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新エジプト神話  作者: 黒紫
4/14

第四話

---<第四話>-----------------------------------------------------

女の子は美術館に入る。展示品の幾つかからオーラのようなものが出ているのが見える。

女の子:「トト、物にも魂が宿るってホントなんですね」

トト :「はい。宿っている魂のカケラに引かれて、物を買ったりする人もいます」

女の子:「なら切らないほうがいいですね・・・」

トト :「残念ですが、私もそう思いますわ」


女の子は諦めて外へ出る。今度は、アパートの部屋の中で掃除機をかけている女の人。

おなかの辺りから膜のようなものが出ている。

女の子:「トト、女の人の おなかから何か出てるんだけど、もしかして・・・」

トト :「おめでたですわ」

   :「再び『生』を許された魂が新しい体に入る時、その全てが納まる事は稀なんです」

   :「ですので、切っても構いませんわ」

女の子がハサミで魂のカケラを切り取ると、すぐにカケラはハサミに吸収された。

女の子:「やっと1つですね」

トト :「はい。順調ですわ」

女の子は、カケラを妊婦から集める事にした。女の子には、何故か これが一番探し易いと思えた。


・・・11時40分頃・・・

女の子がカケラを切って吸収させている時、目の前にトトが現れる。

トト :「恐れ入りますが、私達と一緒に行く事、あなたから直接ファラオに話して頂けませんか?」

女の子:「分かりました」

トトと女の子は船に向かう。

トト :「私達がカケラ集めをしている間、ファラオは集めた魂のカケラの声を聞いています」

   :「例え意思は無くとも、『想い』は残るのです」


・・・船の中・・・

トト :「この階段を下りて、真っ直ぐ進んだ突き当りの部屋です」

女の子は階段を下りて真っ直ぐ進む。左右には合計6つの部屋があり、正面にアンクの装飾が施された扉がある。

女の子が扉に触れると、扉は透明になり消える。


部屋の真ん中には石棺のような長方形の大きな入れ物があり、中には魂のカケラが詰まっている。

部屋はカケラが出す光だけで照らされている。

入れ物から1メートル程離れた所にある 椅子にファラオが目を閉じて座っていた。

ファラオの目の前には、魂のカケラが1つ浮かんでいる。


女の子が近付くと、ファラオは目を開けて立ち、こちらを向く。

女の子 :「私、皆さんと一緒に行こうと思います」

ファラオ:「ありがとうございます。これで私の役目が果たせます」

ファラオは深々と頭を下げた。


女の子 :「魂のカケラからは、どんな声が聞こえるのですか?」

ファラオ:「この世の様々な問題を私に問いかけてきます」

    :「私は彼らの『想い』を鎮めるため、いつも答えを探しています」

    :「私はこれを『卵が先か鶏が先か』という問題だと捉えるなら、答えは3通りあると考えています」

    :「1つ目は、『卵』か『鶏』のどちらか一方に決めて答える事」

    :「2つ目は、『同時』又は『どちらでもない』と答える事」

    :「3つ目は、聞かれる度に『卵』か『鶏』を任意に答え続けるか、何も答えない事」

    :「トトは何も答えてはくれませんでしたが、私は自分の考えは正しいと信じて続けています」

    :「おっと、もう昼食の時間ですね。では、参りましょう」


昼食後、女の子は再び下界に降りてカケラ集めをする。


・・・午後5時55分・・・

女の子の頭の中にトトの声が聞こえてくる。

「そろそろ船に戻りませんか?」

女の子が船に戻ると、3人が入り口で待っていた。

トト :「お帰りなさい」

女の子:「・・・ただいま」

全員でカケラの保管室へ。中に入り、入れ物の周りに4人が立つ(食事の時と同じ席順で)。(椅子は部屋の隅に移動している)

全員のアンクから魂のカケラが出てきて、10秒ほど部屋中を漂った後、入れ物の中に納まった。

トト :「皆さん、今日もお疲れ様でした」「それでは、食事に致しましょう」


・・・・・


食事の後、女の子はトトに船の中を案内される。

ファラオの部屋、図書室や遊技場、音楽を聴く部屋などなど。

そして、トト、ホルス、アヌビスの部屋を順に回って自分の部屋。

4人の部屋の扉には、色違いでアンクの装飾があり、手を触れると消え、手をかざすと現れる。

部屋の明かりは、扉近くに浮かんでいるビー玉位の光の玉に触れる事で明るさを変えられる。


トトから説明を受けた後、女の子が1人で部屋の中の物を手に取ったり触ったりしていると、(午後8時)

トト :「一緒にお風呂に入りませんか?」「勿論、皆さん ご一緒ですわ」

女の子:「はい、いいですよ」

トトと一緒に風呂場へ。


トトと女の子は脱衣場で服を脱いで中へ。ホルスとアヌビスは先に浴槽に浸かっていた。

床には石の板が張られ、天井は見えないが、明かりとして光の玉が浮いている。

浴槽は直径3メートル程の石で出来た円形。淵の高さは床から10センチで、階段状になっており、

浴槽の底の真ん中に直径15センチの赤い玉が埋め込まれている。

女の子:「皆さん、いつも一緒に入ってるんですか?」

ホルス:「まあな」

女の子:「この、真ん中の赤い玉は何ですか?」

ホルス:「これで風呂を温めている。触っても火傷する程じゃない」

そして、女の子は皆と雑談。


・・・5分後・・・


女の子 :「トト、私の記憶って戻るんでしょうか?」「どうしてもバステトが言ってた事が気になるんです」

トト  :「ごめんなさい」「今は、私からは何も申せません」

?   :「では、私がお話ししましょうか?」

全員が声のする方へ向く。浴槽から1メートル位(入り口方向)の所に猫が居る。

バステト:「私の名はバステト」「まずは皆様、私の非礼をお許し下さい」

    :「あなたが家に戻られないので、こちらへ参りました」

    :「私は4000年余り、転生を繰り返す あなたを追って、いつもあなたの傍におりました」

    :「ですが、あなたの記憶が戻った事はありません」

    :「あなたがそれを望まないのか、別の意思が働いているのか、私には分かりませんが、私は何時までも待つ所存です」

    :「それに、あなたが皆様と会えたのも偶然ではないでしょう」

    :「ですから、これからの事はトトにお願いします」

    :「近いうちに また会えるといいですね」

    :「皆様、失礼致します」

そう言い終わるとバステトは一瞬で消えた。女の子は黙ってる。


トト  :「私達とカケラ集めを続けますか?」

女の子 :「・・・」「はい。勿論です」

トト  :「これからも期待してますわ」

女の子 :「ところで、さっきバステトが一瞬で消えたけど・・」

トト  :「この世界でテレポーテーションが使えるのは私とバステトだけです」

    :「理由は・・・」「その時がくれば お話し致しますわ」


・・・・・


女の子は風呂から上がり、皆と部屋へ戻る。

トト:「おやすみなさい」

女の子は部屋の前で挨拶して中へ入る。少し考え事をした後、眠りについた。


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