表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/43

scene 9 美少年に恋したことありますか?

 僕は歩幅を狭めてゆっくり歩いていた。

 小柄な春日くんに合わせるためだ。妹と歩くときはこんな感じだから慣れている。

 廊下には気まずい沈黙が下りていた。


「ごめん! ほんとうにごめんな!」

 僕は彼を美少女と間違えてしまったのだ。

「別にいいよ。慣れてるし」

「あんまり可愛いんで驚いちゃったんだ」

 僕はこういうセリフも吐けるのだった。


「可愛いとか言うな」

「ところでさ……」

 ごくん、と僕は喉を鳴らした。


「お姉さんか妹さんいますか?」

「それもよく言われる。キミ、ほんとうに反省してる?」


「僕、美人が好き」

「嫌いな人はいないでしょ。ちなみにボクは一人っ子」


「お母さんは何歳ですか」

「人妻だよ、当然だけど」

 春日くんは僕を見上げて睨んできた。


「ほんと、そろそろぶっとばすよ? ボクは空手初段なんだ」

 桜色の唇でそう告げられる。

 そのとき太腿を蹴られた。


「どこ見てんの? そんなんだから歩くセクハラとか言われるんだよ!」

「うん……。僕、自分があんまりエロすぎるんで、たまに死にたくなるんだ……」


 もう一発、蹴りが太腿にヒットした。

「死にたくなるなんて、気軽に言うな!」

「ご、ごめんなさい」

 春日くんの本気の怒声に、僕はたじろいでしまった。


 ふん、と春日くんは大股で歩き去って行ってしまう。


 僕は彼の背中を見送りながら、なんだか胸のなかに淡い想いが残っているのを感じていた。

 僕、そっちのケもあるのかなあ。

 ドラゴンは「それもまたよし」と答えたような答えなかったような感じだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ