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魔法の新たな発見

 鑑定には近くに死霊使い(ネクロマンサー)が居る可能性が高いとか書いてあったけど、今の所、魔物を操っているような奴は居ないんだよな・・・普通に考えたらこの規模の魔物を操るって1体で出来るはずはないから複数体居ると思ってたんだけどな。


 まだ完全にそうとは決まったわけじゃないけど、その線は薄いか?となると・・・次に怪しいのはまだ開いてない棺だな。陀魔髑髏(ダマサレコウベ)が出てきた棺は消えたけど、まだかなりの数が閉じたままになってる。


 つまりだ、俺が陀魔髑髏(ダマサレコウベ)が入っていた棺を開けたから、他の棺の中に入っていた陀魔髑髏(ダマサレコウベ)も棺の中から出て来る仕組みになっているって事じゃないか?


 俺が気付いてないだけで、最初に何も入ってない棺を開けた時も、実は同様の他の棺も消えていたっていう可能性もあり得るな。棺に鑑定を掛けても大した情報が出てこないから、ひたすら開けて確かめてくしか出来ないんだよな・・・。




 ガクに群がって来る魔物を時折、魔法で吹き飛ばしながらどうするべきか考えていた。一々、棺を開けて出て来た魔物を殲滅してからまた棺を開けるとなると、途方もない時間がかかる。かと言って、棺を次々開けていくとさらに魔物が増える可能性がある。それも、魔法を無効化される魔物が出て来る可能性も捨てきれない。


 ガクが考えた末に決めたのは、とりあえず1つ開けてから考えるといった事だった。現状ではガクの考えは仮説でしかなく、このまま大量の敵を倒したからといって脱出出来る可能性は限りなく低いと思われるので、この現状を変化させる為にその選択をした。要はガクがこの大量の敵を相手にするのに飽きたのだ。



 ガクは目に留まった棺を思い切って開けてみると、頭部がない真っ黒な骸骨が剣を握りしめて横たわっていた。棺が消えると頭部のない骸骨は立ち上がり、周囲からも同じような骸骨が棺から這い出て来る。




「これで確定と言ってもいいんじゃねぇか?俺の仮説が正しいって事だな。つまり、この棺のどれかに正解の棺があるって事っぽいな・・・ん?」



 立ち上がった骸骨はガクに襲い掛かって来るわけでもなく、一斉に走り去っていった。その魔物の行動の意味が分からず、唖然としながら見ているとある事に気付いた。



「うわ・・・・そういう事?合体するとかそんなんアリかよ・・・。」


 周囲に散り散りに走り去って行った骸骨は、陀魔髑髏(ダマサレコウベ)に近寄るとおもむろに掴み、自身の首に繋げた。合体し終わった魔物はガクにどんどん向かって来る。



黒影の戦士ブラックシャドーウォーリア B 】


 陀魔髑髏(ダマサレコウベ)の本来の姿。魔法完全無効化で魔法と剣を使いこなす魔法剣士。

 個体によっては武器の種類が違うので注意が必要。




「また魔法無効化かよ・・・黒いウィル爺なんか相手にしてらんねぇな。でも、ポジティブに考えるんだったら、合体してくれたし魔物の数自体は増えてない事だな。」


 呑気な事を考えている間にも合体を済ませた魔物がどんどんガクに迫って来ている。近づいて来る魔物を範囲魔法で吹き飛ばしているとある事に気付いた。


「ちょっと数が減ってきたような・・・もしかして魔法自体の攻撃は無効化してるけど、余波による付随効果は受けてるのか?」



 ガクの魔法により吹き飛ばされた魔物達は、互いにぶつかり合いダメージを負っているようで少しづつ数を減らしていってるようだ。


「だったら勝手に近づいてくれるし、近くに来たら魔法で吹き飛ばしておけば楽だな。」


 魔法無効化の穴に気付いたガクはこの戦法で徐々に魔物を減らしていった。だが、一般的な魔法使いではこのような事は出来ない。ガクの無尽蔵とも言える魔力量があって初めて出来るのであって、例え名持ちの魔法使いであっても大嵐(テンペスト)クラスの魔法を3発撃ったら魔力が底をついてしまうだろう。




 ■■■■■■■■



 数時間後・・・・魔法の余波によって数が減って来た魔物達を最後は剣で倒し切ったガクは、次なる棺を開けようとしていた。




「時間はかかったけどなんとか倒しきったな・・・それに、大分棺も少なくなってきたし、後少し・・・だと思いたい。」



 当初は見渡す限り、棺で埋め尽くされた大地であったが、現在は棺がまばらに点在する程度になっていた。ガクは少し休憩を挟んだ後、1番近くの棺まで歩き、中を開けてみる。


 開けた中身は棺一杯に土が入っており、棺の中央には土から野菜のような物が生えている。


「なにも起こらないな・・・絶対これ抜いたら危ない奴じゃないか?」



【マンドラゴラ D 】

 野菜が魔力により変異した魔物。魔力が豊富にある大地に生えている事が多い。

 元が野菜というだけあって食用になり、かなり美味しい。

 無理矢理引き抜いてしまうと魔法による手痛い反撃をくらうので注意が必要。


「美味しいというのが気になる・・・土から見えてる分には大根だし、1回試しに抜いてみるか。」


 土から出ている部分を掴んで引っ張るが、全く抜ける気配がない。少しムキになったガクは身体強化をして引っこ抜こうとした。



「よしッ!!少しづつ抜けてきたぞ。後すこ・・・「ドォォォォンッッ!!」」


 後少しで抜けるという所で、突然の爆発によりガクは空高く吹き飛ばされてしまった。なんとか態勢を整えて地面に着地をするが、手にはマンドラゴラの草の部分しか握られておらず、肝心の部分が全て爆発によって粉々に吹き飛んでいた。


「魔法って自爆するって事か・・・この魔物どんだけ地上に出たくないんだよ。じゃあどうやってこの魔物収穫すればいいんだ?」


 ふと何気なく視線を横に向けると、マンドラゴラと思わしき魔物が地上に出て歩いていた。見た目は人参。だが、先端が二股になっており、器用にそれで歩いている。突然立ち止まり、ガクの方を振り向くと身体を駒のように回しながら地中に潜っていった。



「野菜が歩く姿ってシュールだな・・・。地中に潜ったのを無理に引っこ抜くと自爆するけど、歩いてるのを捕まえる分には自爆しないって事か?」


 試しに近くの棺に隠れて待っていると、先程潜って逃げたマンドラゴラが辺りを警戒しながら地面に出て来た。マンドラゴラには目の様な物が見当たらないので、何処でガクを認識しているのか不思議だが、器用に腕のような物を使って這い出てくる姿はとても可愛らしい。


 ガクはマンドラゴラにバレないように近づき掴みあげたが、じたばたするでもなくジッと大人しくしている。ガクが不思議に思っていると、黒い霧と魔石を残して消えてしまった。



「掴み上げただけで死んじまった・・・ダンジョン内だから魔石だけ残して消えたって事か。」



 野菜を収穫出来なかった事に少し残念そうにしながらも、ガクは次の棺を開けていく。当初よりは少なくなった棺だが、まだまだ沢山の棺がある。


 ガクは果たしてここから脱出する事が出来るのだろうか。

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