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自分の事、それと新たな出会い···───

亀更新に失礼します。

お母様からの幸せな報告後、至って変わらぬ生活をしていた。

ほぼ毎日登城してセオドリックと一緒に講義を受講する。

講義内容によってクラークやバートラントが加わる。


ティナ自身少し成長したと思うのは、全妖精王から加護を授かってるので、いつかは自由に会話が出来るのでは···と自分でも家に帰ってからコソッと魔力向上、魔法の練習をしている内に、妖精王が小さい姿で現れて会話が出来る様になったということだ。


といっても、自分自身が持つ魔力を媒介にして妖精王や妖精に現れて貰ったり、会話をする為、妖精王がありのままの姿で現れる訳ではなく、前世でいう○カちゃん人形の様な大きさで現れる。

一編に妖精王が現れるとティナ自身の魔力が枯渇してしまうので、今の年齢では3人が限界で、姿がハッキリ見える時間も短時間だ。

現れるのが1人であれば5時間程はハッキリ見える。

魔力が少なくなると省エネモードみたいに淡く光る球体になり、それぞれの属性に合った光でとても綺麗なのだ。

それでも会話するには可能になった。

妖精王側で姿形の大きさは自由自在だが、こちらの世界に合わせていつも姿を現してくれる。


いつも通り城で午前午後と講義を受け、父である宰相のサミュエルと共に帰宅する。

前世の一般的社会人は残業だとか、休日出勤とか当たり前のような生活スタイルだが、こちらの世界の城で働く人はほぼ毎日、同じ時間に業務を終了する。

侍女や侍従、騎士たちは交代制で仕事をし、夜間であれば特別手当が貰える。

なので、離業する者は特別な理由がない限りあまり居ない。



帰りの馬車の中でサミュエルがティナに陛下からの伝言を伝えた。


「ティナ、陛下からティナにお願いがあるって言われたんだけど」

「お願い?」


国王陛下直々にって。

もうすぐ4歳だけど、まだ3歳という年齢なのに。


「そこまで深く畏まって考えなくていいよ?前に国王夫妻とセオドリック殿下とのお茶会があったよね?そこに第二王子であるアラステア殿下がいらっしゃらなかったのは覚えてる?」

「はい、記憶してます」

「偉いね。アラステア殿下が陛下にお願いをしたみたいで、ティナに会わせて欲しいそうだよ?」

「私に?···ですか?それは、前回と同様にお茶会を主催して頂くということなの?」

「いいや、今回はこちらもソフィアが懐妊していてまだ馬車での移動は難しいから、子供のみで会うという感じみたいだよ?いいかな?」

「大丈夫です!セオドリック殿下も一緒にいらっしゃるのでしょう?」

「うん、そうだね。それに最近一緒に受講しているクラーク殿やバートラント殿も一緒に···という事みたいだよ。あと、妖精の加護に関する講義でルィエ伯爵が師団長の代わりに講師をされてるそうだけど、そのご子息と師団長のご令嬢も一緒に参加されるそうだよ」

「アメリアも来るの?嬉しい!!」



ここ約一年でいろんなご子息とご令嬢に出会い、城で講義を受講する機会が増えた。

殆どの貴族子息·令嬢は自宅に家庭教師を招き勉強するが、今まで会った子息·令嬢は将来性を見越した上で英才教育の一貫として父親と行動を共にする傾向がある。

一緒に仕事場に行く事は少ないが、同じように見込みのある子息·令嬢が集まる事もあり、同じ講義を受ける機会も増える為、親しくなるのだ。

その為ルィエ伯爵から講義を受ける時に伯爵子息のメイナードと伯爵の上司である師団長の令嬢のアメリア·ゼラニューム伯爵令嬢がここ最近行動を共にしている。

メイナード様もアメリアもお互いに魔法に関する事は流石と言える程に卓越している。

アメリアからは全妖精王からの加護の事で興味を持たれ、話すようになり令嬢らしからぬ言動もする為、とても気さくに接する事が出来る今唯一の女友達だ。

なので女子トークもする。

ちなみにアメリアの婚約者はメイナード様で、お互いに小さい時から一緒に居て親同士も頻繁に交流があったそうで、早々に決まったみたい。


「ティナと仲良くしてくれてるご令嬢も一緒だから楽しんでおいで」

「はい!」

「日にちの詳細についてはまた帰宅してから追って伝えるね」

「わかりました!」


公爵家の屋敷は王都からほど近くにあり、敷地は貴族界トップなだけあり広大だ。

その為、城から公爵家までは馬車で30分程の距離にある。

父であるサミュエルと会話している内に公爵家の屋敷に着き、自室に戻り部屋着のラフなワンピースに着替える。

夕食までにはいつも時間がある為、その時間は妖精王と会話して魔力を使い、自分の魔力量を増やす特訓をしている。


『ティナ!お帰り!今日は何を勉強した?』

「ビクッ!!···火の妖精王!ビックリしたー、そんな大きい声を出さなくても聞こえてますよ?」

『だってティナ昼間はあんまり俺ら出してくれないじゃん!』

「それはまだ妖精王に会ったこと無い子息·令嬢が居て、みんなビックリしちゃうと思って···」

『そうよ、火の。私達が常にティナの元へ行けるからって自分本意に来て良い訳では無いわ』


城から帰宅し少し気が緩んだ事もあり、魔力を放出したら直ぐに妖精王が姿を現してくれた。

その火の妖精王の言葉に注意してくれるのは水の妖精王だ。


『ちぇー、俺はティナとちょっとでも会えるの楽しみなのに』

『それはわかるけど。私達がずっと同じ場所に居るのはティナにとっても負担なのよ?』

『わかってるよ···でも、ティナも頑張って魔力量増やそうとしてくれてるからちょっとでも力になってあげたくて』


妖精王だが火の妖精王は見た目10代の少年にしか見えない為、綺麗なお姉様の水の妖精王と姉弟にしか見えない。

なので、この光景は弟を説得する姉の図である。


『火のは優しいね。ティナの事が大好きみたい』

「ふふふっ、私も妖精王の皆さん大好きですよ?」

『そ、そんな事!わかってるよ!···ありがとな』

「照れてるんですか?」

『わりーかよ。そりゃ照れるだろ·····だ、大好きなんて···ゴニョゴニョ』


火の妖精王は頬を赤くしながら照れ隠しでそっぽを向き口ごもる。


『それに!ティナ、火の妖精王とかって毎回畏まって言うの大変だろう?だから、名前考えてくれよ!俺らを呼ぶ時に名前を呼んでくれた方が、ティナが何処に居てもすぐ側に来れるし!』

「ええっ!!名前なんて付けていいんですか!?」

『そうねえ、確かに私達妖精王の間でもずっとお互いの属性名のような感じで呼びあってたわね。それじゃティナに皆へ名前を授けて頂戴な!』

「ふえぇっ!?ほ、本当にいいんですか!?わ、私なんかが妖精王に名付けるなんて?!」

『勿論!構わないぜ!この事は他の妖精王と話してた事だし』

『そうそう。それに、私達ティナの事気に入ってるし大好きだし、名付けてくれるなら嬉しいわ』

「うーん···今すぐは思い付かないので宿題でもいいでしょうか?」

『ええ、いいわよ』

『ああ!頼むな!』


いきなり妖精王に対し名付けをお願いされるとは思ってもみなかった。

ルィエ伯爵からの講義では加護を与えた妖精と親密な関係性まで成長したら、妖精側から名付けを申し込まれると言っていた。


ティナも決して魔力操作や向上を怠ってはおらず、毎日時間を見付けては妖精王と会話したり、習った事を庭で復習をしていた。

その性格は前世の頃と変わらなかった。


新しい事を覚えるのはとても楽しいし、ワクワクする。

例え難しくても何度かチャレンジして、身に付いた時の感覚が凄く嬉しいから頑張れるのだ。


コンコンコンッ───


「はい」

「お嬢様、夕食の準備が整いました」

「わかったわ。今行きます」


『それじゃあねティナ!また会いに来るわ!』

『またなー』

「はい!また会いに来てください!」


シュルンっと淡い光が消えて部屋はいつも通りの明るさに戻った。


そのまま呼びに来た侍女と一緒に食堂へ向かい、侍女の案内で食堂の定位置に座るよう促されると、直ぐに両親が入ってきた。


「ティナ、待ったかい?」

「いえ、私も今来たところです!」

「そうか。では、食事をしようか」


サミュエルが言うと家族での食事が始まる。

家族のみの食事なので他愛もない会話をしながら食べることが出来る。

母ソフィアは既に妊娠後期に入ってる為お腹も大きくなってきた。


「ソフィアの体調はどうだい?」

「はい、至って良好と産婆と侍医より言われております。胎動も激しく、産婆曰く男の子ではないかと」

「おお!男児が産まれるのだな!ティナ、弟だそうだぞ!」

「うふふっ、お父様。とても楽しみですね!」


貴族となると後継ぎの問題も出てくる。

この世界ではそこまで重要視はされてないとはいえ、一家に男児が生まれるのは嬉しい事に変わり無い。

女児であれば嫁いでしまうのもあり、嫁ぎ先によっては嫁いでしまえば中々会うことも難しくなる。


「ああ、元気に産まれてくる様に願わねばな。その前にティナの誕生パーティーがあるから、その準備は無理の無い範囲で頼むよ?」

「はい、心得ております。乳母も手伝ってくれておりますし、私の優秀な侍女も居ますので」

「念には念をだ。ソフィアに何かあったら私は生きて行けぬ」

「旦那様···」

「お父様!お母様!私もおります!寂しいです!」

「そうだな!ティナも居るから私もソフィアも毎日楽しいよ。下の子が生まれたら一緒にお世話しような?」

「はい!楽しみです!お母様も私の誕生パーティーはほどほどで大丈夫ですから、お体大事にしてくださいね!」

「まあ、ティナ!ありがとう!こんな可愛いティナだもの母様張り切っちゃうわ」

「張り切るのはダメです!無理せず、お祝いはお父様とお母様からだけで十分ですから」


前世では家族に祝って貰うのが一般的だが、この世界は誕生祝いを盛大に行う風習がある。

招待状を自分の関わりのある貴族へ送り、屋敷のホールで豪華な料理を振る舞うのだ。

誕生日である本人も着飾る為、オーダーメイドでドレスを新たに仕立てる。


「あら、ティナ。そんな寂しい事言わないで頂戴な。既に招待状も送付済みですし、返事も続々届いてますよ?」

「そうなのですか?!は、早い···」

「ティナはそう言った事に関しては疎いから可愛いわ」

「だって···自分の誕生日のお祝いを大勢でする事にまだ慣れてないんですもの」

「ふふふっ、ティナもまだ3歳ですから慣れなくていいのよ?少しずつ大きくなって貰えたら母様嬉しいわ」

「そうだね。まだまだティナの成長を一緒に見ていたいからゆっくり大きくおなり」

「はい。いっぱい勉強してお父様お母様のお役に立ちたいです!」

「本当に偉いわね」


誕生日パーティーの話をしつつ、城での事や友達の事を話す内に食事が終わり、食後のデザートとティータイムになり、サミュエルが馬車の中で話した内容について再度切り出した。


「ソフィアにも既に話したが、陛下より第二王子のアラステア殿下直々にティナへ会いたいと進言があったことについて、1週間後の午前になってる。ティナにも話したが子供たちのみのお茶会だ。皆と仲良くしておいで」

「はい!わかりました!」

「お茶会の場所はアラステア殿下の専用庭園にて行うと仰ってたから、当日は私と登城し城の侍女に案内させようと思う」

「承知しました」

「その日の午前の講義は無しでいいと講師方にも伝えてあるから、楽しんでおいで」

「はい!」

「勿論、ティナのお友達にも誕生日パーティーの招待状は送付済みで、返事も返ってきてて皆参加すると連絡あったからね」

「そうなのですね!とっても嬉しい!」



アラステア殿下についてはセオドリックに聞いてた為、お会いしていろいろお話したいと思ってた。

私の誕生日パーティーの件はちょっと恥ずかしいけど、アメリアが来るから女子トークにも花が咲きそうで、今から楽しみ。

ご購読ありがとうございました。

誤字脱字等ありましたら、ご指摘ください。

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