第4話 三頭の魔獣と天雷の碧姫
お読みいただきありがとうございます。
ついに、望んでた展開の一つです!!
女の子!やばいです。
では始まります。
―猪型モンスターを討伐し…魔法で村に持ち帰る俺―
俺:「ジョセフさーん?いますかー?」
家に人気が、感じられない…
昨日ジョセフさんに聞いた仲の良い、バース夫妻に聞いて回る。
バース:「おぉ!あんたがあきらさんか?」
俺を確認すると慌てて駆け寄る。
バース:「よかった!…あんたがいないもんだから…」
「なるほど…イノムーを狩りに森に行ってたのか」
俺が持っている魔獣を見て理解する。
バース:「ジョセフさん、あんたを探しにいったみたいだ」
俺:「えっ?…どこにいったか分かりますか?」
見ず知らずの俺を探しにいくとは…
流石に予想出来なかったな。
失敗だったかもしれない…悔やまれる。
イリーナ:「たぶん、丘の方にいったんじゃないかねー?」
バースさんの奥さんらしき人が、教えてくれる。
イリーナ:「心配だわ…昨日近くにウルフルがいたって聞いたし…」
俺:「俺が倒したやつの仲間か…急いで行ってきます!」
嫌な予感がする。当たらないでくれよ。
丘は森の反対側にあるらしいので、急いで向かう!
――――――――――――――――
―丘に着いた―
丘は静か過ぎる程に、静かだった。
しばらく歩いていると、地面に血が付いている?
嫌な予感が的中してしまったようだ。
俺:「くっそ…」
俺が村を出るとき、誰かに伝えておけば。
後悔が、頭のなかを埋め尽くす。
その時、(ウォオォォーン)と複数の鳴き声が聴こえてきた。
近い…いつでも戦闘できるようにナタを取り出す。
俺:「風よ、我が願いにより、集え…ウィンド」
「大地よ、我が願いにより、共にあれ…グラインドエッジ」
猪を倒した時と同じ魔法を唱える。
木を背にしながら、ゆっくりだが…急ぎながら辺りを見回す。
俺:「いた…!!」
ジョセフさんがウルフルの群れに取り囲まれている。
今にもジョセフさんに襲いかかりそうだ。
数は3匹か…意外と少ないな。
行けるか?…だが一応心配だ…あれを試してみるか!
その辺の石を掴む俺。
俺:「炎よ我が願いにより高まれホット」
「アッツ!」
石が異常なほど熱くなる。
俺:「コレを投げる。」
同時にウルフルに向かって駆け出す。
俺:「ジョセフさん!逃げろぉぉ!」
今までより、大きな声をあげながらナタを振りかざす。
石が(ビュンッ)と飛んでいく。
ウルフルの頭に(カーン)と当たる!
ウルフルA:(キュー…キャイン)
驚いて一匹のウルフルが走り去っていく。
ジョセフさんは、怯えて動かない。
ナタを振るい残り2匹のうち、1匹を仕留める。
ウルフルB:(キャイン…キャオーン)
俺:「ちっ…早く逃げろって言ってるだろぉ!」
ジョセフさんに気を取られた一瞬。
もう1匹のウルフルが俺に襲いかかる。
ウルフルC:(ウォオォーン)
怒号のような声が響きわたる。
俺:「うぉ!」
バランスを崩し、転がる俺。
ジョセフ:「ごめんなぁ!ごめんなぁ!」
驚いて…怯えながら、立ち上がり走り去っていく!
俺:「よし!」
あとは、コイツをどうにかしないとな!
ウルフルを倒し、ナタでウルフルを押さえつける。
一瞬でも、気を抜くと逆に押し倒される。
どうしよう…そうだ!
俺:「炎よ我が願いにより高まれ!ホット」
ナタがホットの魔法により高温になる。
ウルフルC:(ギャァオォォオン)
熱で、ウルフルが悲鳴を上げてもがく。
俺:「アッツ!」
しまった…嘘だろ
刃も高温になり、拘束を解いてしまう。
逆に襲いかかるウルフル!
ウルフルC:(ウルルルフゥゥ)
吠えながら爪で引き裂く。
俺:「アブね~」
間一髪かわすが、ベルトポーチが破れる。
そんな事、気にしてる間もなく…2撃目、3撃目がくる。
ポロッと落ちる。…卵。
俺:「あっ!」
卵が地面に落ち…ヒビが入る。
すかさず拾い上げる。
ウルフルC:(ウォンウォンウォン)
最初に逃げたウルフルが仲間を連れて戻ってくる。
俺:「マジか…今度は9匹ぐらいいるなー」
ウルフルの爪と牙をかわしながら考える。
俺:「これは…詰んだかもな…」
諦めにも似た感情が頭をよぎる。
辺りをウルフルに取り囲まれる。
ナタを持ち、周囲に円のように2回、3回と振る。
嘲笑うかのように、回りのウルフルが吠え続ける!
ウルフル達:(ヴォーン)(フシュルル~)(ガッフガッフ)
ウルフルが、死角から飛びかかってくる。
ウルフルC:(ウォーォォン!)
俺は反射的にナタを振り回す。
一匹の首をスパッと切り裂き、動きが止まり仕留める。
その瞬間、ウルフルが一斉に雄叫びを上げる!
ウルフル達:(ウォォォォォオオンンン…♪)
それは、リズムよく鳴り響き歌のように聞こえた。
黒いモヤのような物が現れ、ウルフル達を包み込む。
ドでかい、三匹の三頭のケルベロスのような魔物になった!
合体魔獣達:(ギャアオォオオ!!!)
叫び声が重なりながら…9つの口が迫る!!!
俺:「嘘だろ…」
これは、終わった…そう思った
諦めかけたその時、絶対絶命のピンチで!
卵から黒いモヤのような闇が噴出する!
闇に驚き、合体魔獣達が怯んで、後退っていく。
黒いモヤが俺を包んでいく。
キーンと音がしながら、卵が俺に語りかけてくる。
卵:「マイマスター…あなたは今何を望みますか?」
――――――――――――
卵:「時間を止めました…マイマスター…もう一度聞きます」
「あなたは、何を望みますか?」
俺:「何を望むかって?」
「そんなの決まってる!この状況を打開する何かだ!」
俺は死にたくない!
卵:「分かりました…あなたの意識を検索します…」
「一件該当しました、天雷の碧姫…」
俺:「いっ!…」驚く俺。
無理もない、昔…前の世界でプレイしていたネトゲ。
いくつもの死線をかいくぐり、リアルを全て捧げた俺の黒歴史。
恥ずかしいロールプレイにより、中二病全開で作ったアバター。
俺:「…他のはないのか?」
駄目もとで確認してみる。
卵:「ありません!他の内容では読者が満足しないでしょう」
無情に、バッサリと断言する卵
俺:「えっ?読者ってなに?」
卵:「この空間も、封印されたあなたの力を使っております」
俺の質問を無視して、続ける卵。
俺:「その為、時間制限付きのフィールドです」
「早く、決めていただいたほうが…よろしいかと」
俺を急かすように、回答を求める。
俺:「イヤァァァァ」
俺は叫ぶが、分かってる!…これしか方法がないと…
卵:「残り時間、5分です」
「ちなみに、時間解除した場合、死亡率100%です」
俺:「分かった…分かった!早くしてくれ!」
もう…ある意味死んでるよ!
卵:「では、マイマスター…召喚方法を頭に直接送ります…」
俺:「え…まじ…?」
頭に来た情報について、卵を見るが反応は返ってこない。
卵:「出来限り強くイメージして…名前を呼んでください」
俺心:分かったよ…やりますよ!
俺:「現れよ…虚空の彼方!電脳を越えその先へ」
「この世界に顕現せよ!天雷の…碧姫!」
「ヴァーリ=クロエルト!!」
辺りが、闇に覆われ…碧色の雷が、鳴り響く!!
卵:「時が動きはじめます。」
――――――――――――
合体魔獣:(ギャアオォオオ)
叫び声が重なりながら…再度9つの口が迫ってくる!
一瞬…碧色の稲妻により閃光が走った。
ヴァーリ:「スキル:碧の一閃」
合体魔獣A:(ガッォ……)
三匹の合体魔獣の内、一体の咆哮が止まる。
ドスンドスンドスンと、頭が地に落ちる。
俺は瞬く間すぎて、思考が追い付かない。
ヴァーリ:「続いて…スキル:碧の扇閃」
扇状に、斬撃を放ち…合体魔獣達が縦割りされる!
(ドスンドスン)と斬られて倒れるケルベロスの様な魔獣。
俺:「うわ?すげぇな…」
戸惑いと、助かった安心感で力が抜ける。
ヴァーリ:「終わりました…マスター?でよろしいですか?」
端正な顔立ちの銀髪女聖騎士が俺に問いかける。
俺:「あぁ…多分そう…」
この子が間違いないのは、分かっている…
俺がMMOで作ったアバターそのものなのだから…
続く
――――――――――――――――
ルビー:「いやーついに来たわね!」
マテリアル:「あの~卵の事~?」
ルビー:「そう!悪魔の特別製で持ち主の欲望を吸う卵なの!」
「ただ!…生まれる前に割れたのが気になるわね。」
マテリアル:「そうなの~?」
ルビー:「そうね…取説には割らないでくださいとあるわね」
「まぁなんとかなるでしょ!」
マテリアル:「でも~あのウルフル~強くない~?」
ルビー:「そうね…あいつら単体はその辺の旅人でも倒せるわ!」
「でも!数が集まっただけ強くなる魔獣なのよ!」
「ウルフル→ケルベロンみたいにね!」
「今回は数が少なくて…ラッキーだったわね」
マテリアル:「でも~遭遇してるから~ラッキーじゃないわね~」
ここまで、お読みいただきありがとうございました。
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