れているのか、年配に好かれそうな笑顔だ。


「うち、入社後に言う予定だけど、結構特殊な会社なんだ。いいの?」

「職種は運転手ですよね?やばいもの運ぶとか、そういうことだと思ったんで、それくらいならいいかなと。給料は高いし、研修ありって書いてあったので選びました」


 へらへらと笑顔を崩さずに言う男からクズ臭がする。サツキは悪くないなと、男の顔を眺める。

 向上心は無さそうだが、並程度にはやってくれるだろう。可もなく不可もなく、低燃費で仕事をこなしそうだ。

 その後もクリスは質問を続け、男はへらへらと答える。

 面接が終わると男は出て行き、クリスはサツキにどうだったか感想を求めた。


「悪くないです。可もなく不可もなく働きそうです」

「それは同感だな」

「コミュケーション能力もありそうだし、仕事に罪悪感なんてなさそうだし、向いているかもしれませんね」

「彼と一緒に働くとなったらどう?二人三脚で、ってなったら」

「遠慮します。やることやってくれたらいいですけど、あとは能力と技術によります。先程見ただけですと、私がすべて尻ぬぐいをしそうなので、嫌です」


 足を引っ張る存在は不要だ。それなら一人でいい。今でさえ自分一人でいいのに。

 それに専属を二人にしてしまったら、どちらか片方が捨てられる危険性もある。二人いるから一人くらいいだろ、と切り捨てられたり降格になったり、そんなことがあり得る。


「マルクさんの専属は私だけです」


 ふん、と鼻から息を出す。

 そんなサツキの様子を、腹を抱えてマルクは笑った。


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