第一講義···───
亀更新に失礼します。
早く文字が打てる、文章力が身に付く、いろいろ欲しいです。
講義室の部屋へ着くや否やクラークがティナへ質問を投げ掛ける。
「ティナ嬢、お隣に座っても宜しいでしょうか?」
「?···ええ、勿論です」
「ありがとう!可愛い貴女の隣で講義を受けれるなんてとても光栄です!」
「ティナ!言った側からクラークと一緒になっては困るよ!」
そう言ってセオドリックはティナの肩に手を乗せ自分の方へ寄せる。
「セオ!別に2人で並ぶわけではないでしょ?クラーク様は私の右側でセオは左側に座ればいいと思うの」
「そうだが、クラークが敢えて隣に座らなくともいいと私は思うが!私達が座る席の向かいにも席を儲けられてるからクラークは是非そちらに座る事を勧めるよ」
前世では例え同性異性関係なく、講義を受ける時に隣になるのは特に問題ではない。
講義室として使う部屋のテーブルは長テーブルに8人掛けれる椅子が用意されている。
確かにこれだけ椅子があるなら私の隣でなくとも受けれる。
「セオドリックには申し訳ないけど、ティナ嬢にも許可を得たからお言葉に甘えて座らせて貰うよ!」
「まあまあ、セオドリック殿下もクラーク様も落ち着いて下さい。クラーク様はこちらの席へ、セオドリック殿下とティナ様はこちらにお願いします」
「うぅ、ルィエ伯爵まで·····わかりました。ではティナ嬢、次回は隣に座らせて下さいね」
子供達の話に入ってきたルィエ伯爵が席の位置を指示し、各々座らせる。
座席の位置は結局セオドリックが言った通りになった。
「それでは講義を始めますが、ミュゲ公爵令嬢には先程名前を申してしまい、大変申し訳ありません。まだ自己紹介もせず」
「いえ!大丈夫ですわ!是非先生も名前でお呼び下さい」
「ありがとうございます。本日臨時講師を承りました、魔法省大臣を勤めておりますルィエにございます。お父上には日頃より大変お世話になっております。ご令嬢でありますティナ様にも講義出来るのをとても楽しみにしておりました。今日はよろしくお願いいたします」
「はい!よろしくお願いいたします」
「今日は魔法省の取り扱う分野であります妖精の加護について講義させて頂きます」
貴族身分こそティナよりは格下になる伯爵位であるが、魔法省の大臣を勤めている実力者である。
ルィエ伯爵は魔法を使い長テーブルに座るティナ達の真ん中に妖精の属性についてを写し出した。
前世で言うプロジェクターみたいに画面が出てくる。
どういった仕組みか凄く気になるけど、今日は妖精の加護についての講義だからそれはまた次回にしようと思う。
「セオドリック殿下は既にご存知だと思いますが、復習も兼ねてお聞き頂ければと思います」
「ああ、了承した」
「ありがとうございます。続けさせて頂きます。ではこちらをご覧下さい。属性についてご説明致します·····──
◆火属性
◆水属性
◆風属性
◆土属性
◆氷属性
◆光属性
◆闇属性
各属性の妖精いずれかに、この世に生を受けた瞬間に加護を頂ける。
平民であれ皆一つは加護を貰える。
妖精は普段は目に見えず、妖精と人間の関係性が良好であれば姿を見せてくれる。
妖精の姿は多種多様。
人間の様な姿をする妖精や動物等がいる。
姿が見えれば意思の疎通が出来る。
魔法は妖精の加護を元に使用が可能。
妖精の関係性が良好でない場合、魔法の効力は小さくなるが完全に使えない訳ではない。
小さくとも私生活には問題はない。
もし使用出来ない場合は魔法石の使用で生活は可能。
妖精との関係性が良好であれば力の一部を貸してくれ、魔法力が向上する。
騎士であれば攻撃力が上がり。魔法師であれば防衛力·魔術力が向上する。
◆キャトルセゾンの世界の妖精について◆
プラントン王国を始め東西南北の隣国であります国々にも妖精は存在する。
各国々にはそれぞれの気候等に合った妖精が多く居るという傾向にある。
プラントン王国(春の国)
エテ皇国(夏の国)
オトンヌ皇国(秋の国)
イヴェール帝国(冬の国)
中央国(世界樹)
※( )内は通称名
中央国の中心部に世界樹があり、そこに妖精の世界があるとされている。
妖精王の居住地ともされており、人間へ加護を授けてくれる妖精は妖精王の子供とされている。
プラントン王国が春の国と呼ばれるのは気候が一年通して温暖である。
その為妖精の傾向として一番多い属性妖精が風の妖精、二番目が土、三番目が水、それより数は少ないが氷、火、光、闇と続く。
現在国に申請されている情報で、水の妖精王からの加護を授かってるのは第一王子のセオドリック殿下、全妖精王からはミュゲ公爵令嬢のティナ様。
加護の申請は義務となっており、虚偽申請をした場合、国家虚偽罪により厳罰が下され、貴族であれば爵位降格および財産没収、平民であれば財産一部没収もしくは、年収別で減刑もありえる。
加護の虚偽は妖精王、妖精王より生まれし妖精達に対して重罪を犯すと同義である。
妖精の加護が全世界では私達の生活の中で必須であり、いかに私達人間にとって重要かは貴族、平民皆が周知する内容である。
妖精の加護に対し虚偽をした場合、加護自体がどの様な状態に陥るかは未知数。
消滅もしくは妖精王に返上になるかは過去の見聞録を見ても記載されていない為、不明。
······────
「我が国の妖精について、妖精の加護についての説明は以上になります。隣国については次回師団長より行って頂く予定です。何かご質問はございますか?」
ただ単に教材の説明だけでなく実際に映像として見て学べるのは有り難かった。
「とても解りやすい説明ありがとうございます。ルィエ先生のご説明で妖精の加護に妖精王についてもっと知りたいと思いました!」
「ティナ様、ありがとうございます。まだまだこれから学園に入学するまでは先が長いですが、セオドリック殿下とご一緒に勉学なさるとお聞きしましたので、今回の様にまたお会いする機会もございましょう。その際はよろしくお願い致します」
「はい!ありがとうございます!とても楽しみにしてます!」
まだまだ妖精の加護、妖精王については勉強不足な面が多い。
実際に妖精王からはいつでも呼んでいいからねーって言われたが、妖精王をそんな簡単には呼び出してもいいのかととても悩む。
「ルィエ伯爵、今日は急な臨時講師にありがとう。また師団長には追って連絡するが、ティナがこれ程この講義を気に入ったならまたルィエ伯爵にもお願いすると思う」
「有り難きお言葉に存じます。またご連絡頂けたら馳せ参じます。では、本日の講義は以上です」
ルィエ伯爵は一礼し、そのまま退室した。
まだ第一講義を終了しただけなので、昼食の時間まで間がある。
第二講義はティナではなく、セオドリックが主で行う剣術になる。
「ティナ、この後は庭園で休憩も兼ねてお茶はどうかな?次の講義までには時間もあるし、今の時季は色とりどりの花が咲いてて見せたいと思ってたんだけど、どうかな?」
「見たいわ!是非お願いしたい!」
「ふふふっ、喜んでくれて良かった。クラークはこの後どうするんだい?」
「私も是非···と言いたいけど、父上からこの講義が終わったら一度家に戻れと言われてるから帰るよ」
渋々といった感じでクラークも席を立ち、そのまま扉に向かうのかと思ったら、ティナの側へ足を運び跪いてティナの手を持った。
「ティナ嬢、また次もお会いしてもいいかな?一緒に勉学したいんだ」
「クラーク!!」
セオドリックがその光景を側で見ていたのですかさずティナの手を握ったクラークの手を払う。
「クラーク、何度言えば分かるんだ!」
「こんな怒りを露にしたセオドリックを見るのは初めてだな。なに、ティナ嬢と一緒に私ももっと勉学をしたいと思って申し込んでたんだよ、ダメ?」
「気安くティナに触れるのをやめて、尚且つ私も一緒の時に勉学するという事であれば、私も気にはしない」
「ふーん、それじゃ今はそうしようかな!ティナ嬢はどう?」
2人のバチバチした会話に私を巻き込まないでーって思うけど、私が何故か話題の中心な気がするからしょうがないのかしら。
「わ、私も皆と勉強出来るなら楽しそうだからいいわ!」
「ティナ、僕が一緒の時じゃないと絶対ダメだからね!いい?」
「セオも気にしすぎよ、私もお友達になりたいもん!クラーク様も一緒の講義受けましょう!」
「うーん···何かいろいろと勘違いもしてるような気がするけど、ティナが良いならいっか。クラークも私と一緒の時というのをしかと肝に銘じてくれよ!」
「はいはい、わかったよ。じゃあ、また講義の時間帯をご連絡くれよ。よろしくな!」
「また追って連絡するよ。····ボソッ···連絡しないと勝手にティナに近付きそうだからな」
何だかんだセオドリックとクラークは仲良しみたい。
私もその内気さくにお喋りとか出来たらいいなーって思う。
クラークは約束を取り付け講義室を後にした。
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