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修行開始

 ガクはウィリアムからダンジョンの事を聞いていた。


 なんでもここのダンジョンのは30階層からなり、1~5階層は洞窟型で6階層から草原地帯の階層になっていくらしい。

 というのも、さすがにそろそろ腹が空いて限界なんだよな・・・。そのことをウィル爺に言うと6階層までは食料のドロップはでないらしい。

 それを聞いて俺は半泣きになりながらもウィル爺と攻略をしていった。


「ガクは不思議な戦い方をするのぅ。武器を持っていないようじゃが剣術の心得はあるのか?」


「俺は武器すら手に取ったことはねぇんだよな。もし良かったら暇があったら教えてくれよ。」



「我流なのじゃろうが、身体の動かし方は中々様になっておるぞ?そうじゃな。儂で良ければ良いじゃろう。人に剣術を教えるのは久々だからあの頃を思い出して滾ってくるわい!まずはそうじゃのう、武器が無ければ教えることはできんから、これをガクにやろう。」



 やべ・・・なんか火つけちまった。へー・・・でもいざ剣を手にしてみるとなんかワクワクしてくるな。

 長さは1メートルない位ってことはロングソードの部類に入るってことか。



「ガクも腹が減っているようじゃし、とりあえずは特訓は6階層に行ってからじゃな。」



 そのあとは順調に進んでいき、3,4階層になるとヨロイアントの他にでかい芋虫の魔物であるグリーンワームも出てきた。


 グリーンワームは粘着性のある糸を出してきて厄介だったが、体表は柔らかかった為、バレットで瞬殺だった。


 防御力がない魔物だったらいいんだけど、ヨロイアントみたいに固い相手だとバレットは使いずらいな。なんかいい攻撃魔法ねぇかな・・・・あっ!凍らせてみればいいんじゃね?


「ウィル爺!ちょっと試してみたいことがあるからヨロイアント1体残しておいてくれ!」


 よし・・・相手を凍らせるイメージで・・・【絶対零度アブソリュートゼロ


 ガクの魔法でヨロイアントは瞬時に氷の石像となり、やがてバラバラと音を立てて崩れていった。


「ほー。なんとも凶悪な魔法じゃの。ダンジョンではよいのかもしれんが、外では素材1つ残らないんじゃないかのぅ・・・ガク!」


 う・・・なんだ・・・身体が動かねぇ・・・



「ふむ・・・急激に体内から魔力が無くなったからじゃな。幸い気絶をしてるだけのようじゃの。しばらく安静にしておれば回復するじゃろう。全く無理しおって・・・」


 強力な魔法は時として使用者の身体を壊してしまうことがある。幸いにもガクは魔力の急激な消耗で気絶しただけで済んでいたが、同じ魔法を他人が使用していた場合、魔法が発動せず昏睡状態に陥るか、死亡するかのどちらかだろう。


 ウィリアムはガクの状態を確認すると、担ぎながら颯爽と6階層に向かって行った。







「ん・・・ここは・・・。」


「ようやく起きたようじゃの。全く無理をしおって・・・。」


 ウィリアムからの説明で自分が魔力の急激な消耗により気絶していたこと、現在は6階層の草原地帯にいることを聞いた。


「そうか・・・手間かけさせて悪い。俺にはまだ早かったみてぇだ。」


「焦らずに地道に行くのが一番の近道じゃぞ?ほれ、もう身体は動くのじゃろ?」


「あぁ。もう大丈夫みたいだ。よし・・・!!やるか。ウィル爺、この階層はどんな魔物が出るんだ?」



 ウィル爺の説明によると人型の魔物はオークっていう豚が人になったみたいな外見をしている魔物がでるらしい。その他はホーンラビット、ワイルドボアが出てくるらしい。


 肉はこの階層にいる魔物から一定確率でドロップするらしいから、早速狩りでもしてこようと思ったけど、俺が寝ている間にウィル爺が寄ってきた魔物を倒して食料をゲットしていたみたいなので、ありがたく貰うことにした。


 調味料なんてものはないから、そのまま焼くしかないのが残念だな。


 適当な木の枝などはそこらへんにあるから集めて、とりあえず火を付けなきゃな・・・ライターのような小さな火をイメージして【イグニッション】


 おー完璧!!ぶっ倒れた時からなんとなく魔法のコツ?っていうか、魔力の消費みたいなのがわかるようになった気がするな・・・まぁとりあえず今は肉でも焼くか。



「この肉すげぇ美味い!ウィル爺!これなんの肉?あー・・・そういえばウィル爺は飯とかどうしてんだ?」


「その肉はオーク肉じゃの。魔物も肉は味付けなどしなくても美味いぞ?儂も生前は食べたことがあるからのぅ。儂か?この身体になってからは食欲や睡眠が必要ないのは勿論のこと、疲れたりもせんな。ある意味慣れてくると便利な身体じゃぞ?」



「あ・・・・そうですか(全然うらやましくねぇ・・・)



「・・・ところでガク。十分に休息は取ったのではないか?ほれ、そろそろ剣を使った鍛錬でもするぞ?」


 気のせいか?ウィル爺から黒いオーラが出ているような・・・・。


「まずはどの程度動けるか見てみようかの。まずは儂に打ち込んできてみなさい。魔法の使用は禁止じゃぞ?」



 年寄りだからとかはウィル爺には当てはまらねぇな・・・素人の俺でも分かる。全く隙がねぇ。


 考えてもしょうがねぇ!!全力で打ち込む!


「うむ。剣筋はバラバラじゃが、おもいっきりは良し。スピードもパワーも中々・・・これは鍛えがいがあるのぅ。」



 全然ッ・・・当たらねぇ・・・!!それどころか、まともに打ち合えてもいねぇ・・・全部剣でいなされてる!そのせいで身体が泳いで重心がグラグラになっちまう・・・腰を落として・・・剣を真っ直ぐに・・・・・・。


「ほれほれ。まだ儂はここから一歩も動いてないぞ?剣に振られておるぞ?腰をもっと入れてうってこんか。」


 ほぅ・・・儂の言葉が聞こえぬ位集中しておるな・・・思ったよりも筋がよいの。ガクは本当に剣を持ったことがないのかのぅ?・・・・!!


「む!!今のはいい剣筋じゃった!こりゃ儂も遊んでおる暇はないのぅ。」



 ■■■■■■■■■■■■■■




 はぁ・・・はぁ・・・本当に化け物かよ・・・結局ウィル爺に当てることはできなかった・・・。


「実力を見るために打ち込ませてみたが、中々の剣筋じゃった。まだまだ粗い部分はあるがそれは追々と直していけば良い。どうじゃ?疲れたじゃろう?少しはこの老いぼれが羨ましくなってきたんじゃないか?」



 やべ・・・・俺そんなに思ったこと顔に出てたか?


「暫くはここでガクの修行をすることにする。丁度いい相手がいることだしのぅ。今日から儂がいいというまでは魔法を使って戦闘はしてはならんぞ?」


「・・・・・いや、早くダンジョンコアの状態を確認しなきゃいけないんだけど、修行しながら進むのは駄目なのか?」


「そうじゃな。ガクの心配もわかるがダンジョンコアは恐らくは大丈夫なはずじゃ。ガクは不思議に思わんか?このダンジョンの魔物の数や種類が少ないことに。」



「確かに少ないような気もするけど、これが普通なんじゃねぇの?」



「儂が来た時・・・まぁ数百年は前じゃが多種多様な魔物がおったよ。儂らが定期的にここに来て魔物を狩っておるから、ダンジョンコアの溜まっておった魔力も今は安定しておるんじゃと思うぞ?じゃないと今も魔物が溢れ返っているはずじゃからの。」



「確かにそうだな。でも、ここはいいかもしんねぇけど他の7つのダンジョンはまずい状況じゃねぇか?」


 実は、他のダンジョンが今すぐにどうにかなってしまうほど、まずい状況ではないことをガクは初めから分かっていた。


 ダンジョンは魔力が一定以上溜まるとスタンビードという形で魔物を外に放出していた。その結果ダンジョン内は空になるので魔力を消費し魔物を設置するという設定に管理者はしていたのだ。


 ここでガクが困る事といえば、スタンビードにより外に溢れた魔物が元々縄張りにしていた魔物に倒され、倒された魔物の魔石などを喰らいどんどん強力な魔物が出来上がっていってしまうことだけだ。

その為、8つのダンジョンの中心部は魔物が恐ろしく強くなってしまっている。


 そんな言い訳を用意してまで早くダンジョン攻略をどうしても進めたい切実な理由がガクにはあった。



 それは、ガクがなまじ剣術のセンスがあった為、ウィル爺の指導がどんどん厳しくなってきていたからである。



 なんとしてでも修行漬けの日々は回避してぇ・・・・。


「ふむ・・・時間は有限じゃといいたいのじゃな?よかろう。儂が出した試験をクリア出来たら次の階層に進むことにしよう。なにやらガクは急いでいるようだしのぅ?」


 尚、ウィリアムにはガクの考えていることは見透かされていた。

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