第四話
---<第四話>-----------------------------------------------------
女の子は美術館に入る。展示品の幾つかからオーラのようなものが出ているのが見える。
女の子:「トト、物にも魂が宿るってホントなんですね」
トト :「はい。宿っている魂のカケラに引かれて、物を買ったりする人もいます」
女の子:「なら切らないほうがいいですね・・・」
トト :「残念ですが、私もそう思いますわ」
女の子は諦めて外へ出る。今度は、アパートの部屋の中で掃除機をかけている女の人。
おなかの辺りから膜のようなものが出ている。
女の子:「トト、女の人の おなかから何か出てるんだけど、もしかして・・・」
トト :「おめでたですわ」
:「再び『生』を許された魂が新しい体に入る時、その全てが納まる事は稀なんです」
:「ですので、切っても構いませんわ」
女の子がハサミで魂のカケラを切り取ると、すぐにカケラはハサミに吸収された。
女の子:「やっと1つですね」
トト :「はい。順調ですわ」
女の子は、カケラを妊婦から集める事にした。女の子には、何故か これが一番探し易いと思えた。
・・・11時40分頃・・・
女の子がカケラを切って吸収させている時、目の前にトトが現れる。
トト :「恐れ入りますが、私達と一緒に行く事、あなたから直接ファラオに話して頂けませんか?」
女の子:「分かりました」
トトと女の子は船に向かう。
トト :「私達がカケラ集めをしている間、ファラオは集めた魂のカケラの声を聞いています」
:「例え意思は無くとも、『想い』は残るのです」
・・・船の中・・・
トト :「この階段を下りて、真っ直ぐ進んだ突き当りの部屋です」
女の子は階段を下りて真っ直ぐ進む。左右には合計6つの部屋があり、正面にアンクの装飾が施された扉がある。
女の子が扉に触れると、扉は透明になり消える。
部屋の真ん中には石棺のような長方形の大きな入れ物があり、中には魂のカケラが詰まっている。
部屋はカケラが出す光だけで照らされている。
入れ物から1メートル程離れた所にある 椅子にファラオが目を閉じて座っていた。
ファラオの目の前には、魂のカケラが1つ浮かんでいる。
女の子が近付くと、ファラオは目を開けて立ち、こちらを向く。
女の子 :「私、皆さんと一緒に行こうと思います」
ファラオ:「ありがとうございます。これで私の役目が果たせます」
ファラオは深々と頭を下げた。
女の子 :「魂のカケラからは、どんな声が聞こえるのですか?」
ファラオ:「この世の様々な問題を私に問いかけてきます」
:「私は彼らの『想い』を鎮めるため、いつも答えを探しています」
:「私はこれを『卵が先か鶏が先か』という問題だと捉えるなら、答えは3通りあると考えています」
:「1つ目は、『卵』か『鶏』のどちらか一方に決めて答える事」
:「2つ目は、『同時』又は『どちらでもない』と答える事」
:「3つ目は、聞かれる度に『卵』か『鶏』を任意に答え続けるか、何も答えない事」
:「トトは何も答えてはくれませんでしたが、私は自分の考えは正しいと信じて続けています」
:「おっと、もう昼食の時間ですね。では、参りましょう」
昼食後、女の子は再び下界に降りてカケラ集めをする。
・・・午後5時55分・・・
女の子の頭の中にトトの声が聞こえてくる。
「そろそろ船に戻りませんか?」
女の子が船に戻ると、3人が入り口で待っていた。
トト :「お帰りなさい」
女の子:「・・・ただいま」
全員でカケラの保管室へ。中に入り、入れ物の周りに4人が立つ(食事の時と同じ席順で)。(椅子は部屋の隅に移動している)
全員のアンクから魂のカケラが出てきて、10秒ほど部屋中を漂った後、入れ物の中に納まった。
トト :「皆さん、今日もお疲れ様でした」「それでは、食事に致しましょう」
・・・・・
食事の後、女の子はトトに船の中を案内される。
ファラオの部屋、図書室や遊技場、音楽を聴く部屋などなど。
そして、トト、ホルス、アヌビスの部屋を順に回って自分の部屋。
4人の部屋の扉には、色違いでアンクの装飾があり、手を触れると消え、手をかざすと現れる。
部屋の明かりは、扉近くに浮かんでいるビー玉位の光の玉に触れる事で明るさを変えられる。
トトから説明を受けた後、女の子が1人で部屋の中の物を手に取ったり触ったりしていると、(午後8時)
トト :「一緒にお風呂に入りませんか?」「勿論、皆さん ご一緒ですわ」
女の子:「はい、いいですよ」
トトと一緒に風呂場へ。
トトと女の子は脱衣場で服を脱いで中へ。ホルスとアヌビスは先に浴槽に浸かっていた。
床には石の板が張られ、天井は見えないが、明かりとして光の玉が浮いている。
浴槽は直径3メートル程の石で出来た円形。淵の高さは床から10センチで、階段状になっており、
浴槽の底の真ん中に直径15センチの赤い玉が埋め込まれている。
女の子:「皆さん、いつも一緒に入ってるんですか?」
ホルス:「まあな」
女の子:「この、真ん中の赤い玉は何ですか?」
ホルス:「これで風呂を温めている。触っても火傷する程じゃない」
そして、女の子は皆と雑談。
・・・5分後・・・
女の子 :「トト、私の記憶って戻るんでしょうか?」「どうしてもバステトが言ってた事が気になるんです」
トト :「ごめんなさい」「今は、私からは何も申せません」
? :「では、私がお話ししましょうか?」
全員が声のする方へ向く。浴槽から1メートル位(入り口方向)の所に猫が居る。
バステト:「私の名はバステト」「まずは皆様、私の非礼をお許し下さい」
:「あなたが家に戻られないので、こちらへ参りました」
:「私は4000年余り、転生を繰り返す あなたを追って、いつもあなたの傍におりました」
:「ですが、あなたの記憶が戻った事はありません」
:「あなたがそれを望まないのか、別の意思が働いているのか、私には分かりませんが、私は何時までも待つ所存です」
:「それに、あなたが皆様と会えたのも偶然ではないでしょう」
:「ですから、これからの事はトトにお願いします」
:「近いうちに また会えるといいですね」
:「皆様、失礼致します」
そう言い終わるとバステトは一瞬で消えた。女の子は黙ってる。
トト :「私達とカケラ集めを続けますか?」
女の子 :「・・・」「はい。勿論です」
トト :「これからも期待してますわ」
女の子 :「ところで、さっきバステトが一瞬で消えたけど・・」
トト :「この世界でテレポーテーションが使えるのは私とバステトだけです」
:「理由は・・・」「その時がくれば お話し致しますわ」
・・・・・
女の子は風呂から上がり、皆と部屋へ戻る。
トト:「おやすみなさい」
女の子は部屋の前で挨拶して中へ入る。少し考え事をした後、眠りについた。