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師匠との再会

 家の周りは3メートル程の塀で囲まれており、塀から少し見えている屋根は瓦でできている。


 日本の都会の方ではあまり見ないが、田舎ではこのような瓦屋根の家が多く存在している。


 ミノタウロスはそんなリンを他所に、家の前にある大木にロープをかけて魔物の血抜きをしていた。


 血抜きには時間がかかるので、ミノタウロスはリンの事を手招きすると井戸の前まで連れてきた。

 すると、自分の足についた土などを綺麗に洗い落とした後、上質そうな布で拭いている。


 これ私もやらないといけない感じ?


 戸惑いつつも見様見真似で洗い終わると、満足そうな顔で頷いているミノタウロスがいた。

 どうやら玄関では靴を脱いで入らないといけないらしい。そのまま家の中にあがろうとしたら、軽くミノタウロスに怒られてしまったよ・・・。


 家の中に入ると木のいい匂いがする。

 外観もそうだったが、家の中もリンが知らない構造になっていたが、自然と落ち着くような気がした。


「アピス帰ってきたのか?ん?どっかで見たことある・・・・なんだリンか?久しぶりだな!」



「師匠?!生きてたんですね?!なんで帰ってこないんですか!というよりこの家とかどうなって・・・・」


「騒ぐなって。少し落ち着いたらどうだ?あーもう泣くなって!!」


 本当に小さい時から泣き虫なのは変わらねぇなとため息を付きながら、


「まず、こんな所じゃなんだから部屋で話しでもするか。アピス、悪いけどお茶だしてくれるか?」


「モゥ!」


 部屋に付いた師匠はこれまでの事を話した。


 師匠が魔の大陸に向かったのが4年前で、美味い魔物を探していたけど、魔物の暴走、つまりスタンピードに巻き込まれたらしい。師匠も数が多すぎて対処できないから、魔物を狩りつつも逃げ道を探していたんだけど、強力な魔物によって深手を負ってしまって、もうあのときは駄目かもしれんなと思ったって笑って言った。


「まぁそういう事があったんだけど、簡単に言うとこの家の主に助けられてな。傷が癒えたら戻ろうとは思っていたんだが、ちょっとここが居心地が良すぎてな・・・。」


「居心地がよすぎたって・・・皆、師匠の事心配してたんですよ⁉皆は師匠はもう死んでしまったんだろうとか言ってるし‼ずっと帰りを待ってた私の気持ちわかりますか!?」


「悪い悪い!いゃ、心配かけてるだろうとは思ってたけど、ここに居候するほうが俺にとっても都合良かったからさー。ひと区切りしたら一旦帰ろうとは思ってたのは本当だからな?それよりお前1人で来たのか?」


 師匠が話しを誤魔化そうとしているのは分かっていたが、師匠の事だから何を言っても無駄だろうし、なにより本当に師匠が無事で良かった・・・。


「私だけで来ました。行って帰ってくるだけならなんとかなると思ってました。」


 まぁ実際はそれすらも難しいと思い知ったんだけどね。

 私がなんの為に魔の大陸に来たのかを師匠に説明した。


 丁度良く、ミノタウロスのアピスがお茶と菓子を持ってきたので一服する事にした。


「アピスありがとう。」


「モゥモーモウモモゥ。」


「そっか。解体手伝いたいけど、まだリンと話ししなきゃいけないことあるからすまないが頼むな?」


 なんか会話になってるけど、こっちは全然わからない!師匠は魔物と会話できるの?前から思ってたけどついに人間やめた?


「おい、声に出てるぞ?まぁあながち間違ってはいねぇが、それについては後だ。多分、アピスに会えてなかったらお前死んでたぞ?無茶な事しやがって。しかしお前の弟のカイが神草を必要としてることになってるとはなー。」


「うっ!確かにそうなんですけど、ところで師匠!神草はどこに行けば見つかるのでしょうか?」


「ん?これのことか?」師匠は自分が飲んでいるお茶を指差しそういった。


「これ・・・神草なんですか?なんて貴重なものを飲ませるんですか!」



「いや、裏庭に腐る程生えてるぞ?必要なら持ってけよ。あー・・・けど、一応ここの主殿に聞いてみたほうがいいかもな。別になんも言わないと思うけどな。」


「そっか、そうですよね。ただ飯喰らいの居候アラフォーには判断付かないですもんね。で?この家の主人は今どこにいるんですか?」


「言ってる事はほとんど間違ってないからこそ腹立つな。んで、まぁこの家の主人はガクっていうんだけどよ、今ちょっと家空けてるけど、多分そろそろ一旦戻ってくる頃だと思うぞ?」


 ガクさんっていう人がこの家の主人なのね。まぁ師匠とミノタウロスと魔の大陸で共同生活?してる位だからまともな人物であるはずがないと思うけど。


「じゃあそれまで此処でガクさんの事を待っててもいいですか?それと、気にはなってたんですけど師匠が居候してる理由ってなんなんです?」


 いつもだらしがなくて、めんどくさがりで、人のことを振り回したり、戦闘狂で、悪い事をあげればキリがないくらいのゴミクズ人間だけど、強くて義理堅いが唯一の取り柄の師匠のことだから助けられた恩を返してるってところかしら?


「全部口からでてるぞ?まぁその通りなんだけどよ・・・。けどよ!それ以上の理由があるんだよ。飯と酒が美味い!それに、ここにはバケモンしかいないから鍛錬にももってこいだしな。アピスがさっき狩ってきた大蜥蜴(オオトカゲ)が今晩の飯になるはずだから楽しみに待ってろよ?結構美味いから驚くぜ?」


「いや、飯と酒ってしょうない。てか、アピスさんが狩ったのって大蜥蜴(オオトカゲ)だったんですか?!」


 リンが驚くのも無理はない。大蜥蜴(オオトカゲ)という名前ではあるが一般的にはサイズは1メートル位だからだ。

 しかし、どう見てもその3倍以上はあった。



「ここは魔の大陸だぞ?魔力濃度が高いんだから強いし、デカくもなる。まぁそれだけが理由ってわけじゃないんだけどな。ゴブリンだってゴブリンキング並みにデカくなってるからな!」


 そう言って師匠は笑っていたが、私は笑えなかった。最初に出会った魔物がゴブリンだとは夢にも思わなかったからだ。

 改めてもし、あのまま1人で無茶をしてたら、もしアピスさんに出会わなければ自分は今ここに生きてはこれていないだろうと感じた。


「ちなみにこの周辺って魔の大陸のどの位置なんですか?」


「俺達は魔の大陸を4層から1層で分けているんだが、今の場所は4層だ。そんで1層が魔の大陸の中心部って事だ。3層からは魔物も強くなってくるし、2層は化け物しかいない。1層は俺も行ったことはないが、聞いてる限り地獄のような場所みたいだな。魔の大陸からすればここなんて避暑地みたいなもんだからな!」


 笑えないし...てっきり中心部に近いと思ってた...。

 ん?待って。師匠は1層に行ったことないのになんでしってるんだろう?


「師匠は1層にいってないんですよね?なんで1層の事知ってるんですか?」


「そりゃガクが1層に行ってるからに決まってるじゃねぇか。俺もガクが家にいるときは模擬戦してもらってるけど、毎回ボコボコにされちまうからな。剣術だけだったらまだまだ負けはしないんだけどな。それより、疲れただろうから先に風呂でも入ってきたらどうだ?その間に解体まで終わってるだろ。」


 師匠がボコボコ?なんかサラッと凄いこと聞いちゃったけど。この家お風呂まであるの?


「いいんですか?案内の方してもらってもいいですか?」


「おう。替えの着替とか持ってきてるよな?無かったらアピスの腰ミノ貸してやるよ。」


「からかわないで下さいよ。着替えはもってるから大丈夫です!腰ミノといえばアピスさんの種族は腰ミノに食料をいつもいれてるんですか?」


 師匠にそう聞いたらニヤリと笑い、まっそんなもんだと流された。

 そんな話しをしていると風呂場についたので、師匠とは別れて入浴をすることにした。

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