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夢日記をつけていた結果、身に起きていた大事件に気がついた話

作者: TOYA

 夢日記……ネットで見つけて、興味本位で私もやってみようと思い始めた。


 日記をつけるのは面倒だという事で、スマホのメモ帳機能を駆使し、起きたらスマホを取り打ち込むようにしていた。


 最初の頃は起きた時には断片的にしか覚えておらず、


 ・小学校の時の友達A君が自転車で全力ダッシュした。

 ・実家を目指した。

 ・車が3台事故ってた。


 みたいに思い出した景色やワードを箇条書きするのが限界だった。

 が、それも続けるうちに慣れてくるのか、次第に夢の内容を起きた後でもしっかり覚えていて、


 昔の友人4人で飲み会に行った。暫く飲んでいると、何故か別れた恋人が参加し、終始気まずい気分になる。

 飲み会が終わった後、何であいつが来たんだ? と友人に問い詰めるが知らないの一点張り。

 それより、鍵を盗られてないか? 飲み物に変な物を入れられてないかと友人を心配した。

 結局、来た理由が分からず目が覚めた。


 といった具合に、その時の自身の感情や場面がより鮮明に描けるようになっていた。

 ちなみに、夢の内容の補足だが……私には別れた元恋人がいる。

 その子は俗にいうメンヘラだった。

 仕事で遅くなると激怒し、食事に薬を混ぜたり……同棲をしている訳でもないのに、勝手に合鍵を作って家に入って居たり……私の家でリストカットをし、カーペットを血まみれにしたり……おかしな行動は数え切れない。

 それに、耐えきれなくなった私はその恋人に別れを告げ、黙って引っ越しして逃げた……という過去がある。

 そんな奴が飲み会に現れたもんだから夢の中ではかなり驚いた。起きた時には汗でびっしょりだったもんな……。


 だが、そんな夢がありつつも、だんだんと楽しくなってきたのが正直な気持ちだ。

 何故なら、具体的に記録している事で、たまに見返すとその夢の内容を鮮明に思い出す事ができたからだ。

 楽しい夢の内容を思い出し、後でもう一度楽しんだりするようになった。


 だが、ある日大きな仕事を与えられ、そこからかなり忙しい日々が続いた。

 しかし、夢日記を描く事だけは習慣化しており、やめる事は無かった。夢日記を見返して楽しむという事はしばらく出来なかったが……。


 そんな日々が続いて2年の月日が経っていた。


 とある日曜日……仕事も落ち着き始めた頃で、久々に何もない休みの日が出来た。


 いつも通りスマホでネットサーフィンをしている時に、私は久しぶりに夢日記を見返すか、と思いメモ帳を開いた。


「あー思い出すな~こんな夢見たな~」


 そんな具合で何年も前に見た夢さえも、文章で見る事で鮮明に思い出す事ができて、懐かしい気持ちを楽しんでいた。


 だが……


「あれ、こんな夢見たっけ……」


 そんな事を思い出したのは約1年半程前の内容からだ。

 最初に違和感があった内容は……


 ・金髪の女性と抱き合う。

 ・とても幸せな気持ちになる。

 ・私は反省する。


 この3つの箇条書きだった。

 自分でメモをしたはずなのに、まったく景色も想像つかないし、そもそも何故箇条書きに戻ったんだ? という疑問が生まれつつも、きっと疲れていたんだなとあまり気にはしなかった。

 (気にならなかったのは、次の内容からは通常通りに戻っていたから……と言うものあるのだが……)


「またあるな……」


 いくつかの思い出せる夢のメモを見ている内に、またまったく思い出せない箇条書きが出てきた。


 ・抱き合った女性と結婚する。

 ・とても幸せな気持ちになる。

 ・私は反省する。


「何だよこれ……自分で書いたんだろうけど、なんか気持ち悪いな……」


 そんな感じで、そこからは普通の夢のメモ、思い出せない箇条書きのメモが出てくるようになってきた。


 箇条書きの内容は全て同じような形で……


 ・結婚した女性と幸せな家庭を築く。

 ・とても幸せな気持ちになる。

 ・私は反省する。


 ・子供を授かる。

 ・とても幸せな気持ちになる。

 ・私は反省する。


 ・二人目の子供を授かる。

 ・とても幸せな気持ちになる。

 ・私は反省する。


 と言った具合で最初の1行目だけ変化していき、2,3行目は同じ事に少し寒気がした。


「いやいや……こんなに書いてたら少しくらい思い出せるだろ普通……なんか怖いな……」


 そんな事を思っている内に、私はある事に気がついた。


「この箇条書き……全部、土曜日だな……」


 私は夢日記にはしっかりと日付を入れている。

 その箇条書きにも日付が入っているのだが、それが全部、土曜日だったのだ。

 私はそれを見てはっとした。


「金曜日が飲み会で、帰って速攻寝ちまう翌日の話か……だから記憶にないんだな」


 花金……今は死語だろうけど、うちの会社はそれを大事にしており、金曜日だけ早く仕事を切り上げれる代わりに必ず飲み会に行かなければならなかったのだ。結果的に帰りは遅くなるが……。


 そんな事を思いながら夢日記を見続けていたが……また、一つの違和感が私を襲った。


「だいぶ遡ってきたけど……昨日にも箇条書きがあるな……一昨日は飲み会は無かったぞ……夢を見た覚えもない……!」


 私は昨日の朝の事を出来るだけ思い出した。


「普段通り目が覚め、今日は夢を見なかったな……と思いながらスマホで時間を確認したっけ。特に何の違和感も無かったはずだ……というか私はこれをいつ書いたんだ?」


 疑問が疑問を呼ぶ形となり、私は自分の行動に異常があるのではないかと心配になった。


 そこで私は、寝ている自分を録画して見ようと考えたのだ。

 このおかしな箇条書きをしてしまうのは金曜日の夜……その日に私は録画をする事にした。


 そして金曜日の夜がやってきた。

 不安と期待を胸に買ってきたカメラを自分の布団に向け、ノートパソコンを起動し録画開始……普段通りに眠りについた。


・・・


 翌朝、変わらずいつも通りに目が覚めた。


「今日も夢は見なかったな……」


 そんな事を思いながらふとカメラを見た。


「え……壊れてる……!」


 カメラを見ると、レンズにドライバーが突き刺さっており、完全に壊れていたのだ。

 そのほかの部分も入念にドライバーで突かれていたようでカメラの破片が周囲に飛び散っていた。


「いや、これで起きない私もどうなんだ……私は夢遊病なのか?」


 そんな事を思いながらも夢日記が気になりスマホを見た。

 やはりそこには見慣れない箇条書きがあったが内容は大きく変わっていた。


 ・裏切った許さない許さないゆるさないユルサナイゆるさない許さない


「ひっ……」


 私は恐怖でスマホを投げた。

 と同時に、カメラの内容を絶対に見なければ……と思った。


 幸いノートパソコンのディスクでデータは保存している為、カメラが壊される直前までの映像は見る事が出来るはずだ。


 恐る恐る保存された映像を再生した。


 すると、そこには金髪ロングの女性が部屋に侵入し、私に抱きついたりスマホを弄る姿が映し出されていた……。


「は……? なんだこいつ……私の家にどうやって……!」


 あまりにも現実味がない映像を見て、私の頭は真っ白になっていた。


 そして……

 カメラに気がついた彼女は突然鬼の形相となり、持っていたドライバーで思いっきりカメラを突き刺したところで映像は終わった。その際にハッキリと見えた顔を見て、私に戦慄が走った。


「なんで……なんで〇〇(元恋人)が俺の家に……」


 私は再生が終わった後もあまりの出来事に動く事ができなかったが、すぐに警察に通報、映像が証拠となり不法侵入で元恋人は逮捕となった。


 警察の話によるとあいつが裏切った! 許さない! いなくなってもまた見つける!

 など叫んで話にならない模様……。


 それを聞いて私は会社には転勤希望を出し引っ越しを決意。


 夢日記をつけていなければ侵入に気がつく事ができず、今もずっとあんな事をされていただろうか……。

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