理想論者
綺麗な景色はボクの目には霞んで見える。
具体的には1720万画素程度
タイトル:理想論者
「お前はエネルギー保存則を知っているか?」
唐突に尋ねられて少年は目を丸くした。
知るも何も、ガウスだかアインシュタインだかが発見とか発掘とかしたとかしないとか。
在るものはある以上には無いし、在るものは減りもしない。それが根本の法則じゃなかったっけか?
「そうだ。重要なのは一定に保たれてる、という事だ」
それがどうしたってんだ?
たとえ世界のお金が一定に保たれてるからといって僕の財布にはこれっぽっちも入ってきやしないんだ。全体がどうとか世界がどうとかの前にボク自身の困りごとを果たしたいな。
「なあに簡単なことだよ。君だって君自身の中で一定に保たれているんだよ。」
つまりボクはどんなに稼いでも雑に使ってしまうと言うことかい?そうかいそうかい、ボクの評価も随分落ちたものだ。
「なに、そんなことないさ、だからこそ君はもうちょっと外と干渉した方がいい。じゃないと君の持っているその少ないお金すら使い物にならなくなってしまうんだから。」
それは困るな。だってこのお金がないとボクはボクの存在意義見失ってしまう。いつだって誰かに狙われて殺されかけて死にかけて。もうそんな生活は嫌なんだ。引きこもりたい。
「だめだと言っている。だからなネットワークAI38号、きさまの保有する全世界の通貨の3割と株と利権書を返してくれ。君の安全は保証しよう。」
これだから世界は回らない…
金が無いと生きていけないのはAIも一緒