第26話 記憶
ご覧いただきありがとうございます!
目標の10万文字まで…あと少しですね。
とりあえず…書かないと始まらないのです!
それでは始まりです!
―俺の意識内―
オレは俺に体を返す為、俺と分離する。
元の黒い炎になったオレ。
倒れている俺に…オレは声をかける。
オレの声:「起きろ!…終わったから俺は戻る」
話しかけるが、声は返ってこない。
オレの声:「まぁいいさ…そのうち起きるだろう」
心の最奥の牢獄に戻り…扉を閉じるオレ。
(ガチャン)
鍵を締める音が、意識の奥で響く。
――――――――――
「マスター!…マスター!」
暗闇の中で声がする。
遠いようで近い…でも、声が確かに俺の耳に届く。
俺を呼ぶ声が!…確かに聞こえる!
俺:「う…ヴァーリ?」
目を開けながら呼ぶと…ヴァーリの顔が見えた。
仰向けで倒れる俺を…ヴァーリが上から見ている。
ヴァーリ:「マスター!…無事で良かった!」
少し泣いている…また悲しませてしまったみたいだ。
俺を見下ろす、ヴァーリの涙が一滴…首元に落ちる。
俺:「ヴァーリ?…どうした…目が赤いな」
指でヴァーリの涙を拭う。
ヴァーリ:「…マスターは始祖に深い傷を受けて…」
言いながら俺の腹に手を当てる。
ミル:「そうね…深く斬られたから…大丈夫?」
生きているのが不思議…そんな顔をする。
ミャアマザー:「傷は癒えているはずだけど…どうかしら?」
俺:「お…おぅ?」
記憶が曖昧だな…俺の記憶と違うような…ん?
確か…俺は腕を切断されたと思うんだが…その後が分からん。
俺:「うーむ…斬られた?」
自分の腕を見ながら言う。
その瞬間…俺の恩恵―完全記憶能力―が発動する。
始祖に皆を殺され!腕を斬られ腹を刺された事!
そして…俺がオレに支配され!始祖を蹂躙し!拷問した事!
俺:「あ…あぅ!…あぁ!」
残酷な記憶が一瞬にして、脳に焼き付いた。
脳の理解が追い付かず、呻き声が出る。
ヴァーリ:「マスター!…大丈夫ですか!?」
突然の出来事で…心配そうに俺を見つめる。
俺:「違う…違うんだ…俺はそんな…」
やっとの事で、声を絞り出すが…伝えたい事は声にならない。
心配される資格も…ヴァーリと一緒にいる資格も…
皆を守れず、何も出来なかった力の無さ!
理性を失い…怒りに支配された心の弱さ!
残酷な破壊衝動に!心を委ねた俺そのものが…許せない!
俺:「ぐわっ…あっ…あぁ!」
…頭が…俺の意識が…俺が俺である全てが壊れていく。
頭が痛くて、のたうち回る俺。
ヴァーリ:「マスター!!」
しっかりと抱きしめる!
俺:「ヴァーリ…?」
頭の痛みが止まる。
俺の悲しみが、少しずつ癒されていく。
ヴァーリ:「マスター…大丈夫です…大丈夫…私がいます」
俺を抱きしめながら、優しく声をかける。
ヴァーリ:「マスター…ずっと一緒って約束しましたよね?」
「私は何があっても、マスターと一緒にいたいです!」
頭の痛みが消え、抱きしめられ…心が安らいでいく。
俺:「あぁ…すまない…俺は!」
俺心:怒りに任せ残酷な事をしたのは間違いない。
確かに…俺には一緒にいる資格が無いのかもしれない。
暗い負の感情が高まる…胸が締め付けられるように痛い。
でも、ヴァーリが望むなら一緒にいてもいいのだろうか…
ヴァーリ:「…マスター?」
顔色が悪い俺を見て呼び掛ける。
俺:「あぁ…心配をかけたなヴァーリ」
負の感情を押し殺して…平気な振りをする。
ヴァーリ:「いいえ…マスターが無事なら…」
俺:「ヴァーリは平気か?」
ヴァーリ:「はい!…私は平気です!」
笑顔でこちらを見る。
俺:「そうか…良かった無事で、本当に…」
記憶にある…実際には起きたが…起きなかった事。
だんだんと心が熱くなり…ヴァーリの手を強く握る!
ヴァーリ:「マスター…」
優しく握り返し微笑む。
ミル:「コホン…いい雰囲気の所、悪いけど…こっちもいい?」
ジトッとこちらを見ている…!
ミケ:「えっと…兄貴も無事ッス!」
俺:「本当か…良かったな!…それで今は何処にいるんだ?」
俺は横になったまま視線を動かすが…クマチャイルはいない。
ミル:「アンタの後ろよ、後ろ…」
首を振り、教えてくれる。
俺:「後ろ?」
俺は…後ろに意識を向ける。
俺心:…と言う事は、この後頭部の感触は…?
(フニョン…フニョン)と柔らかいものを感じる。
クマチャイル:「ふん…」
そこには、長毛黒毛のニャンラット族がいる!
俺:「クマチャイル!無事でよかったな」
振り返り、捕まえてハグをする。
モフモフ癒されるな…アニマルセラピー…だった…かな?
クマチャイル:「なれなれしい!…離せ!」
蹴りを一撃、俺の顎に放つ!
俺:「おわっ!」
捕まえていた手を離し起き上がる。
俺から逃げていき、ヴァーリの後ろに隠れる。
俺:「なんだ…ヴァーリに懐いたのか?」
クマチャイルに話しかける。
俺心:ちょっとうらやましいな…むかつく。
ヴァーリの後ろにくっついたクマチャイルを見て思う。
クマチャイル:「…お前には…言いたくない」
ミル:「助けて貰った恩返しをするんですって」
俺:「ほー…そう言うことか!…ふーん…」
俺心:しかし…後ろにくっついてると可愛いなぁ…
ミャアマザー:「さぁさぁ!皆…里に帰るわよ!」
俺:「そうだな!…とにかく無事でよかったよ…皆!」
ミケ:「そうッスね!」
ミル:「ほんとよ!…このバカのせいで!」
クマチャイルを蹴り上げる!
クマチャイル:「いっつ!!…何しやがる!」
毛を逆立ててミルに向いて怒っている。
ミケ:「そうッス!」
(ポカッ)と後ろから一撃を放つ。
クマチャイル:「お前もか…ミケ!」
ミケをギロッと睨む!
ミケ:「ひえッス!!」
里の方に走って行く。
クマチャイル:「待て!…ミケ…この!」
ミケを追って…走って行く。
ミャアマザー:「あらあら…」
ミル:「もう…いい加減にしなさいよ!」
ヴァーリ:「いや…ミルのせいですよ?」
俺はうなずき、里に帰る。
皆と一緒に走って行く!
――――――――――
―里に帰って来た俺達―
もう夜は過ぎて、空は明るい…時間だと5時くらいだろうか?
ロシアンが入口で立っている。
ロシアン:「マザー!…ご無事で良かった…本当に!」
マザーの近くに駆け寄る。
ミャアマザー:「心配を掛けましたね…ごめんなさいねロシアン」
頭を下げるミャアマザー。
ロシアン:「いえ!…マザーがご無事なら…それで!」
ビックリして慌てるロシアン。
俺はそれを見て…暖かい気分になる。
俺:「ふわぁぁぁ…」
アクビを吐く…色々な事があり…疲れた。
ヴァーリ:「眠いですね…」
俺:「ヴァーリも眠いか…そうか」
俺心:いくら強くても眠くなるんだな…
先に行ったクマチャイルとミケを…見つけた。
クマチャイルはミケを…しっかりお仕置きしたようだ。
ミケ:「姐さん…助けてッス」
ボロボロになりながら、助けを求める。
ミル:「クマ!…やりすぎよ!」
飛び蹴りを放ちクマチャイルを吹っ飛ばす!
クマチャイル:「お前に…言われたくないわ!」
起き上がりながら言う。
俺心:そうだろうなぁ…
ミャアマザー:「まぁまぁ…いい加減にしなさい…三人共!?」
優しく声をかけるが、圧力が半端ない!
ミケ/ミル/クマチャイル:「はい…」
大人しくなる三人。
ミャアマザー:「とにかく!一旦…皆は休んできなさい…」
「話はそれからに…しましょう?」
俺:「分かった…ミャアマザー…ヴァーリも…行くぞ?」
ミャアマザーに会釈して、ヴァーリを呼ぶ。
ヴァーリ:「はい!…マスター!」
俺達は宿屋に向かう。
続く
――――――――――
ルビー:「一段落ね!」
マテリアル:「ルビーちゃんは~元気ね~」
ルビー:「当然よ!…暗い内容だったから!」
マテリアル:「どこが~?」
ルビー:「あの子よ…強い力を持つ子は大体、不安定だから…」
マテリアル:「そうね~反動~なのかしら~?」
ルビー:「だから!…私が明るく…ね!」
マテリアル:「そうよね~じゃあ~私も~!」
いかがでしたでしょうか?
完全記憶能力…こわっ!
私ならいらない…でも欲しいなぁ。
皆様はどうですか?
一度考えても…面白いかもしれないですね!
ここまでお読みいただきありがとうございました!