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名付ける事は···───

亀更新に失礼します。

やっと、次話が書けた···

遅くなりました。

──···セオが妖精王へ名付けを申し出るとは思わなかった。

正直、1人で全妖精王の名前を考える事に不安があった。

──·····だからセオが言い出してくれて嬉しい···




いきなりセオドリックが名付けに関して意見を述べるので、隣にいるティナが驚き目を丸くする。


『まぁ!セオドリック、私に名前を付けてくれるの?嬉しいわ!』

「!!わ、私が名付けても宜しいのでしょうか?」

『ええ、是非。ティナにばかり名前を決め手もらうのも私は正直悩んでたの。セオドリックから言ってもらえて嬉しいわ!』


セオドリック自身少し不安だった。

突然の提案をした為に妖精王が気分を害したのでは···と正直不安があったが、むしろ歓迎され拍子抜けしてしまう。

自分でも唐突すぎる提案だったので、重要な名前に関して考えが及んでなかった。



一人考え込むセオドリックに心配するティナは顔を覗き込み様子を伺う。



「セオ、大丈夫?名前の事言わなくてごめんなさい。心配させてしまったわね」

「ん?大丈夫だよ。ティナ一人ばかりに負担を背負わせるのは僕としても自分が許せなかったから気にしないで。むしろ、光栄な事だから誇らしいよ。父上にも自慢できるし」


ティナに心配かけてはいけないとセオドリックは気丈に振る舞う。


『ティナ、一番名付けを気にしてた火のを呼ぶ?私と代わりましょうか?まだあなたの年齢で一度に私達を呼ぶのは2人くらいがいいと思うの』

「大丈夫です!いっぱい魔法の練習をして自分の魔力量も以前より増えたので、火の妖精王も呼べると思います!」



そうティナが言ったと同時にティナは妖精王に呼び掛ける様に放出される魔力量を増し、もう一つ仄かな光がティナの回りを元気に飛び回る様に赤い光が現れる。



『ティナ!やっと呼んでくれた!』

『こら!火の!皆いるのよ!落ち着きなさい!』

「ふふふっ、火の妖精王ごきげんよう。お待たせしてすみません」

『ティナ、あなたが謝ること無いわ』

「ありがとうございます。火の妖精王、名前の件ですけど、お待たせしてすみません」

『!!···考えてくれたんだな!嬉しい!』



火の妖精王がテンションMAXでティナの回りを飛び回る為、皆がたじたじになり様子を伺う。


妖精王とのやり取りは、妖精王側からの許可が無いと一貴族が出るのは無礼に値する為、様子を伺うしかないのだ。

セオドリックも初めて見る火の妖精王の姿に驚き言葉を発せずにいたが、水の妖精王に名付けの許可を得た事を伝えねばと意を決して発言する。



「火の妖精王、お初にお目にかかります」


『!···お前に発言を許可した覚えは無いが』



ピリッとした空気に変わり、一同身体が硬直してしまう。


『こら!火の!私の可愛いセオドリックを威圧しないで!それにここにいる皆があなたの禍々しいオーラに遣られそうよ』

『ふん!別に苛めてる訳じゃないよーだ!ただ、ティナの婚約者って聞いてた奴がどんなのか見てただけだし』

「·····」


水の妖精王と火の妖精王とのやり取りを見る限り、姉と弟のやり取りにしか見えないが、ティナの事を相当気に入ってるのはここにいる皆が理解出来た。


「あの、発言の許可を頂いてもよろしいでしょうか?」

『ふん!しょうがない···許す』

「ありがとうございます。私、プラントン王国第一王子セオドリック·プラントン·スリズィエにございます」

『ああ、ティナから聞いてる。婚約者ということもな』

「ありがとうございます。大変失礼だとは重々承知の上で発言させて頂きますが、ティナに全妖精王への名付けは負担が大きすぎます!」

『なっ···!!お、お前!』

「皆が周知してることですが、万が一の事が起きた場合のティナが私は心配なのです!ですので、私も水の妖精王に名付けする事を許可して頂きました」

『水の!どういう事だ?』

『ティナに名付けを申し出た後に皆で話してたでしょ?ティナ一人に私達皆の名前を考えて貰うこと、心配は無用かもしれないけど、もしもの時には私達がティナへしなければならないこと。あなたも重々承知の筈よ』

『うっ···そうだけど、俺はティナに考えて欲しかった···んだもん』



火の妖精王は水の妖精王からの一言に、最後は尻窄みな感じになってしまった。

それでも水の妖精王は一歩も引かないという感じで火の妖精王を睨む様に見る。



『───うぅ···わかったよ!水のが許したんだから、お前にも権限を与えてやるよ!』

『よしよし!水のは良い子ね』


「········───」


水の妖精王が火の妖精王の頭をよしよしと撫でるのを目の当たりにした一同は、密かにやっぱり姉弟の様だと思ったのだった。


「水の妖精王?火の妖精王にも許可を得たのはどうしてですか?」


ふと、気になった事をティナは水の妖精王へ質問する。


『私達妖精王は7人いるでしょ?1人でも拒否すれば意見は通らない様に大昔だけど決めたの。やっぱり不満があると嫌でしょ?1人だけが拒否してる場合は他の妖精王が説得も可能よ。説得した上でも拒否する様なら意見は通らないわ』


妖精王同士意見の尊重はしており、話し合いもするのは人間と変わらないんだと実感する。



──王様同士いろいろ勝手に事が進んじゃうのかと思ったけど、堅実的に物事を決めるのは人間と何ら変わらないのね。



「そうだったんですね。ありがとうございます」

『ふふふっ、私達の事を気にしてくれてありがとう、ティナ。セオドリックも私に名付けを申し出てくれるのは覚悟が必要だったわね、ありがとう』

「いえ、水の妖精王に加護を授けて頂きましたので少しでも私自身お役に立ちたいと思い、志願しました」

『なあなあ、話はそれくらいにして早く名前聞かせてくれよー』


自分には関係ない話に無関心な火の妖精王は口を尖らせ、子供のような態度の火の妖精王に少しだけほっこりする。


『もう、しょうがないわね。ティナ、名前を聞かせてくれる?』

「はい!ではまず火の妖精王には···───


火の妖精王 フラム

土の妖精王 ソル

風の妖精王 ヴェント

氷の妖精王 グラソン

光の妖精王 ルミエール

闇の妖精王 ノワール


·····私が考えた名前は以上になります。ど、どうでしょうか?」


恐る恐る火の妖精王を見てティナは訪ねる。


『フラム····フラム···うん!いい!気に入った!ありがとう、ティナ!』

「!!良かったぁ···」



ホッとしたティナは力が抜けたのか安心する様にセオドリックの手を握った。

闇の妖精王も自分に新たな名前を付けて貰えて喜んでる様に見える。



『ティナ私達の名前を考えてくれてありがとう。ノワール···キレイな響きで私も気に入ったわ。嬉しい!』

「気に入って頂けて良かったです。ホッとしました」

『ふふふっ、ティナもやっぱり緊張しちゃうわよね。ありがとう』


「水の妖精王、あなたへの名前ですがラルム···はいかがですか?」


セオドリックも突発的ではあるが、この短時間で自分の中で一生懸命考えた名前を水の妖精王に提案する。



『ラルム···』

「大変烏滸がましいのですが、火の妖精王ととても仲が良く見えたもので、響きが似てしまうのですがラルムというのはいかがかと」

『ラルム!いいんじゃないか?俺は気に入ったぞ!お前もいい名前を考えたじゃないか!』

「大変恐縮にございます」


火の妖精王がセオドリックを褒めると、水の妖精王も頬を赤く染めながら名前を呟いていた。


『ラルム、私の名前···ふふふっ、綺麗ね。セオドリック、名前を付けてくれてありがとう!』


ギュッとセオドリックの腕に水の妖精王が抱きつき感謝すると、セオドリックも緊張していた表情が和らいだ。


『ティナもセオドリックも私達に名前を付けてくれてありがとう!皆にも伝えてくるわ!』

『そろそろ俺らも帰った方が良さそうだしよ!お前ら以外の奴らがずっとこっちを様子伺ってるし、ティナも勉強の途中だったろ?悪かったな』

「いえ、私の事はお構い無く。でも、皆さんへ気を遣って頂きありがとうございます。この後も勉強頑張ります!」


妖精王が現れてからアラステア殿下含めルィエ伯爵達がこちらの言動を伺っており、妖精王が居る手前何か行動する事も出来ずに居た。

火の妖精王、フラムから提案してくるのにはちょっと驚いたけど、お言葉に甘えて妖精王にはお帰り頂いた方が良さそうだとセオドリックもティナも判断する。


『では、ティナ。またね』

『名前ありがとうな!』

『セオドリックも名前ありがとうね!また会いましょ!』

「はい、また!」

「今日はお会いできて嬉しかったです」



シュルシュルっと3つの淡い光が消え、通常の風景に戻った。

セオドリックとティナ以外は緊張が解けたようにゆっくりと動き出し、アラステアが真っ先にセオドリックに駆け寄り話し始める。


「に、兄様。先程現れたのは妖精王でいらっしゃるのですよね?俺、初めて見ました·····それに、兄様が水の妖精王に名付けを···ち、父上に直ぐ報告しなくては!」

「まぁまぁ、アラステア。落ち着いて。まだ講義の途中だから、まずはルィエ伯爵と相談の上でティナと一緒に父上の処へ行こうか」

「そ、そんな悠長に構えていいんでしょうか?」


セオドリックが水の妖精王に名付けを、ティナが水の妖精王以外の妖精王に名付けをそれぞれした為、世界中でこれは話題になる。

世界樹のある中央国の周りにプラントン王国含め古代より歴史のある大国が並び、そのまた周りに小国や連合国がある。

世界中何処に行っても妖精と共にあり、妖精の父であり母である妖精王に名付けをするのは偉大な事であり、異例な事でもある。

アラステア自身も王族であるので妖精王と妖精に関する基礎教育は現在進行形で受けている中での、今日の出来事だった為事の重要性を把握している事もあり、実兄の悠々とした姿に焦りを隠せない。



するとルィエ伯爵が今起きた事の報告の方が重要だと判断し、セオドリックへ国王へ報告する様に促す。


「セオドリック殿下、アラステア殿下の仰る通り国王へのご報告を急がれた方が宜しいかと。本日行う講義に関してはまた後日行います。あと、もしもの場合に備えて今日の件に関して全員を一時的にここへ待機させておきますので、もし国王よりご報告内容に証言が必要な際はお申し付けくださいませ」

「わかった。ありがとう、ルィエ伯爵。じゃぁティナ、アラステア行こうか」

「「わかりました」」


クラーク達は一時的に待機になり、後程今日見た事への対処に関する報告を受ける事になった。

バートラントは護衛を兼ねている為セオドリック達と国王へ謁見する事になった。

謁見と言えど、事前に通達があっての手順を今回はすっ飛ばす為そのまま国王の執務室に向かう。

侍従へ国王に謁見する旨を連絡して貰っている為、そのまま4人は執務室へと向かった。



ご購読ありがとうございます。

誤字脱字等ありましたらご指摘ください。

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