第34話 王都バラード
ご覧いただきありがとうございます!
では第34話 始まりです。
遠くの方に建物が見えてきた。
クマ:「あれが王都…」
俺:「かな?…多分」
ヴァーリ:「壁が高いですね」
俺:「高いなぁ…」
俺達は壁を見上げる…元は白い壁だったのだろうか…
薄汚れた灰色の大きい壁に囲まれている。
俺:「ここからだと中の様子は…分からないな」
クマ:「行けば分かるだろ」
壁を見上げながら先を歩く。
クマに続いて俺達は城門へ向かって歩いていく。
すると…(スポン)と前を歩く、クマが消える。
俺:「え?…はぁ!?何が起きた?…クマはどこ行った?」
ヴァーリ:「クマ!」
先に動いて…消えたところまで急ぐ。
直径2m程の大きな穴が空いている。
穴は結構深い…覗き込むと底にクマがいる。
ヴァーリ:「クマ…大丈夫ですか?…うっ!」
中を覗き込むが異臭がして…驚く。
クマ:「なんだ…コレは!」
俺:「とにかく…上がれるか?」
クマ:「問題ない…ふっ!…?」
足がぬかるみに嵌まっているのか…出てこない。
俺:「クマ…捕まれ!」
穴に身を乗り出して…手を伸ばす。
俺心:くさっ!…うっ…キツイ臭いだな…
クマ:「分かった…」
(ガシッ)と手を掴む。
俺:「よし!」
クマを引き上げていく…が途中で止まる。
俺:「クマ…重くない?」
クマ:「オレサマじゃない…何かに足を捕まれている!」
俺:「何かいるのか…?…凄く嫌な予感がする」
(ズン)と振動が穴の底から伝わる。
俺:「おわっ!」
穴に引きずり込む力が更に強くなる。
俺:「ヤバいヤバいヤバい!」
反射的に更に力を込めるが…徐々に俺も引きずり込まれそうになる。
俺:「ヴァーリ!頼む…引っ張ってくれ!」
地面から引きずり込まれるクマを俺が引き…ヴァーリが俺を引っ張る!
クマ:「いててててて…」
俺:「ヴァーリ…ちょっとタンマ!」
「クマ!…足を振りほどけないか?」
クマ:「さっきからやってる!…振りほどけない!」
俺心:どうする!俺!?考えろ!
クマ:「いててて!」
俺:「クマ…ちょっと我慢してろ!」
クマ:「早くしてくれ!」
俺:「ヴァーリ!…穴ごと斬れるか?」
ヴァーリ:「やってみます!」
俺:「じゃあ…やってくれ!!」
ヴァーリ:「はい!」
俺から手を離し…剣を握り構える…
俺:「うおっ!!!」
穴からの引きが、一気に強くなる!
俺:「ぐぅおおお!!」
落ちる寸前で…ギリギリ踏ん張る!
ヴァーリ:「…スキル:碧の一閃…柱!」
剣による斬撃が穴ごと、くり抜く様に…走る!
俺:「いける!…これなら!…うおお!」
先程までの猛烈な引きが無くなり…一気にクマを引き上げる!
クマ:「おわっ!」
勢いよく(ポーン)と宙に浮く。
クマ:「はっ!…」
空中で、回転して(シュタッ)と見事な着地を決める!
俺:「ギリギリセーフだな…はぁはぁ…」
クマ:「スマン…」
ヴァーリ:「ふぅ…」
クマ:「ありがとう…」
(ドン……ドン!)と遠くから振動がこちらに徐々に近づいてくる!
俺:「今度はなんだ!」
振動はすぐ近くで一旦止まる…そして徐々に地面が盛り上がっていく!
(ピギャアアオ!!!)
大きい口?が叫びと共に地面から飛びだし…大きな口だけが見えているが…そのまま止まる。
俺:「デカっ!…口か?」
大きな口?に思わず声が出る。
クマ:「なんだコイツは?」
言いながら…近づいてくる。
魔獣:「…ピギャアァ!」
音に反応したかのように吠える!
正に肉色のような赤黒くグロテスクな口を開けたまま動き始めた。
怪獣といった表現が近い…あまりに大きすぎる生き物…
口を開け地面ごと飲み込んでいく、そして…俺とクマに迫る!
ヴァーリ:「マスター、クマ!危ない!!」
サッと俺とクマを抱えて高くジャンプして離れる!
空中で魔獣の全体…いや一部を確認する…!
それは大きなミミズのような魔獣…ピンク色の大きい…大きすぎる。
俺:「コイツはもしかして…」
考えが浮かぶ。
俺:「ヴァーリ…このまま離れながら王都に行くぞ…」
ヴァーリ:「はい!」
クマ:「あいつを放っておくのか?」
俺:「あぁ…あれは多分…」
暴れまわるミミズ?を放置して先を急ぐ。
――――――――――
―王都内城門付近―
外ではまだ(ドーンドーン)と振動がしている。
警備兵:「バカモノ!…王都の守り神様に何をしたんだ!」
俺:「すみません…」
俺心:やっぱりな…王都の近くで放置されてるのも納得だな。
クマ:「オレサマは食われそうになったんだ!」
警備兵:「守り神様が?獣人を?…ありえん!」
「…そんな事は絶対にない!…ありえない!」
ヴァーリ:「でも本当に!」
警備兵:「うるさい!王都を守る…ありがたい神様なんだぞ!」
「来たばかりの旅人を!…信用するわけないだろう!」
俺:「まぁ…ヴァーリ、クマ…落ち着いて」
「それで…俺達はどうしたらよいですか?」
警備兵:「ふーむ…守り神様に危害を加えたのか?」
俺:「まぁ…はい…多分?」
警備兵:「どう言うことだ?」
俺は守り神?との経緯を説明する。
警備兵:「守り神様を斬ったぁ?」
俺:「多分…そうですね」
警備兵:「うーん…」
考えている内に、外の振動が止まった。
警備兵:「とりあえず、振動も止まったし…保留としておく」
「念のため確認しておく!…身分証を!」
保留となり、身分証を見せ…王都内に入る!
俺:「長かったぁ!…やっと到着だー!」
クマ:「何を大げさな…」
俺:「いいんだよ!…一つの節目なんだから!」
俺心:そう、節目だ…異世界にきて約一週間以上たったかな?
色々あって忘れてたけど…俺は本来の目的を忘れては…いない。
俺は決意を新たにグッと拳を握る!
俺:「さて…まずはギルドに行かないとな…」
ヴァーリ:「王都にもギルドがあるのですか?」
俺:「あ…そうか、俺しか聞いてないもんな…」
出発の時…1人ギルドに戻った記憶が思い出される。
俺:「スマン…えっと、メアリーさんから支部があるって聞いたんだ」
クマ:「支部?…そんなものがあるのか…」
俺:「あぁ、支部名は確か…ギルドタイタンズハンド…だったかな」
ヴァーリ:「そのままですね…」
俺:「あぁ…それっぽい名前だろう?」
ヴァーリ:「はい!それっぽいです!」
クマ:「お前らは何を行ってるんだか分からん…」
俺:「まぁ、いいじゃないか…とにかく、そこからだな!」
クマ:「分かった…なら行くか」
ヴァーリ:「行きましょう!」
俺達はギルドを探しながら王都を探索する…
――――――――――
―ギルドタイタンズハンド前―
俺:「ココか?…えぇ?本当に?」
ヴァーリ:「王都の人が言うにはココですね…」
クマ:「まぁいい…とりあえず入るぞ!」
辺りを見回すが…それらしい建物はココだけだ。
王都の中心部から少し離れている…
俺達は扉を開けて中に入る。
店員A:「いらっしゃいませーっ!」
続いて複数の店員が同じように掛け声を上げる。
俺:「おわっ!…どうも」
予想はしていたが…少しビックリした。
店員A:「何名でご来店ですか?」
俺:「3名です」
店員A:「かしこまりましたぁーっ!」
俺心:うるさっ!…何だこのテンション!
クマ:「もう少し静かにしてくれ…」
耳を両手で押さえ言う。
俺心:可愛いな…
クマに癒されるが…店員の元気な声で引き戻される。
店員A:「すみません!…こういうお店なものっ…で!」
「こちらです…ついてきてくださいっ!」
俺達は店員についていく。
続く
――――――――――
マテリアル:「王都に着いた~♪」
ルビー:「着いた~♪じゃないわよ!…何あの大きい魔獣は?」
マテリアル:「魔獣~?…あ~地龍ミズルールーの事ね~」
ルビー:「ミズルールー?…何それ?」
マテリアル:「王都を守護~?うーん…ちょっと違うか~」
「正しく言えば~大事な点を~守ってくれる存在~?」
ルビー:「ふーん…危険は無いのね?」
マテリアル:「まぁ~ずっ~と昔から…あそこにいるから~今更だけど~襲わなければ~襲って来ないわよ~」
いかがでしたでしょうか?
ついに王都到着です。
ここからの展開はどうしようかと考えてます。
あと、地龍は…どうするかな。
ここまでお読みいただきありがとうございました!