第九十話 空と……
「あ……ぐがっ」
と、崩れ落ちる生徒。
それと同時、周囲に吹き荒れていた風が収まり、飛んでいた瓦礫も落ちてくる。
異能が止まったということは、彼は完全に意識を失ったに違いない。
(とりあえず気絶させたけど、彼が苦しんでいた原因はなんだったんだろう)
いずれにしろ、早く保健室へ……場合によっては病院に連れて行った方がいい。
空がそんな事を考えていると。
降っていた雪は次第に収まり。
同時、周囲を覆っていた氷の壁が砕け散る。
氷菓が異能を解除したのだ。
「おつかれさま……一応聞いておくけれど、怪我はないかしらぁ?」
と、言ってくるのは氷菓である。
彼女は胡桃を引きつれ、空へと近づいてくる。
空はそんな彼女へと言う。
「ええ、僕は大丈夫です。それよりもこの生徒が気になります」
「そうね、私としてはおまえの強さの方が気になるのだけれど……今はそこの生徒を優先しないといけないわぁ」
と、氷菓は生徒に手を翳たのち、その手を少し持ち上げるような仕草をする。
すると。
気絶している生徒の身体が宙へと持ち上がったのだ。
見れば、生徒の身体を薄い氷の膜が持ち上げているのがわかる。
「相変わらず、応用が利く異能で――っ!」
と、空が氷菓へ言いかけたその時。
彼をとんでもない寒気が襲う。
空は即座に、その寒気を感じた方へと振り返る。
するとそこにあったのは――。
(なんだ……あれ。僕の気のせい?)
「空、いきなり黙ってどうかしたのかしらぁ?」
と、空が黙った事を不審に思ったに違いない氷菓。
空はそんな氷菓へ「いえ」と言いながら会話に戻るのだった。
気絶した生徒から何か黒い靄が這いだした。
それを気のせいに違いないと考えながら。
次回から以前のシャーリィ主人公パートみたいに、胡桃がメインとなります。
ただシャーリィの時と異なり、胡桃パートは少しだけ長いです。
女性主人公嫌だ!という人は、申し訳ありませんが少しだけ耐えてくれると嬉しいです。
ただ、もうしばらくすると胡桃がヒロインヒロインし始めるので、お楽しみにです。
さて、こちらはいつも言ってることなのですが
ここまでどうでしたでしょうか?
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