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第二王子との対面···───

亀更新に失礼します。

アラステア殿下に会う日までの一週間はあっという間だった。

今までと変わらず毎日登城して、セオドリックやバートラント、クラークにアメリアも一緒に講義やダンスレッスン、魔法についてを勉強したりして過ごしていた。




「おはよう!ティナ!今日は弟のアラステアのお願いを聞き入れてくれてありがとう」

「いいえ、私もセオからアラステア殿下の事を度々聞いてたから会ってみたかったの」

「良かった!アラステアもとても楽しみにしてるみたいで、今日も朝からソワソワしてたよ」

「うふふっ、そうなのね!アラステア殿下は私と同い年って聞いてたけど、とても可愛らしい方なのね」


父親のサミュエルと共に登城し、正面ホール入口から入ると早速セオドリックがバートラントと護衛を連れて出迎えに来てくれた。

父サミュエルとはここで別れ、今日のお茶会の場所までセオドリック達と共に歩き出す。

アラステアについてはセオドリックから少し話を聞いていて年は1つ違いでティナと同年だと聞いてる。

アラステアもセオドリックと同じで3属性の妖精から加護を授かっている。

王立学園にはティナと同学年の入学になる。


「まだまだ年相応なところが可愛いよ。ティナは完璧なレディだからアラステアがちょっと子供っぽく見えるかもしれないけど、可愛がってもらえたらと思う」

「ええ、我が国の第二王子ではあるから烏滸がましいけど、是非お友達になりたいわ!」

「そう言って貰えると嬉しいよ!」


「はぁ·····お前らなぁ、俺が居ること忘れてないか?」


突然、溜め息と共に大きな声でバートラントが割って入ってきた。


「バートラント様、おはようございます!」

「おはよう!ティナ嬢!今日も可愛いな」

「うふふっ、ありがとうございます。バートラント様も今日も一段と格好いいですよ」

「おう!ありがとうな!」


ほぼ毎日の朝の会話になりつつあるバートラントとのやり取りに、セオドリックが拗ねた表情で2人の間に入ってきた。


「むむ、ティナ!僕以外の異性を褒めるなんてちょっと妬けるよ!」

「セオったら···ふふふっ、不貞腐れるセオは可愛いわ」

「なっ!ぼ、僕を可愛いって言うのはティナくらいだ!」

「照れてるの?」


拗ねた表情から一変して赤面するセオドリックに、ちょっとからかってみた。


「そんなこと無いよ!ティナが何時でも可愛いのには変わらないから、そのティナを独り占め出きるのは僕だけだからね!」

「!!···もうっ!セオったら!」


直ぐに話題を切り返され、逆にティナが狼狽え照れてしまう。

そんな照れたティナを優しい眼差しで見つめ、手を握るセオドリックに更に赤面してしまう。


「はいはい、お二人様。そこまでにして頂きたいですよー。俺はもうそれが2人の通常運転ってわかってるからまだしも、護衛の騎士達が居たたまれなくなってるから、そこまでにしてくれー」

「バート、私とティナの会話に入ってこないでくれ」

「いやいや、朝から本当お前ら飽きもせず毎日甘々だよな。ご馳走さまでーす」


そうバートラントは両手を併せ拝む。

毎日一緒にいて、朝もほぼ毎日出迎えに来てて同じ様にお互いの事を話す2人にバートラントは慣れきっていた。

交代業務で護衛に付く騎士達は2人のやり取りに慣れておらず、苦笑する。

そのままセオドリックはなにも気にせずアラステアの専用庭園へと向かった。

第二王子アラステアの専用庭園もセオドリック同様に季節の花がいっぱい咲いており、小さな噴水もある。

庭園に着くと侍女がガゼボへと案内する。

既に誰か来てるみたいで、後ろ姿が見てとれた。

すると、既に座ってた人物が側に控えてた侍女にティナ達が来たことを告げられ、立ち上がり此方に向かってきた。


「兄様!お早いお着きで」

「アラステア、もう来てたんだね」

「はい!待ちきれず少し早いですけど、来てしまいました!えと···こちらの方が···」


アラステアはチラリとティナを見て、セオドリックとは違う無邪気な微笑みを向ける。


「ああ、私の婚約者のティナだよ」

「やっぱり!とても可愛らしい方だと母から聞いてますが、それ以上に可愛いですね」

「まあ!お褒め頂き大変恐縮にございます。宰相であるサミュエル·プラント·ミュゲの長女であります、ティナ·プラント·ミュゲにございます。第二王子でありますアラステア殿下にお目にかかる機会を頂き嬉しく思います」


ティナは完璧なカーテシーをし、挨拶を交わした。


「アラステア·プラントン·スリズィエです。こんな素晴らしい方が兄様の婚約者であることを嬉しく思います。以後よろしくお願いします、姉上」

「「!!」」


まだまだ婚約発表もしておらず、ましてや結婚をする年齢まで10年以上先なのに、姉上と呼ばれセオドリックとティナは驚きを隠せない。


「アラステア、まだ正式な婚約発表してないからそう言った表現の仕方はまだ早いかな」

「そうなのですね。わかりました、ではティナ嬢とお呼びしてもいいでしょうか?」

「はい、喜んで」

「ありがとうございます。僕と同年と伺ってるので話し方も砕けた感じで話せると嬉しい」

「いいのですか?」


ティナはアラステアとセオドリックの2人を交互に見て確認する。


「構わないよ?ティナはもう家族みたいな感じだし、アラステア自身がそう言ってるから話してあげて欲しい」

「わかりました。アラステア殿下よろしくね」


セオドリックから許可を得てティナは微笑み返しアラステアに改めて挨拶したら、アラステアがとても照れた表情に変わり、セオドリックにコソコソ耳打ちする。


「!···兄様、ティナ嬢はこのままでは危ないですよ。誰かに拐われてしまいます」

「そうだろう?母上が気に入るのも頷けるだろ?」

「はい···庇護欲を掻き立てられると言いましょうか」

「私も毎日一緒にいるけどティナと居ても飽きないし、もっとティナの事を知りたくなる存在だよ」

「惚気ご馳走さまです」


「?」


2人でコソコソ話す内容は聞き取れないが、仲が良いのは見てとれる。

セオドリック自身はティナより1つ年が上だが身長は国王陛下に似て長身だ。

なので、ティナより20センチ程大きい。

アラステアもセオドリックに負けずと長身で、同年のティナより10センチ程高い。

2人が並ぶととても絵になる光景だと思う。


「立ち話も失礼なので、こちらへどうぞ」


アラステアがセオドリック達にガゼボへと案内し、席に着くよう促す。

まだ今日招待された他の子息令嬢は来ておらず、今日の主催のアラステアを筆頭にセオドリックが隣に座り、その隣にティナが座る。

バートラントは護衛を兼ねてはいるが、今日の招待リストに載ってる為、ティナの隣に座った。

その後直ぐにクラークとメイナード、アメリアが到着し各々席に着いた。


侍従から今日の招待客が全て揃った旨を伝えられたアラステアが席を立ち、挨拶をする。


「本日はお集まり頂きありがとうございます!私たっての願いで皆様にお会いしたく思いお茶会を開催致しました。私、プラントン王国第二王子アラステア·プラントン·スリズィエにございます。以後お見知りおきください」


貴族であれば自国の王族貴族の家族構図が頭に入っているのが当たり前。

今日招待された子息令嬢も既に自国の王子の名前は知っている。

アラステア自身もそれを踏まえた上で主催である自身の自己紹介をした。

セオドリックは既にティナ達と行動しているため省略らしい。

序列でいうと王族の次は公爵になるので順番に自己紹介をしていく。


「ミュゲ公爵家長女のティナ·プラント·ミュゲにございます。アラステア殿下とは同年にございますので、どうかティナとお呼びくださいませ」

カーテシーと共に自己紹介をし、席に着く。


「アザレア侯爵家長男のクラーク·プラント·アザレアです。セオドリック殿下と同年にございます」

「テュリップ伯爵家長男のバートラント·テュリップです。本日はセオドリック殿下の護衛も勤めさせて頂いておりますが、ご招待頂き嬉しく思います」

「ルィエ伯爵家の長男メイナード·ルィエにございます。アラステア殿下と同年にございますので、よろしくお願いいたします」


男の子の自己紹介は不器用ながらな感じで直ぐに終わった。


「ゼラニューム伯爵家長女アメリア·ゼラニュームにございます。アラステア殿下と同年にございます。ティナ様と仲良くさせて頂いております。以後お見知りおきくださいませ」


自己紹介の順番が最後ということもあり、アメリアは少し緊張していたみたいだが、凛とした雰囲気で話した姿は流石と言える。

皆の紹介が終わり主催であるアラステアが話を切り出す。


「紹介頂きありがとうございます。皆さん私と年は余り変わらないので気軽に接して頂けると嬉しい。是非僕の事もアラステアと呼んで欲しい」

「アラステアも私と同様に気さくに話してくれて構わないよ」

「了解しました」

「わかりました」


各々了承の旨を伝え、その場の空気が和やかになる。


「さあ、自己紹介もおわったので皆さん少しばかりだけどお菓子も用意したからゆっくりしてって欲しい」


お菓子という単語に皆の目が輝く。

今集まってる皆年齢に合わずとても聡明であり、子供っぽく無いがそこは年相応な反応でお菓子に目が無い。

まだ午前の半ばではあるが、ちょっとしたおやつだ。

お菓子を摘まみながらの談笑が各々始まる。


アラステアの近くに座るセオドリックとティナ、クラークの4人で最近のアラステア自身の勉学について話し始める。


「アラステア殿下、質問していいかしら?」

「いいよ?ティナ嬢」

「私達はセオドリック殿下と一緒に講義を受けてたけど、アラステア殿下は違うカリキュラムで受講してたの?」

「僕はセオドリック兄様みたいに頭を使う分野が少し苦手なので、体を動かす事を重視して受講してるんだ。だから、皆さんとは会う機会も無かったかと···」

「城ではたまにすれ違う程度だったような気がするけど、アラステア殿下は外での活動が多かったんだな」

「僕はどちらかというとバートラント殿と似てるかな。だから座学はちょっと···って感じで」

「そうだったのですね。では、今後は私達とご一緒するのはどうですか?」

「えっ?!いいのか?···兄様はどう思いますか?」


セオドリックの婚約者であるティナからの思いがけない提案に驚き、セオドリックに確認してしまう。


「別に私は構わないよ。むしろ、アラステアも一緒に受けれるなら今以上に楽しいだろうね」

「!!···ありがとうございます!兄様と皆さんと一緒に受けれるなんて幸せです!」

「うふふっ、良かった!皆で受講する方がずっと楽しいですもの!明日から楽しみですね!」

「ああ!よろしく頼む!」

「アラステアも、余りはしゃぎすぎない様にな」

「むむむ···わかってますよぉ」

「ふふふっ」

「クスクスッ」


ちょっと拗ねた表情のアラステアにセオドリックもティナも笑ってしまう。


「もお、からかわないで下さいよー!兄様!」

「悪い悪い、アラステアがあまりに嬉しそうだったから、つい」

「もおー」


兄弟のやり取りはこういう物だと実感するティナは、もうすぐ産まれる弟か妹に思いをはせる。


「ティナ?どうかした?」

「え?···あの、兄弟ってこんな感じなんだなーって思って2人を見てただけよ?2人共とても仲良しだから、私も弟か妹が産まれたら2人の様になりたいなーって思って」

「ティナならなれるよ。優しいティナだから弟か妹が産まれたら私達をほっぽってそっちばかり付きっきりになりそうでちょっと妬けるかな」

「まあ!まだ産まれても無いのにセオ早すぎよー」

「兄様がそこまでティナ嬢に想いを持ってるなんて驚きました」

「驚きも何も私はティナに惚れてるからね。誰にも譲らないよ」

「はいはい、ご馳走さまでーす」


すかさずクラークが突っ込む。

毎度お馴染みになりつつあるセオドリックのティナに対する想いを語る事について、今いるメンバーは周知している。


「でも、まずティナの誕生日パーティーも控えてるからそっちのが僕は楽しみだよ。僕もアラステアも参加するからよろしくね」

「ありがとう!アラステア殿下も来て頂けるのね!嬉しい!」

「私も参加するからね!ティナ!」


ティナの誕生日パーティーの話題を聞き付けたアメリアがすかさず話しに入る。


「お誕生日のプレゼントを何にしようかずっと悩んでたの。でも、この間我が家に商会が来て、ティナに凄くピッタリな物を見付けたので、是非受け取って下さいな」

「ありがとう、アメリア!パーティーがとても楽しみだわ!」

「はい!私もとても楽しみですわ!もうティナはパーティーで着るドレスは決まりました?」

「大体は決まったかなーって感じね。お母様が張り切ってデザインから色から決めて下さってて、私の意見も少し取り入れ頂いたの」

「まあ!ティナはどんなドレスでもお似合いです!ちなみに何色のドレスになるのですか?主役と被ってはいけませんもの、参考までに教えて下さい!」

「ふふふっ、アメリアなら一緒の色でも歓迎よ?」

「嬉しいですわ!」


女の子同士の話しに男の子は圧倒される。

誕生日プレゼントの話であれば男の子も話に交ざれたが、ドレスとなると男の子には難しい分野になってくる。


「ティナのドレスはもう叔母上が決めてしまったんだね」

「セオ、そうなの。お母様が張り切っててお身体を大事にする時期なので、私がお止めしたくらいで」

「ふふふっ、叔母上らしいね。でも、私も一緒に決めたかったなぁ···今回は叔母上にお任せするけど、次の誕生日からは僕も一緒に決めさせてね」

「!···お母様に言っとくね!」


その発言は独占欲丸出しでは?とここにいる全員が思ったのである。



その後はみんなで魔法に関する話題であり、妖精に関する話題等、剣術の話と男女関係なく話してお茶会は終了した。

ご購読ありがとうございます。

誤字脱字等ありましたらご指摘ください。

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