来訪者───
のらりくらりと更新します。
前ページで見つけた誤字脱字等も訂正しながら、投稿していきたいと思います。
温室内に案内され、ティーセットの置いてあるテーブルまで国王自ら案内してくれた。
プラントン王国の王族は庶民的なのだろうか?と思う程に気さくな気がする。
そういえば、この温室には執事も侍女も側使えすら見えない。
少し離れた場所に警護の為に騎士たちは配置されているが、私達以外が入らない様に人払いされてるみたい。
─────····
「ティナ、国王陛下と王妃様、殿下にご挨拶を」
「あい!···ティナ·プラント·ミュゲでしゅ!お会いできて光栄にございましゅ!」
王族を目の前にし完璧なカーテシーと一緒に自己紹介をする。
緊張したけど、何とか挨拶できたかな?···
「ほおー、3歳でこの様な完璧な挨拶が出来るとは、流石サミュエルの子だな」
「ありあとーございましゅ!」
「ちゃんと挨拶出来て偉いぞ!」
国王はそう言ってティナの頭を撫でて、後ろを振り向き王妃様と殿下に声をかけた。
「王妃のオーロラだ」
「初めまして、オーロラ·プラントン·スリズィエよ。可愛いお嬢さん、今日はいっぱいお話しましょうね」
少し距離はあるのに、とてもいい匂いがしそうな程に美人な王妃様に心臓バクバクでとても緊張する。
「そしてわが息子の第一王子のセオドリックだ。本当なら第二王子のアラステアもこの席に来る予定だったのだが、昨日から風邪気味でな。今日は大事を取って休ませてる。またいつか会ってあげて欲しい」
「あい!わかりました!」
「ありがとうティナ嬢。さあ、セオドリック挨拶なさい」
「はい、父上。」
私と1つしか変わらないのに落ち着いた声の持ち主がトコトコと国王陛下の横へ来る。
「初めまして、第一王子のセオドリック·プラントン·スリズィエです。この様なとても可愛い女の子に出逢えるなんてとても幸せです」
ニッコリと微笑みをこちらに向け、女の子なら誰でも悩殺されそうな褒め言葉をさらっと言ってしまえるのは、流石王子様である。
「ティナ、セオドリック殿下も妖精王様より加護を授かっているのだよ」
「ほぇー!いっちょだね!」
「今日は妖精王様からの加護のお話をしようと思って呼んだのだよ、さあ自己紹介は終わったから皆座って話そうか」
ティナの様子を見ていた国王がそう言って皆に座る様に促す。
各々テーブル越しに席に着く中、セオドリックはトコトコとティナの座る椅子の隣に座った。
「これ、セオドリックよ、此方に座らぬか」
「嫌です。父上」
国王がセオドリックに王妃の隣に座る様に促すが、間髪を容れずセオドリックはティナの隣以外に座る事を拒否する。
「──その理由を申してみよ」
「私の加護と共鳴しているのかもしれません、何か胸の辺りが温かい気がして、確かめる為にも側に居てもよろしいでしょうか?」
加護が共鳴?
妖精王は共鳴すること話してたっけ?
ふと自分の胸に手をあて感覚を研ぎ澄ませる。
·····──確かにほんのりと温かい。
まるで広大な草原で日向ぼっこしてるみたいにポカポカと温かい感じ。
「ティナ嬢も感じる?」
「わたしが感じているものが殿下といっちょなのかわからないけど···ポカポカしゅるよ」
「っ!···やっぱり!」
「ほほぉ、これはプラントン王族にしか代々伝わらない文献と同じ現象かもしれぬ」
そう国王が告げると
「シルヴィ兄様、もしかしてあれ···でしょうか?」
お父様も何か思い当たるみたいだ。
『ふふふっ、やっと気付いてくれたのね』
この温室に居るプラントン王族とミュゲ公爵家の者以外の声が響き渡る。
「だれだ!!」
ティナ達の目の前に現れたのは、転生する前に会った妖精王の1人、水の妖精王だった。
その神々しく水色に淡く光る女性の姿に皆が驚き動けずにいたが、ティナが反応をする。
「みずのよーせいおーしゃま」
『覚えてくれてたのね玲奈···じゃなかったわね、あなたの現世の名は?』
「ティナ·プラント·ミュゲでしゅ」
『そう、ティナというのね!可愛いらしいあなたにぴったりの名前ね』
皆が反応に困り固まる中、ティナにも何かしら確認したいであろう目線を送りながらも妖精王に向き直り、シルヴェスターとセオドリックが言葉を発した。
「「妖精王様、初めてお目にかかります。妖精王様にお会い出来、恐悦至極にございます。」」
『ふふふっ。会えて嬉しいわ』
「有り難きお言葉にございます」
「とても嬉しく思います」
そして水の妖精王はセオドリックに目線を写す。
『あなたに加護を授けたのは私よ。ティナと上手く共鳴出来たみたいね』
「あ、ありがとうございます!とても嬉しく思います!」
『ふふふっ、そんなに緊張しなくてもいいわよ。あなたの名前を教えて?』
「はい!プラントン王国の第一王子であります、セオドリック·プラントン·スリズィエにございます」
『セオドリック、いい名前ね!』
「有り難き幸せにございます」
『···これから何があってもティナを守ってね』
とても儚げにそう語る水の妖精王にセオドリックは目を瞬かせた。
「この命に代えても守ります!!」
『あなた自身の命もとても大切だから、自分も守りティナも守りなさい』
「はい!!」
国王夫妻も、公爵家夫妻も目の前で我が子らが妖精王と会話している事に驚きを隠せずにいた。
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